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為替市場動向~日&米の同日金融政策決定、どちらも何も出ない?~
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為替市場動向~日&米の同日金融政策決定、どちらも何も出ない?~

2016-09-08 17:06
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     米国の利上げ観測は、8月中旬に急浮上し、その後26日で行われたイエレンFRB議長講演を後方支援するようなフィッシャー副議長の利上げへの強いメッセージから盛り上がり期待が高まりました。
     そんな中、昨日発表されたISM非製造業景況指数の数字が予想外の6年半ぶりの低調さを示したことから急速に後退。一時は104円台乗せまであったドル円相場は今朝の東京市場で101円台前半まで戻してきました。


     ドル円相場が下方へ戻した背景にあったのは、米国の経済指標による利上げ期待後退に限らず、日本サイドにもありました。日銀理事会内で検証をめぐって意 見対立が深刻になっているとの一部報道で、9月20~21日に予定されている政策決定会合では何も決定できないだろうとの見方も出たことも重なりました。
     また、その前日出た浜田内閣官房参与による「日銀はFRBの決定前に追加緩和を決定すべきでない」という趣旨の発言も103円台後半にいたドル円相場の頭を重くしました。


     先週のドル円相場は、一時104円台に乗せたこともあり、これは100円を当面の底にしてBrexit直前につけた106~107円水準まで戻るか!? との期待を持たせましたが、ずるずるっと落ちてくる力の無さをみるにつけ、当面は100円~105円のボックス相場を続ける可能性が高まったように思って います。


     9月の米FOMC(政策決定会合)での米利上げ確率は、先週の36%から直近は24%に低下しました。ただ一方で、12月の利上げ確率は59%から52%に低下したのみで、市場は年内少なくとも1度は利上げはするだろうとの期待があることには変わりないと言えます。

     今後、FOMC開催の前週火曜日から金融政策に関する踏み込んだ発言を禁止する期間(ブラックアウト・ルール期間)に入ってくるのでFRB理事たちの関係発言は聞こえて来なくなります。一方で、市場では様々な根拠ない憶測が飛び交いやす可能性もありますので要注意です。


     ところで、17,000円台まで戻した日経平均株価とドル円相場の相関が弱まってきたことに気づかれていらっしゃる方も多いかと思います。異なる相場の動きの相関性を見る相関係数は+1~-1の間で表されます。

     例えば、ドル円と日経平均の相関係数が+1に近づけば、ドル円が上がる(円安方向)だと日経平均も上がるという傾向にあることが分かります。
     ほぼ+1に近い数字で相関度が高い傾向にあった二つの相場が、このところゼロ方向へ下がる傾向にあります。

     ドル円が104円台まで上昇しても、日経平均株価は17100円台の上値は重く、逆に今日のように101円台までドル円相場が戻しても昨日比16,900円台後半で踏みとどまっています。

     9月決算を前にした諸々の要因も背景にはありそうですが、昨年来何度か高値を試した17,000から17,300円の売り手買い手の戦場エリアに来ているだけに、ここを越えるだけの力があるのかどうかを問われていることも関係しているように思います。 


     さて、9月は、20日~21日の日銀、米FRBだけでなく、明日8日にECB(欧州中銀)の理事会が予定されています。以前の理事会での発言で9月には更なる金融緩和の議論がなされるとされています。
     このところ、動きが少ないユーロ相場ですが、秋から来年にかけての欧州には多くの政治スケジュールが予定されていますので、それによって長い方向性が出てくるのではないかと思うと目が離せません。

     多くは選挙ですが、難民問題にからんで右翼の台頭や現政権への反発がどのように今後の政治に影響していくのかが、長い意味でユーロという通貨に影響していくことになるでしょう。


     一方、このところ英国のEU離脱問題の影響は落ち着いたものの、これから本格化する英国の離脱交渉も注目していかなくてはならないでしょう。

     英国代表のメイ首相、EUのリーダー国ドイツはメルケル首相。女性の戦いとも言われます。これから英国とEUがどのような交渉をするか、結果どのような 形で今後EUと関係するのか。自国の利益のために何を勝ち取ることができるのか。結果次第で、EU参加国の中に離脱への選択肢を検討する可能性も出てくる かもしれません。

     また、この交渉経過は、数字に表れるだけではない国の現在の強さ弱さを見る良い機会でもあるように思います。一流国なら、交渉も上手いはずです。


     9月は日米の金融政策決定会合に左右されるでしょうが、その先にある米大統領選は勿論のこと、G20で見えた日中関係の変化、年内の来日が決まったロシ アのプーチン大統領との日ロ関係など気になる国際関係が今後の経済にどのような影響を与えていくのかにも注目していきたいところです。


     最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    *9月7日東京時間14時執筆
     本号の情報は、9月7日東京市場始値ベースを参照しています。
     なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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