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犬も歩けば低PBR銘柄に当たる
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犬も歩けば低PBR銘柄に当たる

2014-05-20 16:14
    決算発表では売上、利益が最大の関心事となりますが、一方でB/S上の動向にも関心を寄せておく必要があります。投資を手控えてきた企業の多くは利益の積み上げでキャッシュポジションを継続し一株当たりの株主資本の充実に努めてきました。
     株主資本の充実に伴って株価が上昇すれば問題はありませんが、収益が伴わず株価が上がらない状態だと結果としてPBRの水準は低下してきます。

     日本の上場企業は約3600ありますが、PBR0.5倍、つまり解散価値の半分でしか株価が評価されていない企業は644社(5月16日現在)もあります。また2000社以上がPBR1.0倍となっています。
     その中には実質無借金経営で現預金を積み増している企業も数多くあります。

     なぜそうした状況になっているのかと言うと多くの企業が将来性がないと判断されていて、成長意欲に欠けているからだと考えられます。市場関係者はこうした状態をどう思っているのでしょうか?

     低PBR銘柄には万年割安銘柄が多く、市場での不人気が影響しているように思われます。ただ、それだけの要因ではありません。発行体企業自らが情報発信 をせず、投資家を呼びこまないで放置しているケースが多いのではないかと考えられます。流動性にも乏しく短期指向の投資家の売買対象にはなっていないため 市場人気に欠けているものと見られます。長期投資家の投資対象とはなっても短期投資家が関心を示さないため流動性が低下してしまう訳です。

     一方で高PBR銘柄の大半は資本蓄積の乏しいマザーズなど新興市場銘柄です。成長期待が高く投資家の人気が高いグループです。PBR2倍以上の企業数は 現在566社です。残りは1倍から2倍の間にある1000社ほどとなります。これらの売買高は平均以上に多く、多いのでまた投資家が集まるという好循環を 醸し出しています。

     現在の市場の停滞は低PBR銘柄の増加に象徴されています。市場人気が高まれば、低PBR銘柄は減少してきます。解散価値以下しかない銘柄が過半数と なっている現状はいづれは修正されると思いますが、そこには発行体企業の努力や市場関係者の努力が求められます。解散価値を下回っているというのはいつ M&Aされてもおかしくないという状態を示しています。但し、オーナー経営者が多いために不測の事態が起きないという経営陣の楽観が背景になっている場合 が多いと思われます。

     私はある株式同好会の皆さんに対してそうした低PBR銘柄をピックアップして投資の参考にして頂いたことがあります。そうした銘柄は浮動株が吸い上げら れ、品薄状態となりがちですが、長期投資スタンスの投資家よりも短期スタンスの投資家が多く株価が上がらないと我慢できずに売りたくなってしまうという現 実があります。

     株式市場に必要なのはいかに長期投資家を呼び込むのかということ。短期視点があっても良いでしょうが、できれば長期視点で低PBR銘柄(中でも実質現預 金が実質時価総額を大きく上回っている銘柄)をコツコツと拾っていく多くの若い投資家が集まる市場になってほしいと思います。

     バブル時代にはPBR1倍以下の銘柄を探すこと自体が至難の技であり、低PBR銘柄は倒産予備軍のような存在でした。今や、低PBR銘柄の全盛期。低 PBRに放置されてきた銘柄ほど忌避されなかなか浮かぶことはありませんが、私のように長期スタンスでPBRの低い実質現預金が豊富な銘柄に注目する市場 関係者がいても良くはありませんか?

    (炎)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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