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■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー(動きのあったもののみ掲載)
 ※5月13日(金)執筆時点

・カンロ(2216)19年11月5日配信
 株価1665円⇒1580円(-5%)

・AB&Company(9251)22年1月10日配信
 株価1104円⇒720円(―35%)

・フリュー(6238)22年4月4日配信
 株価1085円⇒918円(―15%)

 上記3社について、カンロとABについてはZoomにて1Hの取材をさせて頂きましたのでそのレポートを、フリューに関しては決算後取り急ぎ電話で30m+メールで確認できたことを共有したいと思います。


■カンロ(2216)

 同社についておさらいです。
 カンロは飴とグミの製造販売卸販売を手掛ける創業100年以上の老舗であり、2019年に記事を書いたシナリオがコロナで足踏みを余儀なくなり、やっと始まる展開になってきたように思います。取材時の話でもグミ設備稼働率は絶好調を確認しました

2216 カンロ 創業100年超えの老舗がグミで成長へのアクセルを踏んだ!!レポートby相川伸夫
 ※2019年11月1日配信
 https://double-growth.com/2216-kanro/

 上記の記事を執筆したときはピュレグミの売上が絶好調であり、これは主にOLが仕事の合間に間食で食べられることが多いようでした。飴と違ってグミは製造においての機械も大型な設備投資も必要でかつ、味や形状や固さ等々バリエーションが多いので開発も大変です。
 設備投資をしたのが2019年2月でしたが生産稼働率はラインスタッフの教育も含めスロースタートで始まりました。
 ようやくここから大きく利益が出せると考えていた時にコロナが来てOLは都心から在宅ワークになってしまい、金のミルクのオフィス需要狙いの小さい個包装なども売上減少してしまいました。それを補うためにカンデミーナグミやあそぼん!グミ、最近ではマシュマロのマロッシュなども当たっているようです。

―取材メモより抜粋―

Q、1Q上方修正するほどに良かったのはなにが良かった?
⇒市場の拡大以上に売上を伸ばせた。特にグミが大きく伸びた

Q、1Qグミが良かった理由って何?
⇒コロナの拡大に当たって足元の再拡大はある中でオミクロン株で重症化しにくいということで人の行動制限が以前ほど大きく制約されなかった。人の行動が活発になったことで行楽需要や都心コンビニでのグミ購入が回復をしたことが市場の主な回復要因になっている。弊社含めたグミメーカーにおいては市場が拡大している中でグミのコンビニ向け新商品が増えており、市場拡大の波に乗れたことが大きい

Q、グミに関しての増産、稼働率はどれくらい?
⇒生産が追い付かないくらいまでになっている。
⇒2019年に2ライン目を作った、当時見込んでいた生産規模に対して今はかなり大きくなってきた。生産効率を高めて需要に対応できるように供給体制を上げている。

Q、二直で動かしてる?
⇒今は二直、アサヒ工場は土日も動いている。

Q、それは24時間勤務?
⇒24時間はやらない、2直で回している。

Q、2直で土日だと36協定をすぐに叩いちゃうよね?どうやってるの?
⇒飴の製造にはまだ余裕があるからそこのスタッフにグミ製造を手伝わせている。これで残業調整している。

追加Q、松本工場は2直だけで土日無し?
⇒こっちは土日までは稼働していないと記憶している。
⇒生産量によってはもちろん休日出勤もあるかと思う

Q、これまで2Q(4月-6月)3Q(7月-9月)は飴主力だった時のカンロは業績弱かった印象があるけどこれからはグミで稼げるから期待できる?
⇒グミは気温に対してそこまで落ちないもの、夏場向けのキャンディとして塩キャンディとかにも注力をしている。昨年は冷夏だったから飴もそこまで売上落ちなかったけど甘い飴は熱くなると売上下がる。今期業績予想の修正で下期は従来予想よりもコストアップが厳しくなるだろうということで減益を強めて作っている。

Q、原材料高騰影響がある?
⇒下期に入ってから効いてくる。

追加Q、どんなものが高騰として影響してくる?
⇒砂糖、水飴、包装材料、電気価格やガス価格などが上がってくる

追加Q、下期から上がってくるのはジワジワ?
⇒仕入れとの時間ズレでジワジワ上がってくる。

追加Q、売価への転嫁は不可能なの?
⇒議論中でまだ結論は出していない。他社として値上げを表明しているところも出てきている。

追加Q、どこの会社が値上げをするとあげやすい?
⇒グミTOPの明治が値上げ表明している。
⇒飴は弊社がTOPだけどまだ値上げ表明していない。

追加Q、値上げはやっぱり難しい?
⇒2月時点では値上げには今より消極的だったから経営努力で何とかしようというのが大勢を占めていたけど、最近は値上げをしようかと考え始めている。
 キャンディは嗜好品なので値上げをどこまで消費者が受け入れてくれるのか?を不安に思っている。

追加Q、過去値上げしたことは?
⇒過去値上げしたことはあるけど、内容量を増やすのに合わせて価格を値上げたり数量ダウンさせて値段そのままとかのやり方をしているので、価格だけを上げるということはしていない。


 以上がカンロ取材時での主な話でした。
 通期業績に関しては現状の感じからするとさらに上振れていく余地もありえるかな?と感じています。株価は底値圏なので下値はそこまで怖くは無いかと思います。
 配当利回りも高い企業が市場にたくさんあるのでそうした観点では悩ましいかもしれません。ディフェンシブ銘柄の一角としてよいかと思います。


■AB&Company(9251)

 同社についておさらい
 Aguヘアーという美容室を全国展開しているイケイケゴーゴーのIPOしたばかりの企業です。同社の特徴は店舗展開がAguヘアー出身の美容師がそのままFCオーナーに成り、店舗展開していくことと働いている美容師が業務委託契約の個人事業主であることですね。

詳しくは下記
9251 AB&Company 『スタイリストファースト』で美容室業界に革命を! レポートby相川伸夫
 ※2022年1月3日配信
 https://double-growth.com/9251-abcompany-20220103/

―取材メモより抜粋―

●1Q決算についての概要説明から
 1Qは微増だけど当初考えていた数字から色々と下方乖離してしまった。
 資産除去債務が当初入っていなかったものが1Qで新規に出て来てしまった。
 これは変なものではなく、新規出店したときには最終的退店時に発生する退店費用を負債計上して7年償却する仕組みになっている。
 3年前に原状復帰費用を設定したけど、昨今のコストアップによって負債が2億円上がることになった。未償却分の現在出店しているものは一括で償却(5500万円)しないといけなかった。
 直近出店したものは7年後にはこの費用は無くなる。今後2000~2500万円が四半期ごとに落ちていく。当社の場合は7年で閉店するということはほとんどない。

追加Q、途中で改装した場合は?
⇒改装自体は7年で大体する、この改装費はマックス300万円という感じで退店時のスケルトン費用は変わらない。よって今回の話は新規出店の時だけの話であり、改装費の300万円はその時から7年で再度償却開始する

追加Q、今は夜のスタイリストは戻ってきてるの?
⇒今は戻っている。今回の月次数字は掛け持ちしないと出てこないレベルの数字。昔のアグは半分以上男性で高収入目的(アグだと稼げる)だったのが、最近は入社スタイリストの6割近くが女性でかつ1/3がママさんスタイリストになった。自由な働き方(アグだと育児と両立できるぞ)を求めてこられるようになった。ただ、ママさんが決してダメかというとそんなことは無くて金沢の店はママさんスタイリストしかいない。夕方になると誰もいなくて店が閉まる。とはいえ、それでも120人以上カットしているので店としての収益も大きい店舗。昼に高稼働で夜閉まる。理想的なのは男性とかママさんとか現役女性のバランスが大事だなってことも今回再認識させられた。

Q、これまででうまくいっていることとうまくいっていないことをまとめると?
⇒上手く行ってること…これまでの方針の大枠8割の成長戦略はズレておらず、上手く行っている。
⇒ダメなとこ…上場したことによる今まで以上の指示の出しにくさ(業務委託に出勤指示などをしてはいけない等のガバナンス強化)を足元痛感している。
 なんかちょっとずつうまく行かないという感じ。客数は需要の通り。データを洗いざらい調べた結果わかったのはスタイリスト属性が変化してきている。
 スタッフ不足で夜の回転が少ない店も多いことも分かった

追加Q、夜、回らない店は地域柄?夜のお客さんが居ないのか?それともスタイリストが居れば夜の売上が上げれるのか?
⇒これはスタイリストが居ないだけで、スタイリストが居れば売上が出せる店舗が大半だと思う。

追加Q、700店舗ある中で好調店はどれくらい?
⇒8割くらい。残り2割がスタイリストが欠員とかスタイリストの属性偏りがある感じになるのでここを倒せるように求人や再配置を掛けていく。
 今は市之瀬代表が全エリアを回っているので現場の士気向上にも効果がある。
 やはりこういう業界なので人間味が大事。

Q、美容業界全体は厳しいということで良い?
⇒その認識で良い。他社もほぼAguと変わらない状況で苦しんでる。お客さん側の事情と運営者側の事情で下がっているのもある。業務委託の競合もみんな苦しい状況。お客さんの平常化で4月以降はイイカンジになっている。
 お客さんは戻っている。

Q、原価上昇による出店コスト増加はどれくらい?
⇒コロナ前より10%上がった。1200万円が1300万円になっている感じ

追加Q、意外に少ないね?
⇒結構工夫していて壁材とかエアコンが間に合わなくて大型機械付けたりもある。

追加Q、出店計画は?
⇒給湯器などの材料不足で出店出来ないということやそれによって遅れるとかは無さそう。今期出店計画150の上下75ずつで見てたけど下期の75は出来ると思うけど上期のリカバーは難しそうだと考えている。


 以上がAB&Company取材時での主な話でした。
 今期の業績予想ができるかどうか?においては正直厳しいのではないか?とは感じています。
 とはいえ、優待利回り10%以上の現状ではそこまで下値はこわくないかもしれません。
 もし下方修正になった場合には配当も連動して下げてくる可能性が高いのではないでしょうか?ここら辺は経営の意思決定次第ですね。
 長期では業界のイノベーターのポジションは変わらずですので、今後も応援していきたいと思います。


■フリュー(6238)

 同社についておさらい
 フリューはプリクラ&クレーンゲームのプライズ製造・卸販売が主の企業で有利子負債0のネットキャッシュ経営を主で展開している企業です。

―今期業績予想について電話問い合わせ-※詳細取材は後日

1)プリクラ事業はシール紙の値上げに見合う筐体にするためのコスト増による赤字販売を継続
2)コンテンツメディアでの利益減の理由は退会率低減等の販管費を3億程度見込んでいる。尚、これはスポットに近い性質。また、新規事業(オルドット含む)は前期4億の赤字であり、今期5億赤字前提。
3)キャラクタMDはプライズが横ばいで海外物販2200百万円、高価格帯ホビー3000百万円
4)クレーンゲームの景品価格は風営法改正で800円⇒1000円に変わったけど今期での前提は800円のまま作成した
5)キャラクタMDの為替での利益悪化は1円円安になると70百万円のマイナスになる。サイズダウン含めての売価設定交渉を進めるも今期業績予想ではあまり織り込んでいない
6)クレーンゲーム横ばいで利益率が低い前提条件には去年の鬼滅・呪術等のヒット商品は一つも出ない前提で作成
7)ゲーム事業のゆるキャン△で利益0予想なのは映画よりもその後のDVD等のグッズ販売のが儲かる仕組みのが強い。これは3Q以降、来期メインで貢献してくる
8)自社株買いは大いに検討しているものの決算発表までに取り決まらなかった。今も検討している

という話でした。

 また、上記のように問い合わせないと分からないことを今回説明資料に載せていないのはIR姿勢として非常に良くない物と考えます。四半期ごとに説明資料を出しているからこそ馴れが出ているのではないでしょうか?
 よって、【資料作りに関して全体的に不備が多すぎる事を指摘&決算説明会動画はまだ未収録との事なのでその時に一過性の費用が出ているものや来期展望等も含めて説明してもらえるように要請】いたしました。

 今回は2022年4Q決算単体でもこれまでの流れとはかなり異なる費用の使い方をしてましたし、23年3月期の業績予想に関しても利益を大きく削っている費用部分が書かれていないというのは自社の価値を大きく毀損するだけの非常にマズイ資料であると私は感じております。説明動画で改善されていることに期待します。

 また、前期実績の配当15円上げて決算後の株価が100円下がるという資本政策も全く理解が出来ませんでした。言うならば権利日だけ優待目的で保有した人にだけお金を配って、同社を真に応援している現在株主が損をする資本政策は現経営陣が何を考えているのか不安になってしまうものです。
 前回実施の自社株買い平均が1089円(取得期間2019年11月14日~2020年2月12日で約2%購入)でしたし、これからリオープニングに向かっていく中で今後の業績に自信があればあるほどスーパーインサイダーとして配当よりも自社株買いを選ぶのが資本政策としては正しい選択であると私は考えます。
 次回取材時にもきっと三嶋社長と再度対談できるものと期待しております。
 その際にどのような考えでこの資本政策を選択し、今期の業績予想をどのように考えているのか?来期以降の展望をどの程度で見積もっているのか等を詳しく伺いたいと思っています。

 私は現状、フリューは大変投資妙味のある企業の一社であると考えています。
 ピカピカのリオープニング銘柄かついち早くインフレ適応して見せた同社がIR資料、姿勢ともに天下を取るのに精いっぱいお力添え出来れば幸いと心より思っております。


 株式市場は今年も大きなボラが続くと思いますが、これまで30年のデフレで蓄積された日本市場の現金がインフレで毀損する世界になることで日本株評価は大きく変わると私は期待しています。


それではまた!


『全力全開全力前進!!!』


(相川伸夫)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)