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6月23日に行われた英国のEU離脱か残留を問う国民投票の結果は「まさか」のEU離脱派の勝利でした。
翌日24日金曜日アジア時間に開票が進み、徐々に離脱派が優勢になるにつれ一気にリスクオフの動きで相場がパニック的な動きに。
投票日直前から開票開始頃までは残留予想が優勢になり、リスクオフの緩和の動きが起こっていたので、離脱優位の報に、為替市場ではポンド・ドルが始値 1.50台前半から1.32前半まで売られ、ドル円は106円台から瞬間99円台前半をつけるというパニック的な動きとなりました。
日経225平均株価も、16300円台から一時14864円台へとズドンと落ちました。
その後、英国のEU離脱については、マスコミでも大々的に報じられて、欧州専門家の方々や経済評論家の方々が諸々コメントされていますので、たくさん目 に耳にされていることと思いますが、不安心理はいったん休ませて、この結果に対して行われる今後の具体的な動き、各国(EU諸国のみならず、米国、また特 にロシアや中国)の政治的な動きも冷静に見て、判断していく必要があるかと思っています。
マーケットの反応については、Brexitは突発的出来事ではないにも拘わらず、また事前予想も拮抗していたわけで、どちらに転んでもおかしくはなかっ たのですが、誰もがどこかで最終的には結局のところ「残留だろう」と楽観的に踏んでいたことがショックを増大させたことが大きかったでしょう。それに加え てマーケット参加者が極端に少なく値が飛びやすかったというのもあったでしょう。
また、それ以上に、世界的に滞留していた経済へのモヤモヤ感が一気に爆発した瞬間だったのかもしれません。
23日~24日にかけての為替市場の対米ドル変動率(終値ベース)は、安全通貨とされる円の上昇が3.85%(106円台から102円台)、その他の主 要通貨は対ドルで下落。特に、主役である英ポンドは8.05%下落、ユーロ2.35%下落。もともと安全通貨とされるスイス・フランも1.45%の下落 し、ドル高、円高という典型的なリスク回避の動きとなりました。
パニック的な動きが出たときは、少し落ち着きズームアウト、これまでの流れの中で今どんなところに居るのかを見ておくと良いと思います。
アベノミクス相場以来の高値安値の半値戻しを見てみると、日経平均株価で14,809円、ドル円は102円60銭水準、円最高値75円35銭と昨年の安値125円86銭の半値が100円60銭水準。今回のイベントにより半値戻しが引き寄せられたような恰好です。
半値戻しで相場が収束するのか、単なる通過点で更にスライドしていくのかは、今後の展開を見ていかないといけませんが、一旦は止まる水準ではあるのかなと思いました。
また、日経平均株価は、2月につけた安値14,865円にほぼ並ぶ14,864円を6月24日につけましたので今のところはダブルボトムなのかなとも見 られますので、今後この水準が守られるか注目される水準になります。また、ドル円で言えば(為替レートを見る上での参考数値として知られる)購買力平価 (企業物価ベース)は102円水準です。
そんな重要ポイントがキープされたということもあり、ショックは徐々に吸収されつつあるようにも見受けられます。
今後、日本に関しては100円を割る相場展開には介入の可能性、金融政策などの政策期待も高まると思われます。政策の中期的な効果については疑問符が浮かびますが、パニックを収めるという意味では重要かと思います。
為替市場、株式市場の当面のパニック的な動きは収まりつつあるように見えますが、世界の債券市場は世界景気の不透明感を映すように利回りの低下が続いています。
注目の米国の金融政策正常化の一環である利上げ期待は、今年中は確率がほぼゼロに近づき、利下げ期待が上回るという状態です。
日本国債はマイナス利回りが続く10年債に続き、20年物国債の利回りも5月には0.25%程度ありましたが、直近0.04%近辺まで利回り低下してき ており、超長期にまで及んできた利回り低下の波で債券での運用は非常に難しくなっていて、安全資産への過度な資金回避が起こっています。
これを見ると、Brexitパニックの値動きは収束しても、リスクテイク機運が高まるのを阻む世界的なモヤモヤ要因が多くあるように思います。
前号でも記しましたが、モヤモヤの一つが中国経済ではないかと思います。
中国はBrexitショック後、週明けに人民元の切り下げを行いました。年初対ドル6.51元だった相場が直近6.65元まで下落。資本流出の続いていることが懸念されています。
人民元安円高状態が日本株の大きな重しの一つになっています。世界経済への影響も含めて、中国の動向に更に注目していく必要がありそうです。
Brexitが決まってしまい、「分離」という言葉から悪い方向に向かうことを示唆する記事が多く見受けられます。不透明要因は多いことは確かですが、 最悪期(底)というのは、居る時には底とは分からず、後にならないと分からないとも言われます。ここからが変化を見定める正念場かもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*6月29日東京時間正午執筆
本号の情報は、6月28日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
翌日24日金曜日アジア時間に開票が進み、徐々に離脱派が優勢になるにつれ一気にリスクオフの動きで相場がパニック的な動きに。
投票日直前から開票開始頃までは残留予想が優勢になり、リスクオフの緩和の動きが起こっていたので、離脱優位の報に、為替市場ではポンド・ドルが始値 1.50台前半から1.32前半まで売られ、ドル円は106円台から瞬間99円台前半をつけるというパニック的な動きとなりました。
日経225平均株価も、16300円台から一時14864円台へとズドンと落ちました。
その後、英国のEU離脱については、マスコミでも大々的に報じられて、欧州専門家の方々や経済評論家の方々が諸々コメントされていますので、たくさん目 に耳にされていることと思いますが、不安心理はいったん休ませて、この結果に対して行われる今後の具体的な動き、各国(EU諸国のみならず、米国、また特 にロシアや中国)の政治的な動きも冷静に見て、判断していく必要があるかと思っています。
マーケットの反応については、Brexitは突発的出来事ではないにも拘わらず、また事前予想も拮抗していたわけで、どちらに転んでもおかしくはなかっ たのですが、誰もがどこかで最終的には結局のところ「残留だろう」と楽観的に踏んでいたことがショックを増大させたことが大きかったでしょう。それに加え てマーケット参加者が極端に少なく値が飛びやすかったというのもあったでしょう。
また、それ以上に、世界的に滞留していた経済へのモヤモヤ感が一気に爆発した瞬間だったのかもしれません。
23日~24日にかけての為替市場の対米ドル変動率(終値ベース)は、安全通貨とされる円の上昇が3.85%(106円台から102円台)、その他の主 要通貨は対ドルで下落。特に、主役である英ポンドは8.05%下落、ユーロ2.35%下落。もともと安全通貨とされるスイス・フランも1.45%の下落 し、ドル高、円高という典型的なリスク回避の動きとなりました。
パニック的な動きが出たときは、少し落ち着きズームアウト、これまでの流れの中で今どんなところに居るのかを見ておくと良いと思います。
アベノミクス相場以来の高値安値の半値戻しを見てみると、日経平均株価で14,809円、ドル円は102円60銭水準、円最高値75円35銭と昨年の安値125円86銭の半値が100円60銭水準。今回のイベントにより半値戻しが引き寄せられたような恰好です。
半値戻しで相場が収束するのか、単なる通過点で更にスライドしていくのかは、今後の展開を見ていかないといけませんが、一旦は止まる水準ではあるのかなと思いました。
また、日経平均株価は、2月につけた安値14,865円にほぼ並ぶ14,864円を6月24日につけましたので今のところはダブルボトムなのかなとも見 られますので、今後この水準が守られるか注目される水準になります。また、ドル円で言えば(為替レートを見る上での参考数値として知られる)購買力平価 (企業物価ベース)は102円水準です。
そんな重要ポイントがキープされたということもあり、ショックは徐々に吸収されつつあるようにも見受けられます。
今後、日本に関しては100円を割る相場展開には介入の可能性、金融政策などの政策期待も高まると思われます。政策の中期的な効果については疑問符が浮かびますが、パニックを収めるという意味では重要かと思います。
為替市場、株式市場の当面のパニック的な動きは収まりつつあるように見えますが、世界の債券市場は世界景気の不透明感を映すように利回りの低下が続いています。
注目の米国の金融政策正常化の一環である利上げ期待は、今年中は確率がほぼゼロに近づき、利下げ期待が上回るという状態です。
日本国債はマイナス利回りが続く10年債に続き、20年物国債の利回りも5月には0.25%程度ありましたが、直近0.04%近辺まで利回り低下してき ており、超長期にまで及んできた利回り低下の波で債券での運用は非常に難しくなっていて、安全資産への過度な資金回避が起こっています。
これを見ると、Brexitパニックの値動きは収束しても、リスクテイク機運が高まるのを阻む世界的なモヤモヤ要因が多くあるように思います。
前号でも記しましたが、モヤモヤの一つが中国経済ではないかと思います。
中国はBrexitショック後、週明けに人民元の切り下げを行いました。年初対ドル6.51元だった相場が直近6.65元まで下落。資本流出の続いていることが懸念されています。
人民元安円高状態が日本株の大きな重しの一つになっています。世界経済への影響も含めて、中国の動向に更に注目していく必要がありそうです。
Brexitが決まってしまい、「分離」という言葉から悪い方向に向かうことを示唆する記事が多く見受けられます。不透明要因は多いことは確かですが、 最悪期(底)というのは、居る時には底とは分からず、後にならないと分からないとも言われます。ここからが変化を見定める正念場かもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*6月29日東京時間正午執筆
本号の情報は、6月28日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)