岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/07/05
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2019/06/16配信「『攻殻機動隊』講座・第2話徹底解説(後半)」の内容をご紹介します。
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2019/06/16の内容一覧
- 今日の予定とお便り募集
- 発達障害者が能力全開で働く職場
- 「高齢者の運転」についての不自然な議論
- 『攻殻機動隊』講座前説
- 『攻殻機動隊』エピソード2解説
- 今日は無料放送での生出演はありません
- 完璧な8ページとアニメ化について
- 後半ラストシーン解説
- 解説補足と告知
- ウクライナ土産と告知
- 世界で唯一、ウクライナの核サイロ見学
『攻殻機動隊』エピソード2解説
(パネルを見せる。34ページ)
「この先の排水口で音がしたぜ」と、警備員のグループが、さっきトグサが排水口の出口にぶつかった音を聞いて、走ってきます。
その様子を木の上からフチコマというロボットが見ています。フチコマというのは、こういうことも出来るんですね。足の先で枝を掴んで、サルみたいに木に登って、銃を構えます。
次のコマでは「ドカドカドカ」っと音がして、地面がえぐれる。2人いるガードマンの内、1人は逃げて、もう1人はその場に突っ立ってます。
この2人のガードマンの反応。1人目の坊主頭は、思わず突っ立ってしまった。それに対して、ヒゲの方はちょっと戦争に慣れてるんですね。素早く逃げて、「バカ、何を突っ立ってる!」と叫びます。
警備員(坊主頭):オ、俺はもう行けねえ。あとを頼む。
警備員(ヒゲ):何、寝ボケてやがる!
はい、なぜ、坊主頭がこんなセリフを言うようになったのかというと、これはもう皆さんもおわかりの通りです。
「ドカドカドカ」と描いてるんだけど、地面に弾が当たった順番は、下から上なんです。警備員のすぐ横に当たった爆発がやや小さいから、これが最後だとわかるんですね。
これは「5発の弾を撃ったが、あえて最後の1発は外した」というデモンストレーションなんです。つまり「お前を殺そうと思えば簡単にできるけど、今はあえて外したよ?」と。
そんなものを目の前で見せられたので、この坊主頭は、ビビったというよりは、プロとしての判断で、降参します。彼らは全員、プロなんですよ。「プロとしては、どんな仕事もやるべき」ではなくて、「ここから先は、もう自分の仕事の範囲外」というのを考えるものなんです。
対して、もう1人のヒゲは、素早く逃げられるだけ、軍人としての能力が、坊主頭よりも高いんですね。なので「何、寝ボケてやがる!」と、つい言ってしまう。
坊主頭の方は、軍人としてのスキルは低いんですよ。突っ立っちゃったから。でも、その代り、プロとしての判断力は、ヒゲの人よりは高いんですね。
それがわかるのが次のページです。
(パネルを見せる。35ページ)
警備員(坊主頭):これは命を粗末にするなってメッセージだ。大戦はもう終わったんだ……。これ以上、殺すのはイヤだ……!
警備員(ヒゲ):ちッ、戦争ボケかよ! 俺はそんな腰抜けじゃねーぜ!
イシカワ:じゃあ、死にな。
ということで、ヒゲの男は、次の瞬間に殺されます。
ヒゲの警備員が倒れたことを確認した、草薙素子の部下であるイシカワという男が「フン」と言う。
しかし、次のコマでは「はッ」ということで、最初にハッキングに気付いた警備員が目の前に現れます。
この、坊主頭のガードマンは、イシカワからの「それ以上、前進したら殺し合いになるぞ?」という警告を受け入れます。
「俺はガードマンとして雇われたんであって、最悪、殺しもあるかもわからないけど、お互い、命の取り合いなんかしてもしょうがないじゃないか。お互い、戦争で生き残ったプロの傭兵同士が戦っても意味がない」ということで、さっさと撤退することを決めます。
しかし、ヒゲの方はヒゲの方で、なまじ、弾を避ける程度のスキルがあるばかりに、判断を間違えちゃうんですね。
「俺はそんな腰抜けじゃねーぜ!」ということで、「まだやめない」と言った瞬間に、既に狙いを付けていたイシカワのフチコマに撃たれてしまう。
これ、もう、絶対に死ぬような殺し方ですね。頭を狙って、胸を狙って、腰を狙う。腰は人間の身体で一番動きにくいところですから、まず狙う。次に心臓を止めて、頭を撃ち抜く。まあ、本当は頭に当てるのが一番いいんですけど。ここを狙ったら外すかもしれないから、まず腰を撃って動きを止めて、胸を撃って命を絶って、最後に脳を殺して、情報戦を動かそうとするのを止めてるわけですね。
で、ヒゲの男の方は、判断を誤った結果、この瞬間に死んでしまった。そんな男に対して、まあ、イシカワが、ちょっとプロとしての軽蔑をしているところに、警備員の中でも一番できる男が、背後から忍び寄って来たわけです。
ここでイシカワが「はッ」といったのは、一番出来る警備員が近付いてくるサインに気が付いたからですね。
腕の先端部分だけが、先にイシカワの背後にあった木の枝を掴んでいる。たぶん、この警備員の左腕は、ビューンとワイヤーのように伸びるんでしょうね。
次のページでは、壊れたトグサのフチコマが描かれています。
(パネルを見せる。36ページ)
つまり、ヒゲの警備員が撃たれて穴が開いて倒れるまでの間に、こちら側ではこんなことがありましたというドラマを描いてます。
アクションシーンですから、もう全てが流れるように進んでいます。
サイトー:少佐、トグサの野郎のびてますぜ。
この、「トグサの野郎」という言い方ですよね(笑)、ドジ踏んで、みんなをピンチに落とし入れた後に、排水口の出口でやられちゃって、まあ気絶してますぜ、と報告します。
草薙素子:叩き起こしてそこから離れろ!
サイトー:外へ?
草薙素子:バカッ、侵入すんのに決まってるだろ!
もう、草薙素子は、ここから先、侵入することしか考えてないので、トグサの救出もそこそこに、自分達も突入を開始します。
パズ:おい、ワイヤーかけて引きずろうぜ。その方が早い。
サイトー:たく、人使い荒いぜ。うちの姫様はよ。
トグサを助けに来た2人が、そんな事を言っているところに、いきなり何かが現れます。
そして、その直後に撃たれます。
サイト―:あれはイシカワのフチコマじゃねえか、どうなってんだ!?
イシカワという、さっきガードマンを狙撃してた男の横に、一番出来る警備員がついていることから、「今、イシカワはこいつに操られている」というのがわかります。
操られて、仲間を撃ってるわけですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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