有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致し
ないことを予めご了承下さい。
=コラム「ストレス発散のための小額の短期的な投機をする効用について」=
(有料メルマガ第51回・2009/12/15配信号)
※2009年12月現在の内容です。留意してお読み下さい。
【前略】
生涯パートナー銘柄の研究で研究対象にしている企業は、過去の利益の蓄積により、バランス・シートの総資産から全ての負債を差し引いた純資産が、時価総額の2倍とか3倍になるような割安な企業を選ぶ。その上で、更に定性的に事業の内容(=事業価値)を調べて、将来的にも安定的に利益を上げていける事業力を持っている企業かどうかを確認する。すなわち一般に言われているバリュー投資家の投資対象となりうる企業を研究するというスタンスです。
現在の日本の株式市場は、過去においても、現在においても経常黒字を確保しており、今後も安定的な利益を確保できる営業基盤を有している企業の株が大きく売り込まれ割安になっている。ここまで安くなるのは異例のことで、バリュー投資家にとっては、千載一遇のチャンスの時と考えて良いと判断しています。しかし、なぜこのような異例のことが起こるのでしょうか。
偉大なバリュー投資の先駆者であるグレアムも、市場は投機的で気まぐれな動きをして、それを予想することは不可能だと考えていたようです。「相場は極端から極端に振れる」というようなことを言っていたと記憶しています。どんなに割安な株でも、更に割安な状況にまで叩き売られているのが、いまの日本市場の株式だと認識しています。なぜこのような非効率な価格形成が起こるかといえば、市場参加者のバイアスにあると考えて良いと思います。
最近では私が投資したいと考えて、状況をウォッチしていた小型の出来高の小さなバリュー株が、企業が年初に予想した黒字予想どおりの実績が出ている決算短信を発表した直後に、あっという間に30%も下落するようなことが起こりました。一社ばかりではなくいくつもの企業で、このようにことが起きました。過去の研究銘柄でも上期増益で、下期も更なる増益の可能性が高い企業の株価が大きく下落する場合も出てきました。
これは、このような小型のバリュー株(=企業)に投資していた付和雷同型の投資家の投げ売りと、買い手がほとんどいないという状況が生み出した異例の状況だと私は考えています。
株は値段に構わず絶対売りたい投資家と、いまの株価の30%ディスカウントでしか絶対買わないという投資家しかいなければ、株価は現実に30%安くなったところで売買が成立します。どんなに、その企業の本来の価値が高くても、株価が下がる状況はありえます。
日本市場に参加する投資家の大半が付和雷同型になってしまって、恐怖で株を手放す衝動を抑えられなくなったために、出来高の小さなバリュー株がとんでもない安値に投げ売られることになったのが現状だと感じます。
株式市場で売買されている株式数は、発行株式総数のほんの小さな株数にすぎません。特に出来高の小さい小型株などは一日に売買が成立するのが数単位ということすら、まれではありません。
つまり質の悪い付和雷同型の既存投資家の投げ売りで、とんでもない株価が出現してしまいます。
こんな発行株式総数からすると微細な株数の取引でついた価格が、その企業の本当の価値を表しているわけがありません。だから出来高の小さな株なんかに投資してはいけないという考え方もあるでしょう。
しかし反対に、だからこそ、企業の本当の価値から乖離したバカ安値に放置されている小型株をこそ、余裕資金で分散で買っておけば将来的には大きな資産を築けるという考え方もありうると思います。
この後者の考え方に基づいて投資対象となりうる企業を研究しているのが生涯パートナー銘柄の研究スタイルです。
しかし企業の本当の価値がいくら高くても、あまりにも長い期間安値に放置され続けると、その歪んだ株価が企業の内容をよく見ないで投資しているほとんどの投資家には、通り相場になってしまい、投資資金がなかなか戻ってこないことも考えられます。
そのことを理解して投資していても、とても割安な小型のバリュー株ばかりに投資していて株価がちっとも上がらないままだと、息が詰まってくることも良く起こります。私のように忍耐力の無い我慢強くない投資家には特に堪える状況です。
株価が上がるためには、「この企業の株は上がりそうだ」というカタリスト(=触媒)が必要です。誰かが買収を狙っているらしいということも、カタリストになることはあります。しかしそんな企業ばかりではありません。むしろ普通の企業においては、その企業の売上が大きく増えて利益が増えそうだというカタリストが、株価を上げる推進力となるでしょう。
ただ、総資産から全ての負債を差し引いた純資産が時価総額の3倍どころか6倍以上もあり、毎年20億円程度の経常利益を安定的に確保している先週の研究銘柄の東京都競馬の株価が、徹底的に割安な水準まで売り込まれて下がっていて、なかなか株価が回復してこないというようなこともしばしば起こります。
このような株を買って数年でも持ちこたえる覚悟があれば、たぶん数年後には資産は大きく増えるとも感じます。しかし、繰り返しになりますが、いくら割安な株だとしても、2年も3年も、上がらないで割安のままで放置されてしまう可能性もゼロとはいえません。
実際にチャートを見れば1年間の間には、けっこう上がったり下がったりして50%程度は値上がりすることも多いです。上がったときに長期投資が一番だ、といって持ち続けているとまた下がってしまい、結果として数年間投資したままでキャピタルゲインを得られなかった。私の経験ではそんな場合が多いです。つまり50%値上がりしても、その企業の本質的価値は3倍も高いと信じているので、売らないで持ち続けたら株価が下がってしまったという状態のことが多いわけです。
そのことを十二分に理解していても、私のように忍耐力の弱い投資家には、このような状況に耐え続けるのは苦痛になることも良くあります。
このようなとき私が考えるのは、「株価が割安というだけでは、投資の根拠は不十分だった」ということです。そしてあきらめて少しの利益で手放してしまったことも再三ありました。しかし投資しているときには、ちっとも上がらないと感じていた企業の株価を3年くらいして見直してみたら、いつの間にか手放したときから3倍にも4倍にもなっていたと、驚くことも時々あります。
何かのきっかけ⇒カタリストがあったために、株価が資産価値から見て適正な水準に回帰したのだと思います。このカタリストは、その企業の業績が大きく改善される。利益が増える。実際に利益が増えるかどうかは未来のことなので確かではないにもかかわらず、多くの投資家が、この企業の業績が多く増えると信じたり、大きく増えると信じる人が絶対的に多数派になると、業績がよくなる前に株価だけが先行して大きく上がることも、良く起こります。
投資テーマといわれるものが、このような投資家の期待と錯覚を生み出すことも良くあります。
【中略】
私のようにじっくりと待ち続けるだけではつまらない。ストレスが溜まるという投資家には、総投資額の10%以下で投機資金枠を設定して、短期投機を試みるというのも、バリュー株投資の主力ポートフォリオを守る意味では良い作戦だと考えています。
【中略】
ただ、忍耐力のあるバリュー投資家には不要なものですが、ストレス発散のためのレクリエーションも必要ではないかと考えて、ご紹介した次第です。
【後略】
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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