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=教科書の選定 平山令明氏「暗記しないで化学入門」BLUE BACKS


 使用する教科書は2021年11月に講談社のブルーバックス シリーズから新調出版された「暗記しないで化学入門」平山令明氏の化学の入門書です。
 平山先生は昨年2021年時点では東海大学の生命科学研究所の所長として多くの論文を書かれています。化学教育書も数多く執筆されています。わたしは平山先生の書物はほとんど揃えています。

 わたしの一押しの本が平山先生の「暗記しないで化学入門」(本コラムでは以下、教科書と記述します)なのです。是非、手に取って読んでもらいたい本です。電子版もあり、値段は1100円で教科書としてはとてもお買い得です。
 日ごろから化学の難しさに頭を痛めていましたので、それが氷解した喜びは大きく、わたしが特別に感銘を受けた書です。
 amazonリンク ⇒ https://amzn.to/3G5NfzC

 このコラムでは平山先生の教科書のポイント部分だけを引用いたしますが、わたしは自分の理解の範囲で、わたしの言葉ですべてを置き換えています。
 「空いたダブルベッド」などの少し砕けた表現で、化学者が絶対に使わないような「乱暴な」言葉で化学を表現したのは、このコラムが化学の初心者を想定しているからです。

 本コラムは投資先の製品に関する仕組みの解説であったり、昨今の化学業界の技術トレンドであったり、盛沢山の内容となりました。
 本コラムはあくまで山本から見た化学の理解と製品の理解に過ぎません。
 できるだけわかりやすく化学の面白さと投資へのインプリケーションを書いてみました。
 平山令明先生は化学の教育についても高校生向けにメッセージを書かれています。参考書を読む前に、平山先生の本を読んでほしいとおっしゃっています。そうすることにより、電子の動きがわかり、深く化学反応が理解できるのだとおっしゃっている。

 わたしは平山先生の化学入門はどの本も目から鱗でした。
 ですので、本コラムは平山先生に捧げたいと思います。
 先生に深く感謝御礼申し上げます。


=なぜいま化学か=


 投資家にとって、将来の趨勢を占うことは投資の成績を左右することになります。
 化学の知識が投資効率を決めるといってもよい情勢です。

 わたしたち人類はこれまで、とても高い圧力や信じられない真空状態をつくり、様々な物質を大量生産してきました。あるいは非常な高温状態でガラスやセラミックを加工したりしていました。それも石化のエネルギーがあってこそ成り立つものでした。高エネルギーを所与としていたのです。
 しかし、カーボンニュートラルを目指す上ではこれまでのような石化エネルギーの大量消費は許されなくなったのです。

 長期投資の本質は本連載noteマガジンのvol.3とvol.4で書いたように表面積が付加価値の場合、ナノメートルベース(10のマイナス9乗)に加工することで投資効率を高めることができるのでした。1グラムの白金をナノベースに極薄にすれば1000平米の面積を得ることができます。

 化学の反応は実際にはナノベース以下の反応です。
 原子間の結合の長さはオングストロームベース(10のマイナス10乗)です。

 その界面(表面積部分)で反応を起こすわけですから、化学は重要なのです。

 表面積に比例して化学の力は高まる。
 長期のテクノロジーのトレンドは化学の力をより広い表面積で使うトレンドです。テクノロジーのトレンドとしてオングストロームベースの反応が爆発的に活用される。
 大きな器で「狭い」表面で反応を起こすよりも、小さなマイクロ流路でナノベースのスペースで反応を利用する方が圧倒的に強くなる。
 大きな器では反応の界面がほんの一部に留まってしまうが細くて長い界面では一気に反応を進めることができるのです。

 化学はこれまでタンパク質の分子立体構造がよくわからなかったのですが、いまは反応を立体的に見ることができます。電子顕微鏡や質量分析装置の観察技術や人工知能解析によりシミュレーション精度が向上したためです。
 メタセシス反応などの新しい触媒機構が発見されました。新触媒の開発はまだ始まったばかりです。ナノ合金などが開発されコストも低く工業適用ができるものが登場しつつあります。


 いまこそ化学なのです。
 これまでは、工学と理学の間に垣根がありました。
 学問であっても経済性を考える工学と違って理学は真理の追究を追い求めてきました。理学の学術研究が即座に工学的な意味を持つ、そんな時代に変わったとわたしは日々、感じています。工学はより理学に近くなっている印象を個人的に持っています。

 株式投資家の立場では、研究開発の投資効率は各段に上がってきたと思います。原理原則を深く理解した理学のバックグランドが工学者にも求められる時代になったのではないでしょうか。

 生命の仕組みというものは、タービンや蒸気を必要としません。常温常圧のもっとも省エネな化学反応を行うのが生命なのです。

 また、半導体プロセスでは人類はようやくナノベースの加工の領域に入りました。半導体の露光プロセスは実際にはレジストの引き起こす化学反応です。
 エッチャーと呼ばれる工程もCVD工程も化学反応がベースです。光が引き起こすレジストの連鎖反応も化学反応です。
 こうした反応はオングストロームベース(1オングストロームは1メートルの百億分の一)で生じています。

 カーボンニュートラルへの時代へと向けて、すべてにおいて化学反応が深く関わっています。太陽電池、リチウムイオン電池、半導体、製薬、食品、燃料、素材などがリサイクルされるようになります。
 リサイクルでは少量の選択制の高い触媒による化学反応利用し、これまでのように高エネルギーを消費する燃焼だけに頼る反応は大々的に使えません。

 カーボンニュートラルが人類の課題となってからは、石化エネルギーに頼らない循環型社会の構築が優先されるようになりました。
 化学においても、強い力ではなく、弱い力でしかも常温常圧で多種多様な物質を必要なだけ作るプロセスが好まれる情勢です。

 それをすでに実践しているのが生体です。
 汎用化学製造で触媒が必要なように、われわれの身体もタンパク質製造を酵素が助けます。酵素と触媒とは言葉は違いますが両者とも化学反応を助けるという意味では同じものです。
 生体が日々行っている腸内フローラの活動はたとえば消化酵素がペプチド結合を切断する化学反応であったりするのです。

 ナノテクノロジーの本質は表面積の拡大にあります。
 1gの金属が1000平米の界面を持てば高い活性が得られます。人類はその利用権を有したばかりで、まだナノテクノロジーの工業的利用は始まったばかりなのです。

 特に酵素や触媒の応用範囲はとても広く、世の中全体に対するインパクトも大きいのです。
 代替エネルギーや高機能な活性触媒はカーボンニュートラルへの決め手になりえます。そして有望な投資先も化学の反応が理解できれば、よりその有望さが理解できるからです。


 以下、電子の挙動についてのお話が丁寧に記述しています。
 続きはセゾン投信のnoteでお楽しみください。

 今回の続きが書いてあります。セゾン投信のnoteのURLは以下です↓
 https://note.com/saison_am/n/n2335bfc5d398?magazine_key=m12b0044adb9a


(つづく)


山本 潤 セゾン投信共創日本ファンド ポートフォリオマネージャー


【お知らせ 共創日本会議開催】


 11月は茅場町FINGATEにて14:00から16:00まで、開催を予定しております。
 12月はセゾン投信(サンシャイン60 48F)にて開催を予定しております。

○11月26日土曜日(参加無料)
 リアル参加をご希望の方はこちらよりお申込みください。
 https://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220921151224.html

 オンライン参加でご希望の方はこちらよりお申込みください。
 https://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220921151122.html

○12月17日土曜日(参加無料)
 リアル参加をご希望の方はこちらよりお申込みください。
 https://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220921151609.html

 オンライン参加でご希望の方はこちらよりお申込みください。
 https://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220921151525.html


 共創日本会議12月まではオンライン配信もする予定です。
 来年1月以降、ライブ感を重視するために、オンライン配信はとりやめることにしました。共創日本会議はリアル開催のみにする予定です。
 リアル参加できない方には後日、動画を編集後、順次、公開予定といたします。来年1月以降は一緒に長期投資を学習していくスタイルにいたします。
 楽しみにしていてください!!

 隔週水曜日の夜のオンラインセミナーはそのまま継続する予定です。


【お知らせ noteの執筆開始】

 セゾン投信の国内株式運用部ポートフォリオマネジャーの山本とシニア・アナリストの大月が長期投資のだいご味や業界の深堀レポートをコラムにしたnoteを始めました。

https://note.com/saison_am/magazines

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【ご留意事項】

情報提供を目的にしており内容の正確性を保証するものではありません。
投資に関してはご自身の責任と判断でお願いします。当コンテンツに係る留意事項は以下のリンクにてご覧いただけます。
 ⇒ https://www.saison-am.co.jp/attention/#risk

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