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為替市場動向~恐るべしは心理?~
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為替市場動向~恐るべしは心理?~

2017-09-21 14:35
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     暗雲たちこめて始まった9月。
     何が起こるか恐れられた北朝鮮の建国記念日9.9に(幸いにも)ミサイルは飛ばず、週開けて飛んだのはマーケット。

     一つの心配が片付くと、次々に懸念事項は和らぎ(被害に合われた方々には心苦しいですが)、米国の巨大ハリケーンは想定内で過ぎ去り、債務上限問題は3か月延長となり、心配ごとをヘッジしたショート・ポジションは急速な手仕舞いにより、「あらよあらよ」の間に一時107円台前半をつけたドル円相場が111円台回復、一時200日移動平均線を割った日経平均も日本の衆院解散選挙のネタも重なり19日には2万円台に。

    ※余談ですが、解散総選挙で、安倍政権の成長戦略の柱「働き方改革関連法案」や話題多い「カジノ法案」審議先送りのようです。選挙=株高は定型反応でしょうが、なんだかな~と独り言が出てしまいます。


     話を市場心理に戻します。いつもの事ではありますが、かくも簡単に変わり身が速いのが心理かと思い知らされました。
     15日早朝の北朝鮮ミサイル発射も、反応は限定的。
     10月10日は朝鮮労働党建国記念日だそうで、気が抜けませんが、その時の市場心理がどうあるかにより反応は違ってくるでしょう。


     さて、為替市場は現在、リスクオン反応である「円安・ドル安」で動いています。地政学リスク慣れ状態かもしれません。
     ただ、リスクが消えたというわけではありません。市場は特に反応しませんでしたが、国連でのトランプ米大統領演説はかなり強いトーンでした。

     ショートを切って上値にジャンプしてきたマーケットですが、市場心理は常に変わり身という危うさを秘めていることも頭の片隅に入れておく必要があります。


     そんな中、今週の注目材料は日米の金融政策決定会合です。
     20日(日本時間21日未明)米FOMC、21日昼頃日銀の決定会合の結果が発表されます。

     今回のFOMCの注目は、量的緩和政策で買い取りFRBのバランスシートにある資産の再投資停止(バランスシート縮小)に加えて、年内利上げがあるかどうかだと思います。

     12月の利上げ確率は53%。9月FOMCでの利上げを想定する向きは殆どありません。

     今日のFOMCの結果に関しては、バランスシート縮小は市場には織り込み済み、今後の金利操作へのヒントに注目が集まります。

     今後のFRB金融政策変更のポイントになるのは物価動向とされています。
     先週発表された米国の直近の物価指数は予想よりも高かったですが、利上げに直結するほどではありませんでした。物価上昇に逆流しているのは、自動車と携帯料金です。特に携帯料金は、日本でもそうですが、下げ傾向に当分変わりはないように思います。

     経済動向に関しては、大きなハリケーンの影響が注目されます。
     ただ、過去の例からすると、災害要因の経済への影響はそれ程大きくはなかったと聞きます。

     明けて21日に発表される日銀決定会合は変更無し予想が大半です。

     バランスシート縮小が開始されるだろう米国と異次元緩和が長期化する日本の差は、今後もドル円相場の下支え要因の一つとして働くものと考えます。


     9月のイベント日程で注目されているのが9月24日のドイツの総選挙です。
     メルケル首相率いるキリスト教民主同盟が現在4割近い支持率を得ているので、このまま何もなければ、現政権が勝利をおさめることが予想されます。
     ドイツの現政権維持は、ユーロ相場にはプラスに働くものと思います。


     地政学リスクへの関心が北朝鮮VS米国に集まる中で、中東ではクルド人のイラクからの独立の賛否を問う住民投票が9月25日に予定されています。
     これに関しては、イラク中央政府やトルコ、他にトルクメン人などが反対し、ニュース報道によると抗議デモも起こっているとのこと。
     クルド人が支配する地域には油田権益もからむことからゴタゴタも予想されます。更に、多民族間の闘争にも発展しかねないとの声もあります。
     中東リスクも気にしておいた方が良いかもしれません。


     最後に、9月に入ってからの対米ドル主要通貨のパフォーマンス比較です。

     ベストパフォーマーは、英国ポンド。この背景には、英国の利上げ期待があります。
     8月の英国の消費者物価は2.9%と市場の予想を上回り、カーニー英中銀総裁が数か月以内の利上げ示唆をしたこと(但し、この方はよく発言を変えるクセあり)から、長期金利上昇、為替でもポンド相場が上昇、BREXIT決定直前の相場と後の安値の約半値戻し1.35水準まで戻してきました。

     英国金利の上昇は、米欧の金利上昇にも影響しました。英国は、インフレ加速の一方で成長率見通しは下方修正しています。物価上昇はBREXIT後のポンド安による輸入物価上昇に過ぎないとも思いますので、ポンド高には、やや懐疑的ではあります。

     英国関連では、22日にメイ首相がイタリアのフィレンツェでEU離脱について演説します。EU離脱後の英国とEUとの関係について、どのようにアピールするのか注目されます。


     最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。

    ※9月20日東京時間15:00執筆
     本号の情報は9月19日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
     なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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