岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/02/12
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今日は、朝日新聞掲載の『悩みのるつぼ』からです。
2月2日に掲載された相談文と岡田斗司夫の回答、あわせてお楽しみ下さい。
<相談文>
20代男性です。私は自分の大切な人に対して、他人より強く当たってしまうことがあります。それを直そうとしても、結局は強く当たってしまう自分に失望しています。
母は数年前から体調を崩し、日を追うごとに悪化しています。食事の際にも食器がうまく持てないため、こぼしてしまうことがあります。その際、優しく声をかけて片付けたら良いものを、「なんでこぼすの」と強い口調で注意してしまいます。
恋人にも強く当たってしまうことがあります。恋人が失敗をした際に、気持ちに寄り添ってフォローすることが必要であるのに、失敗を責めてしまうことがあります。
特に自分がストレスを抱えていると、攻撃的になってしまいます。自分の弱い部分が顕著になった際に、それを隠すために他人に強く当たってしまうのだと思います。たとえば、仕事で失敗を怒られた時です。あらわになってしまった自分の弱点を覆い隠すため、身近な人の弱点を攻撃し、心理的な負担を軽減しているのではないかと、自分なりに分析しています。
しかし、そうした傾向が分かっていても、やはり強く当たってしまうことがあります。スポーツでのストレス発散やアンガーマネジメントをしても、完全に解決できません。大切な人を大切にするために、一体どうすればよいでしょうか?
<回答文>
あなたはマジメで自分の失敗や欠点が許せない。見知らぬ人の失敗なら見過ごせるが、母や恋人という大切な人は、自分同様にやはり失敗が許せなくなっちゃう。
こういう人のことを世間では「ナイフみたいにトンガってる人」とも言います。トンガリは性格と言うより個性に近いので直したりできません。対処として有効なのは「自分のトンガリを無くす」ではなく「自分のトンガリの被害を減らす」でしょう。
イガグリのようなトンガったものを扱う時はどうしますか?素手で触らずに、新聞紙などをクッションにしますよね?
同様に、あなたに必要なのは性格改造ではなく、クッションでしょう。私のオススメは「仲良し貯金」です。これは自分の性格にトンガリがある人は、だれでも始めるべき貯金です。
具体的なお金とは関係ありません。自分の大切な人、あなたの場合は母と恋人との間に「仲良し感」を貯金するように貯めるのです。
相手を誉める。お礼を言葉で言う。好きそうなモノを見つけたらプレゼントする。日常的に相手を喜ばせるわけですね。
この「仲良し貯金」があなたと相手のクッションになります。たとえあなたが理不尽な当たり散らしかたをしても、いきなり仲良し残額はゼロやマイナスにはなりません。いくばくかの黒字は残せると思います。当たり散らした後には、できれば謝ってまたもや貯金を再開し、残額=クッションを補填しましょう。
「仲良し貯金」をずーっと続けていれば、キツい言葉を言っちゃったときに「あ、これあとでフォローすごくたいへんだな」と自覚でき、止められるようになります。
つまり「性格」という扱いづらい心理的問題を「残額」という経済的な捉え方でコントロールするわけです。
気をつけて欲しいのは「DVの後だけ優しい男」にならないように。「仲良し貯金」は、当たり散らしを正当化しません。単に「互いの関係のクッション」になるだけです。
でも、そんなクッションでも、ずーっと維持すれば習慣、つまりあなたの第2の性格「優しい」になります。
ときどき完璧主義、だけどふだんは優しい。
ね、けっして悪くないでしょ?
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