企業には設立時の状況と設立されてからの発展期の話、上場時の話など様々な歴史が積み重なっています。設立間もない企業がいきなりIPOして人気を集め る例もありますが、多くは設立時に苦労しながら発展を遂げて確たる地位を得て上場にこぎつけ、上場をバネにして成長する事例が多いと思われます。

 過去の社歴の中には多くの苦労話と隠された秘話があります。そのことを知っておくことは長期投資家にとっては必要不可欠なことかも知れません。

 社歴には今後の業績を占うためのヒントがたくさん含まれています。

 業績の推移についても、期初の計画に対して実績がどうだったかなど面白い歴史があります。期初計画をいつも下回って着地してきた銘柄が期初計画を上回って着地したりすることもあります。
 逆に過去の社歴がその銘柄のネガティブな要因となったりもします。

 上場後においてどのように成長を目指してきたのか、実際にどのような分野で成長しようと考えているのかなど定性的な経緯を知ると面白いかと思います。

 プローブカード、半導体計測装置メーカーの日本マイクロ二クスが量子電池をネタに株価急騰して話題となっていますが、過去の技術開発の歴史にはそうしたヒントが隠されていたのかも知れません(IPDLでは電池に絡んだ特許が4件出願されていました)。

 アスカネットの空中結像技術なども当初はなかなか注目されなかったのですが、昨年から一気に大注目されるようになってきました。この場合は写真の事業が拡大した新たな表現技術として同社が組み入れたことが事業展開の背景になっています。

 創薬ベンチャーもそうですが画期的な技術への評価は過去の社歴で語られる事業への思いが大いにヒントになると考えられます。企業の評価は社歴や過去の事業経緯などの意外なところから醸成され拡大していくのではないかと考えられます。

 日本ピストンリングのような老舗のピストンリングメーカーも背景にある特殊な技術を用いた新たな分野へ参入しようとしています。多くの企業が歴史的な事 業蓄積の下にある経営資源を今こそ活用して世界市場に打って出るぐらいの意欲を示せば市場はより一層活気を取り戻すのではないかと思います。

(炎)

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