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プリンターのビジネスモデル
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プリンターのビジネスモデル

2017-02-28 22:23



     読者の皆さまも良くご承知の通り、市販されているプリンターは本体価格を安くして、その後のインク(カートリッジ)で儲けるビジネスモデルですが、調べるとメーカーによって対応方法が違うことに気付きます。

     このビジネスモデルを推進したのはキヤノンと言われておりますが最近では何処のメーカーも似たり寄ったりの戦略ではあるものの、中にはエプソンのように特に個人ユーザーに絞り、且つ年賀状印刷やたまに写真印刷をする程度の使用頻度の少ないユーザー向けの商品を開発するなど、自社製品でも差別化をしていると思われる企業もあります。

     例えばエプソンの特徴は、法人向けでは法人対応の仕様にして且つそれなりの価格設定にしていますが、その一方で、使用頻度の少ない(比較的素人)個人ユーザー向けの機器では余計なものを省いて競合他社に負けない低価格戦略で台数を稼ぐとともに、インクカートリッジについては純正品以外が使い辛い仕組み(頻繁に警告を出すプログラム)にし、且つカートリッジの中身を見えないようにして残量が半分程度になると「残量が少ない」という警告表示を出すなどで、恐らく、IT苦手ユーザーに頻繁にカートリッジ交換を促す(荒稼ぎする?)戦略です。

     キヤノンの場合には個人向けの機器でも一定以上の品質を維持する反面、価格は高めになりますが、カートリッジの仕様や警告表示のプログラムについても(一流企業であるとのブランドを意識してか?)比較的消費者に対する誠意を感じます。但し本体価格もカートリッジ価格も両方とも高めです。


     これらを真似て、コーヒーメーカーではドリップ機器本体のレンタル料を無料にしてカートリッジは自社のものしか利用出来ない仕様にしたり、水宅配ビジネスでは水タンクの独自供給で利益を確保するなどといったビジネスが増えました。


     これを金融業界に当てはめるとファンドラップになりそうです。

     通常の投資信託は販売時手数料が3%程度(オンライン証券では無料もあります)、信託報酬が1~2%(内訳はザックリと運用会社約50%、販売会社への管理費として約45%、信託銀行の管理費用で5%)が掛ります。
     つまり購入後3年程度で元本の7%~8%程の額を費用として取り込む計算ですが、これに対してファンドラップでは、投信の販売手数料は何度売り買いしても年間2%で済みますよ、しかも専門家が選びますよ、と言う謳い文句にしている商材です。とは言え信託報酬は掛りますから今のご時世では決して低コストとは言えません。


     一昔前なら銀行預金でも数%の利息が付くのに対して3%の販売手数料ですから、そこまで費用を掛けずとも数%の運用が出来たので元本保証の預貯金が選ばれたのですが、この超低金利下では何か運用をと考える訳です。ところが、論理的には運用するにも本来はゼロ金利の世界なのですから旨い話はあるはずもないのに、まるで儲かりそうな幻想を抱かせて、全て込みの年間2%で済みますよと言いつつ、実は預かっている限り(労せず)毎年着実に収益が見込めるビジネスモデルに変身させています。

     証券会社にとって投資信託の販売・管理ほどコスト(手間暇)のかかる商品はありません。にもかかわらず株式や債券の売買と違って短くても数カ月以上、下手をすれば何年間も資金が固定化してしまう資金効率の悪い商品です。
     位置付けとしては顧客から預かる資産を増すための入り口(貯蓄性)商品であり、且つ信託報酬によって自社金融グループに着実に年間1~2%の収益をもたらすこと。そして預かってさえおけば違う商品への乗り換えの原資ともなり数字が読める貴重な資産・・・という事です。

     とは言え手間がかかる商品ですので、販売会社には入り口で3%ほど、運用期間中でも1%近くの管理収入が得られて且つ実際の証券取引に掛る費用までグループに取り込んだり(最近は規制がありますが)、しかも乗り換える度に新たに3%の販売手数料が入るように・・・と言う建付けにしなければならない程の高コスト型商品なのです。


     これに替えて、それら手間賃を抑える代替手法として、年2%だけとは言え一度預かってしまえば毎年チャリンチャリンと落ちるビジネスは美味しいビジネスになります。仮に1,000億円の預りがあれば年間20億円の固定収入を見込めますし、契約がある限り顧客は離れません。

     安くて(場合によっては赤字で)も本体機器を売りさえすれば定期的な収入を見込めるプリンタービジネスと似ていますね。


     良く考えれば、今の円市場は市場金利が限りなくゼロに近く、金融機関にとっても運用難が続く中で、無リスクで毎年2%+信託報酬を得られるビジネスは美味し過ぎる、つまり顧客側は利益を出し辛い商品であると言うことに気が付くはずです。

     やはり独自に勉強し、出来るところから自分で運用しなければ、この超低金利下では尚更に満足な成果を得られないという事です。


    (街のコンサルタント)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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