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市場潮流

2014-04-21 11:36
    今週(4月14日~18日)の東京株式相場は、日経平均株価が週間で556円(率にして3.9%)上昇し、2週間ぶりに1万4500円を回復して終えまし た。前の週に1万4000円を割り込んだことで割安感が強まったことに加え、今週は米株式相場が堅調に推移したほか、外国為替相場で円安が進行したこと で、輸出関連株が買われました。
     麻生財務相が16日の衆院財務金融委員会で、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用見直しの動きが6月にも出てくる」と発言したことも好感されました。
     ただ、本日(18日)は東証1部の売買代金が1兆1502億円と17日から6477億円減少し、12年12月12日以来ほぼ1年4カ月ぶりの低水準にとどまりました。聖金曜日の祝日で欧米などの市場が休場となったことも影響しましたが、エネルギー不足は否めません。

     来週以降は、主要企業の決算発表が本格化してくることに加え、米オバマ大統領の訪日(23日~25日)に向けたTPP交渉の進展への期待など手掛かりが 増えることで、徐々に市場のボリュームも回復するとみています。「短期的なヘッジファンドの動きに惑わされることなく、中長期的な観点で押し目買いに徹す るべき」との筆者の基本的な考え方に変化はありません。

     ところで、以前に当コラムで紹介した東京海上アセットマネジメント投信のチーフストラテジスト平山賢一氏が新たな著書を出版されました。「勝ち組投資家になりたいなら「統計」を読め!「人口動態」から読む次世代投資」(朝日新聞出版)です。平山氏は「金利史観」、「国債と金利をめぐる300年史」(共著)、「振り子の金利史観」、「2013年、インフレ到来」など多くの好著を執筆されており、数百年単位の長期的・歴史的な視点をベースに投資を考察するスタンスに大きな特徴があります。
     今回の著書も、人口の増減といった量的な変化だけでなく、人口構成といった質的な変化(人口動態)と経済社会を結びつけることで、「政治・経済・金融市 場」を分析・予測。その上で、21世紀に期待される産業を投資対象として浮かび上がらせています。たいへん示唆に富んだ好著ですから、是非お読みいただ き、長期的視点から株式投資を見直してみてください。

     なお、4月1日の消費税率の引き上げ前後の小売各社の販売動向が相次ぎ発表されています。小売業で3月の「駆け込み需要」が大きかったのは、家電量販 店、ホームセンター、百貨店、家具店など。当然のことながら、4月に入っての反動減も大きくなっていますが、小売各社へのヒアリングによれば、現在までの ところ、「反動減は想定より軽微」との反応が多いようです。退職した「団塊の世代」に加え、「多消費年齢」に差し掛かっている「団塊の世代ジュニア」など の根強い「シニア消費」が底流にあり、雇用・所得環境の改善と相まって消費を下支えしているものと筆者は考えています。しかし、「消費者が増税を実感し、 節約等の行動に移すまでにはタイムラグがある」、「前年4月は第1週の週末に暴風雨となるなど天候不順であっただけに、ハードルが低い」などの見方もある ようで、いずれにしても、増税の影響を見極めるには、しばらく時間を要するようです。
     ただ、来15年9月に自民党総裁としての任期を迎えるばかりか、10月にも再度の消費税率引き上げ(8%→10%)を控える安倍首相としては、このまま 景気を失速させるわけにはいきません。TPP、東京五輪(2020年開催予定)なども絡めた各種施策により景気浮揚を図りつつ、消費税率の引き上げにより 財政再建の道筋を確かなものにしたいはずです。15年前半に「2年程度」というインフレ目標の期限を迎える黒田日銀総裁とともに、今後「懸命の」政策努力 が展開されるものと考えます。

    (水島寒月)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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