今回は前回に続き、ご相談者のインタビュー後編です。


●不動産を売却整理。定期収入のある仕組みを作り家族とともに東京、沖縄、オーストラリアで暮らす


小屋:事業をやめてからの木村さんの展開はこちらが驚くほど早かったですね。

木村:そうですね。特にここ数年は大きく動いた時期でした。体調も安定し、小屋さんのアドバイスに沿って不動産を売却整理し、将来に向けた資産運用の目処が立ったことで心に余裕が出てきました。すると、いろんなことがやりたくなってきたんですよね。
 まず、私も妻も海外留学の経験があったので、子どもにも英語が自然と身近にある環境を用意してあげたいな、と。
 店を閉めたので東京に住み続ける必要もありません。マレーシアへの移住、アメリカEB-5ビザ永住権取得も検討しましたが、いきなり海外よりはインターナショナルスクールに入るのがいいだろうと思い、家族で沖縄に移りました。

小屋:お子さんはおいくつのときですか?

木村:小学校5年生でしたね。授業は英語でしたが通っているのはほとんど日本人という環境で、子どもは英語に慣れていきました。
 話は脱線しますが、私は私で、沖縄に移ってから本格的にボディビルを始めたんですよ。
 東京にいるときから「身体にいいことをしよう」とトレーニングはしていたんです。
 それが沖縄で今もお付き合いのあるパーソナルトレーナーさんと出会ったことで、嘉手納とフォスターという2つの米軍基地で行われる大会に出る流れになっていったんですね。
 体重を90kgまで増やし、最終的には65kgまで落として嘉手納では2位、
 フォスターでは5位に入賞して、これは個人的にすごく自信になりました。

小屋:当時そのお話を聞いたときは驚きました。たしか、それからしばらくしてオーストラリアにご家族で移られましたよね?

木村:2018年の1月にオーストラリアのパースに。子どもも英語に慣れてきたし、本格的に英語圏で生活してみようという話になったんです。
 調べてみると、オセアニアは治安もいいですし、オーストラリアは子どもが学生ビザを取る形での親子移住がしやすかったんですね。
 だから、娘は小学校5年生を沖縄のインターナショナルスクールで、6年生をオーストラリアのパースで学び、中学はニュージーランドに単身留学。その時点で私と妻はいったん東京に戻って、2020年に沖縄に移りました。
 その後のコロナ禍で娘は留学を切り上げ、沖縄のインターナショナルスクールに転校して、今は家族3人、沖縄で暮らしています。

小屋:激動ですね。

木村:これだけ思うままに動くことができたのは、小屋さんに相談し、不動産から家賃収入というキャッシュが生まれる仕組みを作れたこと、物件を整理した時点で借り入れを一括返済したのが大きいです。

小屋:僕からのアドバイスは「家賃収入が得られる仕組みを作ること」「借り入れは金利の安いローンに借り換え、物件を整理してできたキャッシュを投資に回して運用すること」でした。
 そのほうが将来的なキャッシュは増える可能性が高いですし、なにより僕は個人的に投資運用が好きですから。
 でも、木村さんは借り入れをなくすことにこだわっていましたね。

木村:僕も妻も返す方が先という意見で一致したんですよ。
 もちろん、返すことで近い将来のキャッシュフローに困るのなら問題ですが、自由に動くために身軽になりたかったんです。

小屋:アドバイスは1つの目安ですから。どう選択するかはクライアントさんの判断です。
 その後の木村さんの人生をそばで見ていると、正しい決断をされたんだなと感じています。
 また、木村さんは基本的にとても倹約家ですよね?
 物件を整理してできた貯金は「ないもの」として投資に回されていますし、運用益や配当もすべて使わず、再投資されていますし……。

木村:妻とも話をして、基本、家賃収入として入ってくるお金の中でやりくりをしています。
 車を買うときも予算を決めていますし、もう少し収入を得たい、というときはアルバイトもしています。

小屋:アルバイトですか!

木村:店を閉めて、沖縄に移るまでの間もそうですし、オーストラリアではビザの関係で無理でしたが、東京に一旦戻った時期も居酒屋や寿司屋でバイトしました。
 もちろん、バイト先では「会社を経営している」なんて言いません。
 18歳の子たちと一緒にフロアで働く体験は新鮮だし、刺激も得られるし、お金をもらいながら勉強できるなんて収入以上の価値がありますよね。
 自分の感覚を広げるため、“なんかやってみよう!”という姿勢は変わらずなんです。


●キャリアも暮らし方も次々と変えてきた木村さん コロナ後に向けて、その視線の先には……


小屋:木村さんは大きな決断をするとき、家族全員で決めることを大事にされていますよね?

木村:すごく大事にしています。お互いの意見は出し合いますし、時には言い合うような感じになることもあります。
 妻は僕と対照的な性格で、慎重派。だからこそ、コミュニケーションを密にすることで、別の見方が加わって、最終的に家族としていい方向に決断できていると感じています。
 自分で調べて、専門家のアドバイスももらい、彼女の意見も聞き、じゃあ、僕ら家族は1つのチームとして「どうしよう?」と。
 みんなが楽しくなるような選択をしたいですし、そうなるためにお金を使いたいと思っています。
 娘の留学にしても、本人がやりたくないのにやらせたら、それは親のエゴの押しつけですから。
 そういう決め方は絶対にしたくない。
 こうなったらいいなという環境を用意して、本人がそこにいて楽しさを感じて、「やりたい」と言ってきたらサポートしていく。
 そんなふうに係わるよう心がけています。

小屋:最近、僕は『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』(アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン著、東洋経済新報社)を読んでいたんですが、人生100年時代を迎えて長く仕事を続けていくとき、キャリアを変えていく重要性、必要性が書かれていました。
 その点、木村さんはお父さんの医療機器販売の仕事を継ぐ形でキャリアをスタートさせ、まったく異業種のラーメン店の経営、不動産賃貸管理業、そして今はパーソナルジムも経営し、トレーナーをされています。
 まさにキャリアを大きく変えているわけですが、それぞれの転換点ではどう考えていったんでしょうか?

木村:高校時代の転校以来、僕は次の行動を起こそうと考えるとき、期待が8割、不安は2割、というふうにプラスのイメージを持って、好奇心と直感の赴くほうに動いてきました。
 ただ移り気にころころと行動しているわけではなく、ラグビーにも3年、ラーメンにも11年打ち込みましたし、物事を継続することの大切さもわかっているつもりです。

小屋:好奇心が強く、感性を大切にしながら、努力も怠らない。
 パーソナルトレーニングのジムを経営することになったのは、その考え方の延長線上でのことですか?

木村:そうですね。本当はこんなに早く自分のジムをオープンさせるつもりはなかったんですよ。
 2020年に沖縄に移住してからもトレーニングは続けていて、業務委託の形でいろいろなジムでトレーナーの仕事を経験させてもらいました。

小屋:将来的にジムを開くことを見据えてのことだったんですか?

木村:それはありました。パーソナルトレーナーさんのトレーニングの仕方、クライアントさんへのアプローチの仕方は本当に人それぞれで。
 実際に自分がやるとしたらどうするかな?と。そんなことを考えながら働いていましたね。
 そうしたら、たまたま今のジムであるこの物件と出会ってしまったんです。
 家賃も安くて、元々ガレージとして作られた空間なんですけど、パーソナルトレーニングをするにはちょうどいいサイズなんですよ。
 そこで、自分も大会に向けて体を鍛える場所が欲しかったこともあって、ここで完全予約、完全個室のパーソナルトレーニングジムをやろう、と。またもや、すぐに動いてしまいました。

小屋:沖縄の中でも読谷村で、とは考えていたんですか?

木村:読谷村は僕たち家族も含めて比較的移住者も多く、暮らしやすいところです。
 でも、ジムがここになったのは完全に物件との出会いからですね。
 コンクリート打ちっぱなしで、天井が高くて、ジムをやるならガレージジムというか、こういうのがいいなと思い浮かべていたイメージとぴったりだったんですよ。
 最初は、本当に自分がトレーニングできればいいからと設備を整えて、徐々に“お客さんも受け入れようかな”と始めた感じで。無理せずやっています。
 ホームページを作ったり、インスタグラムをやってみたり。アナログな人間なので今までやってこなかったことにも取り組めているのは楽しいですよ。
 ジムをやることでまたいろんなものを学べたらいいなと思っています。

小屋:コロナの状況が落ち着いた後、何かやってみようと思っていることはありますか?

木村:じつは、あります(笑)。ジムも去年オープンしたばっかりですし、娘もインターナショナルスクールに移って1年。
 普通にいけば高校卒業の認定をもらえるまで沖縄に腰を落ち着けて……とは思っているんですけど、僕の中ではドバイへの興味がむくむくと湧き上がっていて(笑)。
 海外資産への投資・起業家ビザ(就労ビザ)UAEでの起業のことも含めて、いろいろ調べているところです。
 2014年の運気の良い最大年には、二つ目の一棟アパートを法人で購入しましたし、今後も不動産賃貸管理業の方も良い収益物件を増やしていきたいと思ってます。



株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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