5月号連載記事
■ナンバーワン企業は強みに集中する
●「何をしないか」「何をやめるか」
ポーターの競争戦略論の中心は「トレード・オフ」=「何をしないか」です。
もちろん、何もするなというわけではありません。
「何をするのをやめて、そのエネルギーを他の何に集中するか」ということです。ドラッカーも、「人間も企業も『強み』によって輝く。弱みによってではない」と強調します。そして『企業は長所によって勝利するのであって、欠点によって勝つのではない』とも言います。
また、人間の欠点は基本的に直らないというのが船井総研創業者・船井幸雄氏の考えです。ですから、企業においても『欠点(弱点)を改善するために、多大 な労力を費やすのは非常に非効率である』ということです。しかし、船井氏は『長所を伸ばせば欠点はその長所の陰に隠れて見えなくなる』とも語ります。
さらにバフェットは、「自分がこれだけの成功をおさめることができたのは、『自分の範囲』を正確に把握し、『自分の範囲』を超えないように心掛けてきたからだ」と述べています。『自分の範囲』とは、要するに「自分が物事をコントロールできる範囲」=「自分の強み」です。
このように、ビジネスの巨人たちは口をそろえて、「弱みにかかわらずに、強みに集中せよ」と強調します。ですから、ポーターの競争戦略論の核が「トレード・オフ」であるのも当然です。
●マネージャー不適格者
ドラッカーはさらに踏み込んで、「他人(部下)の欠点ばかり見つけて、長所に目が向かないマネジメント(マネージャー)はその任を解くべきである」と厳 しいコメントを発しています。他人の欠点を見つける才能は神から万人に与えられた才能で、決して特殊な能力ではありませんし、「自分の欠点は自分自身が一 番よく知っている」ものです。ですから、いちいち部下の欠点を指摘するマネジメントの下では部下の不満が溜まり、士気にも影響を及ぼします。また、自分の 強みを磨いて向上させようという意欲も薄れてしまいます。
結局、マネージャーとは、組織の「人間の長所を伸ばす」のが仕事ということになりますが、「欠点」はどうすべきなのでしょうか?よく「猫の手も借りたい」という表現が使われますが「人間の手だけを(切り離して)雇う」ことはできません。
長所も欠点も含めたすべての人格を備えた人間としてしか雇用することはできないのです。一人の人間の欠点を「切り離す」ことなど不可能なわけですから、船井氏が述べるように『長所を伸ばして欠点を隠す』しか仕方がありません。
<続く>
続きは、産業新潮
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5月号をご参照ください。
(大原浩)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)