米国大統領選まで一週間を切りました。
先週末、クリントン候補の国務長官時代の私用メールアドレス問題が再浮上。トランプ候補が急速に支持率あげ、一部ではトランプ候補リードが伝えられま
す。
市場は、この不透明ムードにリスク回避で反応。円やスイスフランといったリスク回避通貨買いが起こりました。
米国大統領選挙は、一週間前あたりが最後の勝負時とも言われ、過去の選挙でも一週間前に起きた問題が決定打となったケースもあります。
トランプ氏の女性問題と質が異なり、クリントン氏には以前から陰謀めいた事柄や冷酷さイメージが嫌われる、とも言われます。
国務長官時代の私的メールアドレス使用問題のみならず、ベンガジ事件、さらに夫の元大統領も含めて献金問題もあり、スキャンダラスで一部は国家反逆罪(?)疑惑に通じるとも言われ、大統領の資質より資格を問う声も強くあります。
トランプ候補は(女性問題等の)失態で支持率が下がっても、すぐに元へ戻るのが特徴なら、一方のクリントン候補の支持率はほぼ変わらず上がりもしない傾向があります。
クリントン陣営、女性問題で相手の失態戦略をしているうちに、直前になって自分のメール問題が再浮上して一週間前を迎えるということになりました。
まだ6日あります。直前に更に違う展開があるかもしれません。
一方、2名の支持率の差ばかりが報じられますが、今回の大統領選には、2人を含めて4名の候補がいます。他の2人への投票がどうなるかも多少結果を左右します。
また、同時に行われる最高裁判事1名、上院、下院の議員選挙も大統領選挙(および今後の政治)へ影響するので、蓋を開けてみないと分からないといったところでしょう。
次期大統領がクリントン氏ならオバマ路線の現状維持、トランプ氏ならサプライズでリスクオフ反応「トランプリスク」と言われますが、一部には実業家出身のトランプ氏の方が経済には良い影響があるだろうという見方もあります。むしろ政治家としての諸スキャンダル疑惑のクリントンの方がリスクと見る向きも私の周りにはあります。
どちらが当選するか問題以外に、もう一つあるリスクが、選挙延長の可能性と言われます。以前からトランプ候補が主張している選挙の「不正操作」。
もし、結果に異議申し立てがある場合など、以前ブッシュVSゴアでも起こったように、しばらくの期間、結果が明白にならない場合も不透明感として市場でのリスク回避が強まります。選挙にからんで、何があるか分からないという前提も含んでいた方が良さそうです。
経済のみならず、(前回の拙コラムでも書きましたが)米国社会の今を見る上で、この選挙はとても興味深いものがあります。選挙結果への直後の反応のみならず、選挙戦を通じた社会背景にも視点を向けてみるのも長い意味でマーケットを見る参考になると思います。
さて、今週は日米の金融政策決定会合と米国の10月雇用統計発表の週。
日銀は政策現状維持で物価目標2%達成を2018年(黒田総裁任期の年)まで5回目の延期という結果。ちなみに、消費者物価2%は過去30年強の日本で5回しか経験していない、とても高いハードル。この目標を安定的にクリアできるのはいつでしょうか?
米FOMCは選挙直前ということもあり現状維持の予想。12月の利上げ(直近の確率は68%)が予想されていますので、本日の会合後の声明に年内利上げへの含みがあれば、反応もすると思われますが、今のところ、選挙への
不安材料が勝るように思います。
最後になりますが、105円台半ばまでつけたドル円相場。ドル金利の上昇や日本企業による米企業買収などもサポートになり上昇してきましたが、ここで頭が重くなると、101~105を中心としたボックス圏での動きに当面終始する可能性が高まります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※11月2日東京時間午前10時執筆
本号の情報は11月1日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)