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悲喜こもごもの決算発表

2017-02-14 16:37
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     3月期決算企業の第3四半期決算や12月期決算企業の本決算発表がたけなわになってきました。

     皆さんが保有されている銘柄の決算内容はいかがでしょうか。決算をベースに投資されている方にとっては気になるシーズンです。

     一方でテクニカル面を重視されている投資家はそこでのファンダメンタルズをベースにした投資家の売買を横目に売り買いのチャンスを伺うことになります。

     株価の内容を見て売られる銘柄、買われる銘柄まちまちですが、内容が悪くても良くてもこの時期は全体相場はどうであれ売り物がちになりやすいように思われます。

     短期売買の投資家は少しでもサヤが抜ければ良いのですから株価変動をうまく捉えての売買をしておられるのかも知れません。中長期投資家にとっては、ここは基本的に冷静な対応をされているものと思います。

     銘柄ごとに評価の仕方が異なりますので、決算の内容と株価の評価については一概には言えませんが、事前予想より良ければ買い、悪ければ売りになるのかと思います。


     悲喜こもごもの決算発表が見られますが、私がかねてよりウォッチしてきた銘柄でも決算の発表後の株価変動への関心が高まっているようです。

     本日は2つの決算サプライズを取り上げておきます。


     三井造船系の三井海洋開発(6269)は、時価総額1000億円クラスの銘柄で原油生産貯蔵設備(FPSO)を設計・建造する企業です。

     同社の前12月期決算はこれまでの経常利益150億円をなんと294億円と発表。EPSも159円から372円に急増するとの発表を行いました。
     株価は1800円台でしたのでPERは大型株にしては異例の5倍台。これは買わない手はないと億の近道の読者ももしかしたら関心を示されたのかも知れません。
     目ざとく買われて儲かった方もお見えかも知れません。

     その発表は前期たまたま良かっただけでまた次期の決算は悪くなりそうだとはの思いがあったのか翌日確かに1920円で高寄りしてはきましたが、その後ぱらぱらと売りが出て大した株価上昇にはなりませんでしたが、その日に発表された今12月期決算見通しも減益ではありますが経常利益250億円と引き続きの好調な見通し。しかも為替が105円前提なので期初慎重な見通し。

     これを好感して株価はその後2日間で20%の上昇となりました。時価総額が大きいだけにこれはインパクトがありました。

     ダイナミックな事業なので驚くには当たらないと考えられなくもないのですが、四季報予想などもまったくこの水準を下回っていましたので見事にサプライズが起きてしまいました。

     時価は2321円となって活発な商いとなっていますが現状のPERは7.3倍に過ぎず、時価総額も1309億円ですので、この先もどこまで水準を訂正するのか関心を寄せておきたいと思います。


     一方、この会社の親会社、三井造船(7003)は3Qの決算内容が悪く、2月8日に164円安値をつけてしまいました。

     50%超出資している連結子会社のサプライズある決算修正の一方で親会社は業績停滞。3月期通期経常利益を180億円と発表しており、やや矛盾のある決算発表でしたが、この先は親会社にも波及するのか、関心が高まる可能性があります。


     反対に負のサプライズも一つ。

     横浜に本社を置く山田債権回収管理総合事務所(4351)は12月決算のJASDAQ上場会社ですが前期こそ事前予想を若干下回る経常利益となる一方で当期利益は投資有価証券の売却益が加わり、4億45百万円となりEPSは104.6円と事前予想の79.4円を大幅に上回る結果となりました。

     ここまではさほどインパクトのあるサプライズではなくむしろポジティブな部類に入るサプライズだったのかも知れませんが、問題は今期の見通しです。今期については売上、利益ともに大幅に減収減益となる見通しを示したのです。

     経常利益は前期の5億20百万円に対して85.5%減の75百万円との見通し。
     EPSはわずかに3.1円。配当こそ10円配当を据え置く方針ですが、ネガティブなサプライズが生じてしまい、これが場中に出されたために株価は一気にストップ安まで売られてしまいました。

     わずか8000株程度の売りでストップ安。投資家の信頼が一気に崩れてしまいました。

     投資家は過去のこともありますのである程度は覚悟していたのかも知れませんが、週明けも下値模索の可能性があります。


     株価の急落でまた買い易くはなったと思われる投資家も出てくるかと思いますが、その大幅減収減益の背景については全く語られていませんので、しばらくは混乱を生じてしまいそうです。既に時価総額は21億円にまで低下しており、配当利回りも2%ですので、これ以上の大幅下落はないだろうという意見もありますが、経営陣は近く開かれる決算説明会できちんとした説明をしないとなりません。


     このように決算発表内容と株価の変動は密接な関係にあります。

     ポジティブな内容を含んでいてしかも割安感のある銘柄の場合、多くは投資家にとっては新規投資の対象となるかも知れませんし買い増しの対象と見ておられるのかも知れません。
     反対にネガティブな内容を含んでいる場合は売りの対象になってしまうのかも知れません。


     この局面では保有されている銘柄の決算内容をしっかり吟味してベストポートフォリオを構築して頂ければ幸いです。


    (炎)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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