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ここでの投資作戦
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ここでの投資作戦

2020-03-06 15:31



    ~株価の低迷続く銘柄への投資チャンスを窺う~


     株式相場というのは摩訶不思議な世界。ここまでの新型肺炎流行で日経平均に代表される全体相場はもっと下落するかと思われたが案外、強い展開が見られ、ここまでのところ2月3日の節分につけた22775円が今年の安値ということになっている。

     警戒感が強まる中でなおも下値不安は残るが、全体相場は一部の銘柄の堅調さに支えられているのか、日銀によるETF買いなのか、為替が円安に振れたからなのか、様々な要因でもみ合い商状が見られる。

     問題は個別銘柄である。

     多くの投資家は弱い銘柄を売って強い銘柄につこうとするため、二極化が見られる。弱い銘柄は今期の業績見通しが何らかの理由で減益だったり、先行きの不安感からリスクオフ行動に出る投資家の行動でついた株価が現実の弱さになって反映されている。

     一方の強い銘柄もどちらかと言うと足が速く、短期急騰型だと短命に終わり、その後は乱高下の運命が待っている。長期上昇パターンを描いてきた銘柄も一旦の利益確定売りスタンスの投資家が多いためやや頭重くなっている現状が拝察される。

     この局面を投資チャンスだと思う投資家とネガティブに見てリスクオフの行動に出る投資家が市場でせめぎ合っている。

     企業業績は多くの銘柄が新型肺炎問題でとても不透明な状況下で株どころではないという印象だが、事態は徐々に明るい方向に向かいつつあるとも考えられる。目に見えない敵との戦いだけにやっかいなのはわかるが、最初の発生
    (12月9日)から2か月余りが経過し、感染者自体はなおも増加の一途で今や不要不急の外出は手控えるように政府からも通達があり、各種のイベントも自粛ムード。女子ゴルフの開幕戦も観客なしでの開催というから驚きだ(テレビでは放送されるのか?)。

     この際、国家ぐるみで2週間の長期休暇として自宅待機とすれば感染者は減る。感染対策の不備が言われているクルーズ船の乗客も毎日500人づつ下船し、徐々に話題のネタから消えていこうとしている。感染者情報はあっても治癒した方の情報は聞こえてこないが日本での死者は1名。むしろ米国でのインフルエンザの大流行で亡くなった方が1万4000人というデータの方が深刻。それでも米国の株式相場は高値更新を続けているのだから日本株を過度に弱気する必要はない。

     むしろ日本株は消費税増税による景気の腰折れが関心事。米国のGDPが3%の伸びが見込まれる中で日本は10-12月期の年率GDP(速報値)の伸びが▲6.3%となったのは深刻だ。内閣府では自然災害による影響をこのマイナス成長の原因としているが、消費税増税による消費者マインドの委縮がもたらしている景気停滞と言う点を隠蔽する動きだとの見方もできる。

     この景気対策に政府は真剣に取り組む必要がある。
     つまり補正予算を組むなどの景気対策の施策が具体化する必要がある。既に中小企業向けの緊急融資等も打ち出されてはいるが今後一段の財政投資に向けた動きが期待される。
     企業側としては業績の落ち込みを最小限に食い止める努力が求められる。

     ここに来て原油価格が低下しロジスティック企業などではガソリン価格の下落でかなりコスト削減が見られるとの話もある。在宅勤務の流れも一層の進展が見られるだろう。モノやコトなどの消費については一時的(1-3月期)な停滞を余儀なくされるだろうが、一過性となれば4-6月期あたりからの回復局面がやってくるということも念頭に入れる必要がある。

     中国との関係が強い日本だけに今回の出来事を教訓として今後は国内回帰ということもテーマとなるだろう。
     生産体制の見直し、サプライチェーンの見直しなども今後の課題となるだろうが、それは中長期のテーマにもなる。

     企業にとってはここでの業績停滞局面を乗り越えた先の施策を打ち出す必要がある。それは3月決算企業であれば5月上旬の決算発表シーズンになる。

     個別銘柄の値動きは既存株主が一番良く知っている。数は少ないが年初からこれまでに上がった株もあれば大きく下がった株も市場には存在する。それぞれに対応の方法は異なることは言うまでもない。

     今回のパンデミック相場で大活躍したマスクや防護服、除菌剤、消毒剤などの関連銘柄は歴史に残るような派手な値動きを見せたが、今後は市場のムードやメディアから伝えられるニュースによって過敏に反応し引き続きの大きな変動が予想される。
     短期に変動する銘柄に多くの投資(投機)家の目は釘付けとなるだろう。歴史に残るパンデミック相場にのるかそるかは投資家のスタンス次第だ。

     長期的に下げ続けている銘柄群は既存株主の何らかの理由による投げが背景。この場合、今期の業績見通しが大幅な減益となっていることが背景になっている。下げトレンドが続く銘柄も企業価値では既に売られ過ぎの局面となっている銘柄もあると推察される。あとは反転のタイミングと何らかのきっかけがポイントと言える。


     以下の2銘柄はその対象と言えるが、これらで短期に運用成果を求めるのは好ましいとは言えない。短期視点ではなく中長期の視点が求められるが、時間がかかるのは嫌だという投資家には不向きだと言える。いずれはボトムを打つという前提で時間分散でコツコツと投資するスタンスが求められる。


    1.日創プロニティ(3440)
     1215円から738円まで半年で下落。
     今8月期の減益見通しが背景。前期のソーラー架台の大型納入が一巡したことでの減益見通し。EPSは前期の204円から今期153円を見込み時価はPER5倍の水準。既存の株主はこの見通しをネガティブに見ている。
     IRへの取り組みはネガティブな印象があるが中長期的に見ると経営の面では後継者難の企業のM&A戦略を有すなどポジティブな印象。
     成長指向のモノづくり(金属加工、ゴム加工、材工一貫した建設業)企業としての立ち位置を評価するならPER5倍(実際には下方修正などあれば当てにはならないが・・)はとても魅力的ではないか。時価総額は、50億円を割れてきた。
     コツコツと分散投資する投資作戦でいきたい。


    2.リンクバル(6046)
     1765円から317円まで1年2か月で下落。
     前期の経常利益10.3億円に対して今期は先行的な費用(広告、人件費など6.7億円)の計上で5.3億円という見通しを出したのが背景。
     2015年4月のIPO時の公開株価400円(6分割後)を大きく下回ってきたが、上場時の経常利益3億円を今期の予想は上回っている点からは売られ過ぎの局面に入ってきたと言える。予想PER20倍割れの水準でまだ市場平均PERよりはやや高めではあるが、ベンチャー的な要素が強い点で評価の仕方ではこの水準を投資チャンスと見ることもできる。

     今期は2Q以降において新型コロナウイルス問題で街コンイベントの参加者減が予想され、この面でも業績の停滞が想定され、株価はそのことを折り込んでいるところだと思われる。企業側の対応としては先行的な投資の比重は下期に偏っており、今後の情勢によっては投資を手控える可能性もあるとはコメントしている。
     また、新規事業室を設置して今後の新たなサービス展開を目論む。
     結婚サービス、就活、終活のほか飲食業とのコラボなども想定される。
     時価総額は63億円の水準でこの局面ではコツコツと時間分散投資作戦で臨みたい。


     下落トレンド銘柄はIRが下手。上記の2銘柄はその典型だとも言える。

     IR下手だった企業が担当者が代わっただけでがらっと変化した事例もある。
     例えば熊本の生産設備エンジニアリング会社、平田機工(6258)はIR担当者が積極的な活動をされる方に変わった途端に株価は20倍になった。

     また2015年7月にIPOした平山HD(7781)は消極的なIR担当者の下で公開価格2130円を大きく下回る900円以下で株価が低迷したが、その後IR担当者が代わったことと業績の向上もあってそこから株価は4倍以上の水準にまで跳ね上がった。

     この話は実話なのではあるが、なかなか理解して頂けない。投資家にとっては大事なポイントなので今後もそうした事例を取り上げていきたいと考える。


    (炎)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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