今週(20~24日)の東京株式市場は、日経平均株価で342円90銭(2.2%)下落しました。本日(24日)は304円の下落となり、今年の安値を付け、13年12月17日以来、1カ月ぶりの低水準まで下げています。

 市場のムードに影響を与えたのは、23日発表の1月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報が50を6カ月ぶりに下回ったことです。た だ、新興国の景気減速は想定済みの現象であり、何度も書きますが、足元の株式相場のもたつきは、昨年年末に9連騰を演じたことによる調整の範囲内と考えて います。

 千代建(6366)、日揮(1963)についても何度も書いておりますが、千代建はLNGプラントの受注環境好転に加え、「水素社会実現」に向けて同社の水素・貯蔵技術への期待が高まっていることも株価上昇の支援材料となっています。

 水素は天然ガスなど様々な化石燃料から取り出せるほか、水の電気分解で無尽蔵に取り出すことが可能とされます。ロケット燃料に使われるように熱量が非常 に大きい特徴をも持っています。燃焼時に有害物質を出さず水しか排出しないため、「究極のクリーンエネルギー」とも称されるほか、輸入の化石燃料に頼る日 本にとり、水素は将来的に国内で自給できる可能性があることが期待されています。
 シンクタンクの試算によれば、水素インフラ市場は二〇三〇年に約三七兆円に拡大する見通しで、このうち、次世代エコカーの燃料電池車(水素と酸素を化学反応させて電気を取り出し、モーターを回して走る)は約七兆円で、世界で三五〇万台が販売される見通しとしています。

 千代建は「水素サプライチェーン」の構築を指向しており、水素販売の事業化を推進しています。一三年六月には川崎市と「水素社会の実現に向けた連携・協 力に関する包括協定」を締結。化学物質から水素を取り出す「脱水素化」用触媒の開発に成功するなど、その高い技術力が注目されています。水素化プラント、 脱水素化プラントの受注なども見込まれ、中長期的に収益拡大への大きな寄与が期待されています。

 「水素社会はそう容易には訪れない」と否定的な見解があるのも事実ですが、シェール革命の進展を背景に、同社の良好な受注環境が中期的に続くことは十分 に見込まれそうです。それを評価する形で、株価が二〇〇〇円をクリアするのは、あながち無理な展望とはいえないように思います。

(水島寒月)

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