昨年の大きな出来事は新型コロナによる世界的パンデミックとそれに伴う株価の急落、及び新型コロナ対応の経済対策による未曾有の株高ということになります。また、秋には米大統領選が行われ、未だに完全な決着がつかずにきている状況が見られます。
 この背景にはその前に見られた中国と米国の覇権争いという点があります。

 共産党が率いる中国は米国という自由主義国家を揺るがすほどの一大経済勢力となり、米国中心の世界経済や軍事に対して脅威をもたらしてきた点を改めて考えてみる必要がありそうです。

 2021年は果たしてどのような出来事が起き、株式市場、株式相場にどのような影響をもたらすことになるのでしょうか。当たるかどうかはともかく、以下にその見通しを示してみたいと思います。


1.マクロ経済

 武漢での異常な出来事発生から1年を経ようとしている中で、コロナへの知見やワクチン開発、治療薬開発が進展。コロナ慣れし始めていたマクロ経済だが、ここに来てのコロナ変異種の発生で再び緊張感が走っている。
 米国では大規模なコロナ対応策に向けた法案が大統領の署名で通過。
 日本でも第三次補正予算など様々なマクロ経済対策が打ち出され、できる限りの対応はとられているが、GoToキャンペーンのストップでまだまだ先行き不安感が漂う。
 コロナ禍でお金の循環という視点では対応がなされているが、感染拡大を防ぐためにはここから1年から2年のマクロ経済の停滞を覚悟すべきだろう。
 昨年延期された東京オリンピックは今年も開催が危ぶまれるが、感染拡大の収束が2月あたりでピークを打てば、有効な対策を施した上で開催にこぎ着ける可能性は残ってはいるが、もはや期待しない方が良い。

 人と人が接しない社会に向け世界が一層のオンライン化に向けたシステム対応が進展する点をマクロ経済の面でも考えていく必要がありそうだ。


2.ミクロ経済

 企業はコロナ対応を推進してきたが、ビジネスによっては痛手を受けている。
 一方でコロナ禍で恩恵を受けている企業も存在し、今のところはすべてが駄目という状況ではない点に一縷の望みをかけたい。

 運営コストの削減ではオンライン化の恩恵を受けて売上が伸びない中で利益を確保する企業が存在しており、こうした流れは今後も継続することになる。旅行や交通、飲食、イベントサービス、ホテル、オフィス、アパレル、宝飾品販売、不動産などコロナによる影響は様々な業種で生じたが、そうしたデメリットビジネスへの影響は長期化することになる。
 そうした産業に従事する企業の対応力が今年は一段と問われることになると考えられる。

 一方では巣ごもり需要の恩恵を受ける食品スーパーやホームセンターなどの小売分野は政府の対応が奏功し安定した業績を計上することになるほか、オンライン化、GIGAスクール構想で恩恵を受けるIT系企業の業績は引き続き回復するとの期待が持てる。

 キャッシュレス化、AI化、ブロックチェーン、テレビ会議システムのほか、様々な省人化システムや自動運転システム、ドローン活用などの時代の変化を先取りした事象があちこちで見出せるようになりそうだ。

 このほか、菅首相の打ち出す施策がより具体化してくるとの期待感も手伝い再生可能エネルギー分野をはじめとして政策の後押しによるミクロ経済の変化も見落とせないだろう。

 更には企業によってはコロナ感染拡大を防ぐ決め手となるワクチンや治療薬の開発に取り組むところもあり、採算は二の次として開発優先での成果を期待する動きもある。今年も革新的な創薬ベンチャーの活動に期待したい。


3.政治

 米大統領選は1月6日から20日に決着が付くとの見通し。先走ってのバイデン大統領誕生が既存メディアでは伝えられているが、実際にはまだ、選挙の不正問題を根拠とした憲法上の手続きでまだ決まった訳ではないと言う点もあり、その結果によっては混乱をもたらす可能性がある。

 中国では再びコロナ感染拡大が伝えられる中、習氏の脳梗塞治療の話も伝えられ、米中ともに何が起きてもおかしくない状況。1月20日にトランプ再選となれば米中間の軋轢は一段と強まる可能性も出てくる。
 よもやの武力衝突などを予想するネットメディアも現れ、緊張感が走りそうな情勢である。
 一方でバイデン勝利となっても中国でのスキャンダルから短命に終わり、副大統領となったハリス氏(極左)が女性初の大統領に就任するといった可能性も否定できず、この場合も混乱につながる。株式相場にとっては暴落にもつながりかねない最悪の出来事となるだろう。


4.株式相場

 NYダウの3万ドル台乗せで終わった2020年に続き2021年も株高のトレンドは続く。NASDAQ指数も最高値圏にあり、金利の低下が続く中で行き場を失ったマネーが引き続き株式市場に滞留する展開となるが、昨年のコロナショックと同様に絶えずショック安を覚悟しておく必要がある。

 日本株、特に日経平均は米国株に連動することになり、バブルの様相を示しつつある。日経平均は3万円台乗せが次のターゲット。TOPIXは2018年高値をクリアするまで上昇が続く。
 楽観論が先に来ることになるが、予期せぬ出来事が波乱をもたらすことになることは肝に銘じておきたい。
 コロナ禍での業績停滞が続きそうな企業とコロナ禍でのメリットを享受する企業との二極化がますます進展し株式相場全体は堅調でも個別銘柄ごとに差が出るという厳しい局面が続くと考えておく必要がある。
 また波乱のタイミングとしては昨年は2-3月に生じたが今年も前半は気をつけておく必要がありそう。

 今年もショック安は買いチャンスとなるだろうが、そのタイミングまでしっかりとキャッシュポジションを堅持できるかどうかが今年も資産形成の分岐点となるだろう。


5.ショック安を導く予期せぬ出来事

1)米中の武力衝突(第3次世界大戦クラス)(中国による台湾、尖閣への武力行使)
2)米国内での内紛(共和党・民主党陣営の争い)
3)米国でのインフレの高まり(バブル発生による)
4)コロナ変異種を含めた新たな感染症発生
5)ワクチンの大規模な副作用発生
6)大規模な自然災害(日本では大地震の発生など)
7)アリババ株の続急落(ソフトバンクG株への影響⇒日経平均へのネガティブな影響)
8)中国首脳の病気
9)中国経済の崩壊(電力供給ストップ、大型倒産の多発)
10)中国共産党の内紛拡大


6.サプライズのある材料(好悪どちらかは不明)

1)米国でのトランプ大統領の再選(中国の不正選挙への関わりがクローズアップ)
2)画期的なコロナ対応ワクチン開発によるコロナ禍収束(好)
3)画期的なコロナ治療薬開発によるコロナ禍収束(好)
4)二階氏引退
5)安倍首相の復帰
6)大手メディアの倒産、統廃合
7)NHK受信料制度廃止
8)地上波テレビ視聴率低迷
9)インターネットメディアの家庭内への普及進展


7.IPOその他

 2020年は92銘柄が上場。2021年のIPOは100社を突破する。ユニークなビジネスモデルを備えた創業間もない若い企業が相次いでIPO。時価総額1000億円を超えるユニコーン型企業の上場も相次ぐ。

 東証の市場改革推進で時価総額を意識した経営がブームとなる。


「当たるも八卦、当らぬも八卦。」

 皆様にとってどのような運用成果をもたらすか、2021年起きるであろう出来事に思いを馳せてみてはどうでしょうか。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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