とりわけ決算へのサプライズが株価の変動要因となっています。
ここでのインパクトデータは前期の期初計画、期中計画に対しての実績、売上、営業利益、経常利益、当期利益がどうだったのか、今期の期初業績計画は前期に比べてどうなのか、期初計画は堅めなのか、楽観的過ぎるのかを確認する必要があります。
エクセル(7591・時価1391円・時価総額126億円・今期予想経常利益38億円)がサプライズの決算発表を行い、先週末にストップ高を演じました。
今期の業績がこれまでの会社四季報ベース(売上高1300億円、営業利益19億円、経常利益19.8億円、当期利益15億円、EPS173.1円)をそ れぞれ売上高2300億円、営業利益39億円、経常利益38億円、当期利益29億円、EPS334.6円へと大幅に上回る見通しを示したためです。
ストップ高で終わってますが今期PERは4.2倍という水準で実績PBRも0.42倍という水準ですのでなおも水準を高める要素があります。
同社はシャープなどの半導体を取り扱う独立系エレクトロニクス商社で業績の変動があるためこれまではどちらかと言うと株式市場ではバリュー株としての評 価が主でした。平成12年の安値638円から昨年の高値1400円まで2倍余りの上昇を経て1000円から1300円でのレンジ内での変動を続けてきまし たが、先週は一気に株価上昇を見せています。
問題はこの見通しは果たして信憑性があるのかという点です。決算短信には中期計画を推進している状況が示されていますが、ゴールとなる決算期は平成28 年度でまだ先です。今期の計画の内容は数字のみで短信には示されていませんので、確認が必要となりますが、短期的にはサプライズが生じて株価水準をある程 度まで上げていく可能性があります。
また、同社は時価総額が126億円しかなく、バリュー株が成長株に変身した場合のインパクトは大きいと考えられます。営業CFが赤字で財務内容が有利子 負債の拡大でリスクも感じられるものの、同社の株価は変化を始めた可能性が感じられます。株価の上昇が落ち着いた局面では中長期視点での利益成長の可能性 を調査しないとなりません。
専門商社株という評価はPERの向上にとってネックとなりますが、何がここまでの業績向上に貢献するかを確認できれば新たな評価も可能かと思います。
前期は半導体商社マクニカ(7631)が大きく利益を伸ばし(経常利益56億円から106億円に)株価が1年間にわたって上昇し時価総額も300億円以下から580億円水準にまで上昇しました。エクセル株の場合はどうなるでしょうか?
このところ田中商事(7619・今期経常利益15億70百万円、時価総額52億円・実績PBR0.61倍)など商社、卸企業の中でサプライズの動きが見られます。全体景気の回復が個別の企業業績にも反映されてきたようです。
半導体商社株のサプライズ決算見通しは、他の半導体関連銘柄も刺激しそうな気がします。トレックスセミコンダクター(6616・PBR0.93倍)や PALTEK(7587・PBR0.63倍)、黒田電気(7517・PBR0.84倍)、菱洋エレクトロ二クス(8068・PBR0.47倍)、リョーサ ン(8140・PBR0.53倍)、三信電気(8150・PBR0.28倍)、加賀電子(8154・PBR0.59倍)、都築電気(8157・ PBR0.30倍)など低PBR銘柄がこの業界には多く、業績の想定外の急浮上によって株価は居所を変えるというパターンが期待されます。
低PBRのバリュー株への投資は忍耐が必要ですが、業績の急速な回復、浮上が企業努力や市場の変化で達成され、価値ある成長株へと変化してくれば自然体で株価は上昇する可能性を秘めているのではないかと考えます。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)