2月3日から始まった今年のIPOは公開初値が公開価格を下回ってスタートするなど波乱の船出となっています。
3日の訪問看護サービスを展開するRecovery(9214・M)が公開価格3060円に対して初値は2640円で14%下落。一旦高値2841円の高値がありましたが、その後も調整の動きとなり先週末の安値は1950円となりました。時価総額は27億円の水準となり、公開価格の時価総額42億円から大きく水準を下げてしまいました。
在宅医療・在宅介護市場の拡大とともに同社のビジネスターゲットである在宅訪問看護市場(2019年5824億円)も拡大見通し。訪問1件当たり単価は8000円前後で安定していますが、毎期訪問件数が増加傾向にある点から同社の業績も所属する看護師の数や拠点数の増加とともに業績の拡大が見込まれます(2023年12月期営業利益3億円を計画)ので株価の短期的な低迷の中ながら今後の見直しも期待されます。
4日の美容業サポートサービスのセイファート(9213・JQ)も公開価格1120円を8%下回る1030円の初値となりました。その後同日に957円まで株価は急落を演じましたが、そこからは怒涛の如く進撃開始。2月9日に高値1650円まで急騰。さすがに週末は1350円と反落しましたが、前12月期の推定EPSは158円(3Qまでで129円)ですのでPERは8.5倍と決して割高な水準ではないのが救いだしむしろ割安感があるとの印象が持てます。
理美容業界の中途採用転職人材支援サービスが主たるビジネスながら、3Qまでの売上高17億円に対して営業利益は約2億円。つまり四半期ごとに約6億円の売上と0.7億円の営業利益を計上できる企業というなかなかの収益水準で現在の時価総額は17.8億円に留まっている点に注目。美容師の国際化にも貢献しようとしており、時価総額30億円が目先のターゲットになりうるかと思われます。
これらの初値の公開価格割れ2銘柄に続き出てきたのがライトワークス(4267・M)でこちらは公開価格2100円に対して初値は3000円で43%の上昇。ようやく初値が公開価格を上回ってのスタートとなりました。
こちらは好調なスタートとなったこともあり、初値以降好調な値動き。初日が3700円で終わり、2日目もストップ高の4400円で終えるなど前2銘柄とは好対照の値動き。
大手企業がクライアントの人材管理プラットフォーム提供会社。伸び盛りのオンライン英会話サービスも展開。今1月期は3Qまでの売上が16.2億円、営業利益1.34億円に留まり、通期は売上高21.8億円、営業利益1.65億円、EPS47円という水準で時価はPER94倍という水準。時価総額は既に107億円と100億円を上回っており、やや過剰な評価と思われますのでこの後の咎めに注意したい。
株価は人気の度合いで高く評価されたり意外に安く評価されたりとIPO銘柄の間でもまちまちとなりますが、それは皆様の投資スタンスが千差万別だからこそです。IPOしたての銘柄は、まだ十分に情報が行き届かない中で評価が偏るケースも出て参ります。
仮にIPO銘柄で株価の低迷状態に遭遇したとしても株価に割安感があったり、今後の成長期待、ビジネスモデルのユニークさなどを見出された場合はその後の見直しにつながる可能性がありますので、冷静にそれぞれの企業価値を見出す活動がここでは求められていると言えそうです。
2月はこれから17日のエッジテクノロジー(4268・M・公開価格350円)、22日のCaSy(9215・M・上限公開価格1350円)、24日のBeeX(4270・M・上限公開価格1600円)、25日のマーキュリーリアルテックイノベーター(5025・M・上限公開価格1270円)と続きます。
エッジテクノロジーは低位のAI関連銘柄でもあり公開株数は311万株とやや多めではありますが、かなり賑やかになりそうです。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)