有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=コラム「運が悪いときは、大負けしにくい銘柄投資が良いと考える」
(有料メルマガ第158回・2012/1/10配信号)
※2012年1月現在の内容です。留意してお読み下さい。
【前略】
年末からお正月にかけて、自分の2011年の株式投資についてじっくりと検討した結果、自分の投資に対する運(運気)が落ちていることに気がつかずに、キャピタル・ゲインを期待した投資銘柄にタイミング悪く投資して、傷口を深めてしまったという自己評価に落ち着きました。
年の終わりに気が付いても遅すぎるかもしれませんが、傷口がリーマンショック後のように大きくならなかった原因を考えるため、自分のポートフォリオの銘柄群を見直してみると、運気が下がっているときにやるべきことが見えてきました。これは従来から色々な運に関する書籍などをたくさん読んで知っていたことの投資への応用ということになると感じました。
東日本大震災やユーロ諸国や米国で代わる代わる起こってくる金融危機やタイの大洪水があったために、投資環境が悪化したから自分の株式投資の成績が悪くなっていると考えてしまったことが、運気の低下に気づかなかった原因だったと反省しています。もちろん 投資環境が悪いことも従の要因ではありましたが、自分の投資運が上り調子の右回りから、左回りに落ち込んできたことが一番大きな運用成績悪化の原因だったと、今では考えるようになりました。
実際の自分の株式投資の足跡を確認すれば、業績がすこぶる良くて低PERで低PBRで高配当銘柄である総合商社に投資した直後から総合商社の株価が下落したときに、この投資タイミングの悪さは、すべて運気の低下にも原因があるのではないかと気が付くべきでした。
では、リーマンショック後のように大きく資産を減らさなかった、自分の運用成績を下支えして助けになった銘柄はどのような銘柄だったのでしょうか。それは株価の上昇よりも、配当や優待などのインカム・ゲインを取ることを狙った銘柄群でした。このような銘柄の配当や優待などの大きなインカム・ゲインと株価が上がったこと(値下がりが少なかった銘柄もあります)で運用成績が下支えされました。
投資でも人生でも運が悪くなってきたと感じることは起こります。学生時代にマージャンなどをしていたときには、運の変化を実に強く感じました。また運が良いときにも、下手なことをしたために運が一気に悪くなることも良くありました。
このような運が悪くなってきた(⇔自分の投資運が左回りに動き出した)ときに、志すべきことは、マージャンなどのゲームでも、人生でも、株式投資などの運用でも同じです。
つまり悪い運の流れに逆らうような、一発逆転(=株式投資なら大きなキャピタル・ゲインを狙うような投資)を狙わずに、負けないこと、柳のように大風に逆らわずに受け流すこと、我慢して耐えしのぐことです。
投資で言えば、市場から強制退場を宣告されるような大勝を狙った勝負を行なわないこと。私の投資で言えば、大きな値上がりを狙う銘柄ではなく、高配当や高配当優待銘柄を多くして、負けにくい投資に切り替えることです。
運気の低下には気がつきませんでしたが、去年の10月以降にやってきたことを自分の投資を振り返ると、上がりそうな、儲かりそうな銘柄に集中投資するようなことは中止していました。そして低PERかつ低PBRかつ配当利回り(または配当優待利回り)5%を超えるような資産のバリュー株に分散で多くの資金を投資するような、大負けしにくい銘柄を増やしていました。
配当額や優待の価値が高いと、株価が下がっても配当+優待の金額までは損にはならないと考えて良いと思います。経済的に考えると「配当や優待の金額」が「株価の値下がり額」を超えていれば損をしていないことは理屈にあいます。配当や優待の金額を越えて株価が下がったら、その部分が実損になります。
しかし、低PERかつ低PBRかつ5%を超えるような高インカム・ゲイン利回りの銘柄は、株価が下がるとインカム・ゲイン利回りがますます高くなるので、株価の下支えが効き易く、下がりにくくなる点が強みになります。無意識ながら、負けにくい投資をするという投資方針に切り替えていたことが、痛手を少なく出来た主要因でした。
私は定年まで待たずに、サラリーマンを卒業したので、まず私的年金が貰えるようになる60歳までは、安定的なインカム・ゲインを確保することが最大の株式投資の目的です。そのことを、ことあるごとに意識して、自己確認してきたことが良かったのだと思います。
ただし、配当や優待などのインカム・ゲイン利回りの高い株だけを選んでいると、キャピタル・ゲインによる資産増加のスピードを犠牲にする可能性もでてきます。そこで、ポートフォリオには株価が上がる可能性が高い低インカム・ゲイン利回り株も、少しは加えることにも腐心してきたつもりです。運気が低下したときは、このような銘柄のポジションを落とすべきでしたが、その動きが遅れてしまいました。
もしサラリーマンを定年まで続けており、毎月ごとに安定した月給や年に2度あるボーナスを確保できたならば、もう少しキャピタル・ゲイン狙いの銘柄を増やしていたかもしれません。
しかし、低配当利回りの資産背景の大きな割安株に投資したいと考える時も、当然あります。そのような銘柄に投資するときは、その銘柄の低い利回りをカバーできるような高配当または高配当優待銘柄と一緒に投資して、両方の銘柄合計でインカム・ゲイン利回りを高めておきたいと考えて、資産の蓄積がまだ進んでいなくても、成長のスピードが早い高配当銘柄にもチェックを入れることを実行しています。研究銘柄として取り上げるときは、キャピタル・ゲインを狙える銘柄も選びたいと思っています。
私と違い、運が良い右回りの状態になっておられる購読者のかたもいらっしゃると思うし、今は悪くても、投資の運が良くなり始めたら積極的にキャピタル・ゲインを狙って投資する価値があると思える銘柄を、事前に選んでおきたいとも思うからです。
本日の研究銘柄の対象であるニッタなどは、キャピタル・ゲインを狙える可能性のある銘柄のほうに分類されると考えています。
少し話を変えて、最近はIPO直後に高値買いをした投資家が、株価の下落に恐れをなして、損切りで撤退を急いで出してくる投資環境の悪い時期には、このような場面に良く出くわしてしまいます。
2008年のIPO後に株価が下落した時点で投資して、高いインカム・ゲイン(=魅力的な優待と配当)利回りを楽しみながら、その後2.5倍程度まで株価が上がった銘柄を経験して、IPO後の投売りで下落した成長株に投資する面白さを感じたことがあるので、そのような投資のアイデアを考えたりしています。
【中略】
株式投資が運に全てを任せる宝くじなどと違うのは、投資する企業の財務内容や資産背景、現在の業績などを調べることで、企業の今後の成長などを予測して投資が出来る点です。もちろん、投資環境の変動で需給による株価の下落が避けられないことは、2011年の株式市場で充分すぎるほど体験できたので、調査におぼれた集中投資は控えながら、2年から3年程度の企業の成長と株価の成長に期待できる銘柄を、研究銘柄やコラムで取り上げていきたいと思っています。
【後略】
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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