「あの時買ってればなー。」というのは上げ相場に入った時に多くの個人投資家から漏れてくる声です。
 私が運営支援している株式同好会でもよくそうした声が聞かれますが、現実には実行に移すのは難しいようです。

 それでも中にはあのコロナクラッシュの下落時に思い切って果敢に投資し、既に大きなリターンを上げているという投資家もお見えになるのかも知れません。

 それでは現状の戻り相場においてはどのように投資家の皆さんは投資判断を下しておられるのでしょうか。


 時間分散投資、銘柄分散投資でリスクを抑える工夫を心掛けておられる多くの株式愛好家の皆さんにとっては期待の中でスタートした年初の段階で3月半ばにかけてのクラッシュへの対応はできなかったのかも知れませんが、かろうじて大きく値下がりする前にリスクオフされてこの下げを待って再度投資したという成功事例もあるのかも知れません。
 しかも銘柄によってはボトムから極端な値上がりを見せているものもあり、一気に資産形成に成功したという投資家もお見えになるのかも知れません。

 そのボトムから2か月余りが経過した中で、相場は更に上に向かっているようではありますが、全値戻りとまではいかなくても、半値戻りを達成した現在、NYダウやNASDAQの上昇を横目に相場がジリ高歩調を辿っている状況をどう見れば良いのか?世界恐慌の到来とまで言われているのに強い展開だけどこの先不安はないのか?と聞かれそうだが、それは天のみぞ知る。


 ポジティブな運用を心掛けている皆さんに余りネガティブな意見を言いたくはないのですが、正直言うとこの先の展開については少し慎重に考えていきたいと考えております。

 コロナ感染拡大に収束の兆しが出て全国的に緊急事態が解除されたとしてもグローバル化した日本の経済が復活するのは相当な困難が待っていることは明白。株式相場は好需給に支えられた展開ともなっていますので、業績抜きで材料性への評価で動いていますが、この潮流がどこまで続くのか判断が難しい。

 少なくとも日経225にはある種の爆弾が内包され、いびつに投機筋がいじりやすいという特徴がありますので、油断はできません。
 日銀のETF買い、GPIF買いによる下支え効果による株高局面が続いてきたというのが率直な考えですが、この構図には再びやってくると見られる株価クラッシュの第2波への備えが求められます。


 個人投資家ははっきり言うと日銀ETF買いでいびつに評価されPERが高まった225銘柄からは手を引き、中小型の出遅れ中小型材料銘柄に関心を高めたと言えます。それがここに来てのマザーズ指数の急騰。900ポイント超えになっているのではないでしょうか。

 個人投資家の皆さんを後押ししてくれたのは、皮肉にも経済恐慌をもたらした新型コロナウイルスの感染拡大ではなかったでしょうか。

 相場の勢いについて資産形成を自由に図れる個人投資家にとってこの潮流を無駄にはできない。自宅で居ながらにして資産形成できるという滅多にないチャンスを体感されている方もいるように思われます。

 個人投資家(いや個人投機家というべきかも知れない)買いのきっかけを提供してくれた新型コロナウイルス感染関連銘柄の急騰は災い転じて福となすの例え通りの展開となった訳です。


 さあ、そこで話を元に戻すとここまで戻ってきて今後の相場をどう見れば良いのか。
 その答えは誰にも分りませんが、一つだけ言えることは相場の勢いが良いほど転機が近いということ。それは上げ相場にも下げ相場にも言えることです。

 また突然なにかが起きて変化が起きる。見えざる敵との戦いは何も新型コロナウイルスだけに限ったことではありません。欲という見えない敵とも戦う必要があるのですから、このことだけは肝に銘じて頂きたいと思います。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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