暑いですが皆さんお元気でしょうか。
 お盆休みで故郷にお帰りになっている方も多いのかと思いますが、この夏の暑さは例年以上に厳しいですね。既に残暑見舞いの季節となっていますが、季節は既に盛夏を経て秋に向かう頃となります。自然あふれる皆さんの故郷では収穫の秋を迎えることになりますね。
 株式市場でも収穫の秋といきたいところですが、春がホット過ぎただけにまだ収穫の時期が見えないようです。それでもコア銘柄の一部には昨年から今年にかけ大きく上昇し、投資家の皆さんに大きな果実をもたらしそうな銘柄もあります。
 日経平均は5月高値1万5,900円と6月安値1万2,400円の中間ゾーン1万3,500円から1万4,800円の間で変動している状況です。下がる と弱気の声が出て、上がると強気の声が出て多くの投資家はそうした変動を見て、なびきがちとなりますが長期投資をなりあいとする皆さんは比較的冷静な対応 をされているものと思います。

 株式投資によるリターンは基本的には投資した企業の自助努力による業績の拡大によるところが大きい訳なので、投資先の業績と株価水準がポイントとなりま す。アベノミクスがどうだとかこうだとかはともかくとして、ここは引き続き冷静に相場の潮流を眺めていきたいと思います。

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 私は過去長期的にいくつかの企業をウォッチしてきました。調剤薬局のメディカルシステムネットワーク(4350)やJPホールディングス(2749)、 日本フェンオール(6870)、アスカネット(2438)、きちり(3082)などですが、いずれも3年から5年のウォッチの中で利益成長とともにリター ンが上がってきた経緯があります。

 このほか、サイネックス(2376)という企業と過去7年もの間おつきあいしてきました。正直言ってこの会社とのおつきあいは苦労の連続でした。この会 社が上場したのは2003年11月。地味な株だったのですが、上場直後は結構人気化したようで、700円の公募価格に対して上場の翌年に1730円という 高値をつけたことがあります。
 その後あるファンド会社が主催するパーティの席で役員と面識を持って、交流を持ち始めたのがきっかけで多くの方にお話ししたのが事のはじめです。一時は関係先の投資事業組合で投資までさせて頂いたこともありましたが、思ったほど成果が上がらずにきました。
 2006年の株価水準800円台から注目開始したのですが、あれからはや7年。経営者も役員もまったく変わらずに会社そのものは大きな変化はなく、経営者は長期で見てほしいという主張でとうとう7年もおつきあいしてしまいました。
 リーマンショックもあって2008年には201円まで下落しましたが、買いコストの引き下げのためにコツコツと買い続けた投資家の方は株数のみがたまる 状況となり、私の運用方針が間違っていたのかと悩んだりもしました。途中で関わって投資されたお仲間にも迷惑をかけてしまいました。
 そのサイネックスは地域戦略を重視していたヤフーと提携。ヤフーロコという商材を積極的に展開しようとしていましたがヤフーの戦略転換で子会社化寸前 だった関係は単純な提携関係に留まりました。結果として新株予約権の行使はなされずに終わってしまいました。ヤフー関連との期待感もあり一時は株価が急騰 し1144円という高値までつけ長期スタンスの投資家のEXITがやっとできたと考えられますが、その後は全体相場の調整もあって急落し450円というほ ぼ元の水準まで調整をしています。その後595円まで戻りましたが、現在も株価は500円割れの水準に留まっています。

 2006年3月期の業績は売上高76億円、経常利益5億円、EPS28.2円の水準でしたが今期予想業績は売上高101億円、経常利益6.7億円、EPS73.2円ですから当時の水準を上回っています。相変わらず低PERの状態です。
 株主資本も2006年3月期は33億31百万円でしたが、前期末現在は42.3億円と拡大しています。また期末現預金も12億円から29億円へと増加。
 決して急拡大している訳ではありませんが、着実な業績を上げてきた結果としてP/LもB/Sも改善してきました。

 この会社もともとはテレパル電話帳という傍目で見ればもう必要なさそうな検索紙媒体を設立以来、全国で延々と発行し続けてきた会社です。今年で創業60周年を迎えます。
 紙媒体は今やIT化され、インターネットの時代を迎えていますので、企業の存在感が薄れていましたが、4年前にスタートした地方自治体との協働事業である広告入り暮らしの便利帳の事業が新たな収益源として拡大しつつあります。
 既に発行済みの地方自治体数は500近くに達していて1730余りの自治体の3割近くが発行している計算となります。事業開始して4年でここまで来まし たので、ここからはITとのつながりが求められます。紙媒体とITメディアとの融合で提携先のヤフーとの協業モデルや新たなITメディアなどとの連携が課 題となってくると考えられます。
 自治体との関係で地域の特産品をサイト内で掲載・販売を開始。地域活性化のための地域ポータルサイト「City Do!」も余り目立ってはいませんが着実に存在感を増しています。
 同社は全国の中小企業広告主との関係をキープしながら地域活性化のビジネスに取り組んでいこうと頑張っています。

 日本経済の問題点は都市と田舎、地方との格差が拡大していること。また疲弊している中小農家が担う農業の効率化、6次産業化が課題となっています。アベノミクスがテーマとする農業活性化はいわば地域の活性化にもつながることになります。

 少子高齢化社会の中で日本経済は地域社会の財政難という課題を抱えその解決策として消費税増税による財政問題の解決を図ろうとしているということなのですが、財政難で身動きの取れない公的機関に代わり民間企業でも同社のような取組が不可欠です。

 国家の財政難は地方の財政赤字の積み重ねからも来ていますが、同社のようにキャッシュを積み重ねてきた民間企業がそのキャッシュを有効活用して地域活性化の事業を展開し、株式市場でも高い評価を得られるような継続的なビジネスにつなげていくことが理想です。

 例えば全国の小中高校が少子高齢化の中で廃校となっていて、その有効活用に困っているという話があります。廃校の再生、有効利用を官民協働で取組むこと は地域の活性化につながります。そこで教育を受けた人々や観光で訪れた外国人、都会人が廃校で繰り広げられるイベントに参加してもらって町興しを行うなど という活動を行う主体に同社のような地方自治体とのコミュニケーションが取れる企業が旗振り役になればと思う次第です。
 廃校には地元の農家が栽培した採れたての野菜や果物が集まり、それが全国ブランドとなるかも知れません。地産地消の拠点として廃校が活用されるのであれば地域経済の活性化にも貢献できるものと思います。

 派手さには欠けますが、中小事業者のサポートや地域の活性化にロングテール戦略で取り組む同社にこれからも大いに期待したいと思います。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)