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12月号連載記事
■ナンバーワン企業その3 クレディセゾン
●金融には「安心・安全」が重要である
日本は、文献がはっきりしているだけでも、同じ「王朝」が、約1300年続く世界でも稀有な安定した国です。また3・11(東日本大震災)の直後、ファミリーレストランの店員の誘導で避難した顧客たちが、翌日以降、未払いの代金を支払うために続々と戻ってきたというとてつもなくモラルが高い国でもあります。
米国、英国、フランスなどの先進国といわれる国々でさえ、このようなときにはしばしば略奪や暴動が起こりますから、日本人の高いモラルに世界中が驚愕しました。
私が日本人であるという贔屓目を割り引いても、世界で最も安心して資産を預けることができる国は日本です。その次がスイスあたりでしょうか?
金融ビジネスにおいては、このような国家の安定性・信頼がとても重要です。その意味で、超安定国家日本において「金融ビジネス」が発展するのは自然な成り行きといえるでしょう。
銀行や証券に代表される既存の金融業は、他人のお金をぐるぐる回転させて儲ける商売ですから、基本的に高効率・高回転のビジネスです。しかし、銀行や証券は「規制業種」という面から、内部の腐敗が避けられません。
いくら会社が儲かっても、その会社の経営者や従業員が自分の懐を札束でいっぱいにすることに熱心で、株主のことなど忘れているようでは、投資する意味がありません。
また、「護送船団」といわれる手厚い保護を受けてきた日本の銀行や証券はひ弱で国際競争に打ち勝っていけるとは思えません。
しかし、それ以外の金融業は、今後の日本を牽引する大きな核となると考えます。
●これからの日本を牽引する銀行や証券会社以外の金融
リースやクレジット会社はもちろんです(オリックスも優良成長企業です)が、米国では、GEやGMなどのメーカーで、金融部門の利益が会社の屋台骨を支えています。もっとも、リーマン・ショックで痛手を受けたことなどから、GEなどでは、金融部門を縮小しメーカーとしての本業に集中する方向です。
ただ、金融機関などの口車に乗って、本業とかけ離れた金融ビジネスを行なわない限り、メーカーの本業と一体化した金融ビジネスの将来は明るいと考えています。
日本でもトヨタや日立において、製品を販売する利益を金融子会社が稼ぐ利益が上回る日が近づいています。メーカーの金融子会社の業務は実際のところ多岐にわたるのですが、あえて単純化すれば「昔は自動車を売っていれば儲かったのに、最近は儲けが薄くなった。気が付くと、今まではおまけだと思っていた自動車を売るためのクレジットやローンの方がもうかる商売になっている!」という感じです。
トヨタ自動車は、昔「トヨタ銀行」と揶揄されたほど財務基盤がしっかりしていますから今後が期待できます。
例えば銀行や証券が構える立派なオフィスは、とてもコストがかかるものです。もちろん、その費用は、預金者が受け取るべき金利、安くなるはずの取次手数料という形で顧客が、また、増えるはずの純利益という形で株主が負担しています。
それに対して、トヨタや日立は、企業そのものが持つ信用力で金融ビジネスができますから、大理石で飾られた無駄な支店など必要ありません。
メーカーだけではなく、流通も頑張っています。今後ネットがその役割の多くを代行するにせよ、店舗はあれば便利なものですし、ゼロになることは無いでしょう。
小売業の場合、店舗の一角に「相談コーナー」を設けるだけで、きわめて低コストの金融店舗の運営ができます。
コンビニは、ただ物を販売するだけでは無く、公共料金の支払い、メール便、情報端末、ATMの設置など狭い店舗を有効に活用することによって発展しました。その流れが、他の小売業にも波及しつつあります。
●ポーター賞受賞
(銀行や証券会社以外の)金融業の中でも大いに注目される、流通系カードで首位の企業がクレディセゾンです(現在、3500万枚のカードを発行し、年間取扱高は6兆円)。2012年にポーター賞を受賞したのも、同社のビジネスモデルの確かさの証明といえるでしょう。
他のカード会社が、どちらかといえば【稼ぐ中高年男性】に注目しているのに対して、買い物をする一般の人々、特に【消費する】女性にターゲットを絞り込んでいるのが特徴です。例えば、セゾンカードの顧客の約70%が女性です。
<続く>
続きは、産業新潮
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12月号をご参照ください。
(大原浩)
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