企業には多くの利害関係者がいて、何らかの格好で絶えず見守ってくれています。
株主、従業員(社員)、取引先、顧客、金融機関などの関係者を味方につけて企業は成長の道を歩んでいきます。こうした主体をステークホルダーと呼びますが、経営者はこの存在を意識しながら緊張感をもって経営にあたることになります。
*ステーク(STAKE)は競馬などの掛け金のこと。
ホルダー(HOLDER)は掛け金の保持者、掛け金の預り人ということで、
この2語を合わせて経営学的な意味に解釈すると企業を取り巻く多様な関係
者が企業に投資し、その企業活動による成果から得られる利害を受け取るこ
とを意味します。
*ステークホルダーにはこのほか地域社会や地球環境、更には時には競争相手
などを挙げることもあります。
(MBAに乾杯! 越尾英明著(同文館)より)
創業間もない頃は経営者はステークホルダーを身近に感じて頻繁に語りかけますが、事業が軌道にのるといつの間にかステークホルダーの存在を忘れてしまう経営者もいるのかも知れません。
とりわけ運よく上場にまで至った経営者は新たな株主も含めこうしたステークホルダーの期待に応える必要があります。
経営者はヒト、モノ、カネに情報を加えた経営資源を活かして事業を発展させ、結果としてステークホルダーには何らかの配分を行うことになります。
こうしたステークホルダーと上場企業との関わりとして一般的なのは持株会の存在です。つまり単に業績が上がっただけでなく株式投資を通じてステークホルダーには何らかの配分をしていこうとの考え方です。
この場合、経営者は外部の投資家やアナリストなどに対してと同様、内部の従業員に対してしっかりと将来性などを理解してもらう必要があります。
何のために持株会があって株式を保有してもらうのかを理解してもらう必要があります。
社員持ち株会、役員持株会、従業員持株会が株主の上位に来ている事例は多く、更には取引先の持株会も設立されている事例も見かけます。
ブランド力のある企業の株は多くの株主で支えられているほか、時価総額が1000億円以上となると機関投資家が関心を示すことになります。
最近では株主にGPIFなど公的資金が入っていたり日銀がETFへの投資を通じて筆頭株主になっている事例が多くなっています。
その場合には日本トラスティ信託口、日本マスター信託口という名義で保有されているようです。
通常の株主は個人、法人でそれぞれが保有していますので上位の大株主にでもならない限りは名前は出てきませんが、株主数としてカウントされます。
時価総額の小さな銘柄では機関投資家の投資対象になりませんので個人投資家が主体になります。このため、いかに個人投資家を大事にするかを考えていく必要があります。
ステークホルダーの皆さんはどのような立ち位置であれ関係企業の発展によってメリットを受けることになります。
株主の皆さんは他人行儀にならず、業績の発展を支えて企業への評価が不足しているのであれば積極的に株式を買い増しするなどして保有比率を高める行動に出てはいかがでしょうか。
そうした意識の高いステークホルダーの登場が待ち望まれます。
(炎)
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