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企業訪問でわかる株価上昇の可能性
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企業訪問でわかる株価上昇の可能性

2014-05-20 16:18
    企業訪問をしているといろいろと発見があります。

     アナリストとしてアドレナリンが出るのは隠れた成長企業に出会った時です。
     とりわけ、これは凄いという経営者(自ら投資の種を駆使した成長戦略を持ち、投資家の期待に応えようと市場での評価を正当に受けようと努力している経営者)にたまたまのご縁で知り合うと思わず興奮してしまう。

     興奮するほど魅力を感じた場合、多くは株価の位置にもよるが、その株価は上昇することになります。過去何度もそうしたことがありました。

     上場まで行える企業経営者は皆さん大変なステータスだとは思うが、創業後の成長のベクトルが上場とともに終焉したような企業には市場での評価が低いケースが多い。

     多くのアナリストの企業訪問の基本パターンは大手証券や機関投資家のアナリストならともかく、いきなり経営者に会うケースより、IRや広報担当者との面 談からスタートするのかも知れませんが、IPOしたての企業の場合は経営者が積極的にIRに力を入れている場合が多い。そうした経営者は成長に自信がある ので迫力が感じられます。
     ただ、なんとなく業績が向上して上場はしたけれども、それがゴールになるような企業もあります。投資家は、できうる限り成長指向を持ちIRを通じて投資 家にその方向性を説明する企業に投資すべきです。そうした企業には多くの投資家が応援しようと株式を長期スタンスで持つことになり、株価の上昇トレンドを 形成することになります。

     上場した企業はそれまでは成長の芽がなかったのに、あるビジネスとの遭遇によって成長力をつけることもあります。上場企業は絶えず成長を指向し、投資家 の負託に応えるべきですが、既存ビジネスを守りながら新製品開発や新規事業への進出などで利益を拡大させることはそう簡単なことではありません。簡単では ない中で、上場のベクトルを確保した企業を見出す作業が調査分析活動となります。実践的な証券アナリストが行う企業訪問はその具体的な活動事例です。

     日本には約3600社の上場企業があります。アナリストの関心は時価総額が比較的大きな企業に集中しています。出来高が大きな企業には内外機関投資家の関心が高く、アナリストは彼らに情報提供するために活動していると断言できます。

     一部の投資家は中小型株を対象にしてポートフォリオを構築していますので、時価総額が300億円以下程度の中小型株を専門に調査活動をしているアナリス トもいます。私もどちらかと言えば、そこにアクセントを置いて活動してきました。日本を代表する大型企業よりも成長性が高いと見られる企業が面白いと見て いるからです。

     IPOしたばかりの企業の内容は十分に投資家に伝わっていません。メディアで話題となった学生起業家率いるリブセンスの株価は上場後急騰しました。(残念ながら直近は業績の不安から急落していてプレミアムが剥落しています。同社にとって最初の試練です)

     東大発のベンチャー企業という触れ込みで上場したユーグレナも収益水準以上のプレミアムがついたことは記憶に鮮明に残っています。そうした株価急騰銘柄がある一方で、上場後に急落した銘柄や下落トレンドを続けている銘柄も多いという現実があります。

     成長株としての烙印が押されると株価にプレミアムがつき、市場平均以上の評価がなされます。ある意味、実践的アナリストは企業訪問し分析しながら成長株 を探し、クライアントである投資家に情報提供していると考えられます。そうしたアナリスト活動には組織上の限界があります。大型銘柄の情報に対する投資家 のニーズは大きくても中小型銘柄や新興市場銘柄へのニーズは小さく、フォローするアナリストへのニーズも限定されているからです。

     そうした悩みを抱えながらも時間的な活動が限定されている私の基本的なフォロー対象は相変わらず時価総額が300億円以下の中小型銘柄となっています。 思い出すとIPO銘柄では上場後にアナリスト協会が川崎の現場見学会を開催し、その後しばらくして株価が4倍近くとなった日本コンセプト(9386:上場 時公募価格1020円、上場後安値706円)がありました。見学会によって同社株(当時750円前後)の割安感が感じられたことは言うまでもないですが、 アベノミクス相場にも乗ったこと、米シェールガス革命に関わる企業という背景もありました。利益の成長が顕著だった点も結果の上昇につながりました。

     シロアリ駆除のアサンテ(6073・上場時公募価格930円)も同様に上場後の評価がなかなか高まらない中で時価総額が100億円程度(株価800円割 れ)まで低迷したのですが、本メルマガでもお知らせしたように中期成長戦略を背景に成長を目指してきました。また東証2部から1部にも昇格。シロアリ駆除 業界のイメージアップも図っています。その結果、株価はここに来てようやく上場後の高値1195円を上回ってきました。上昇のベクトルが継続してきました ので時折見せる調整を経てPER15倍水準が見込める動きとなりそうです。週明け19日には決算説明会が新宿本社で開催されますが、楽しみな動きになって きました。

     同じことが最近のIPO銘柄にも起きるのでないかと思い4月8日に上場したトレックス・セミコンダクター(6616・公募価格5000円、上場初値 4480円、直近安値3140円)へ訪問したのですが、23日の決算説明会がもしかしたらキックオフになるものと期待されます。IPO銘柄は最初から公募 価格を大きく上回るケースもあれば大きく下回るケースもあります。発行済み株式数は264万株に過ぎないのですが、時価総額は85億円。今期経常利益15 億円で伸び率が低いという印象なのですが、アナログ半導体特化で高収益率企業に転換している点や加速度センサーなどがウェラブル機器向けに成長が見込まれ る点で評価の余地があります。
     株価の下落トレンドは売りを誘いがちですので上場後の株価下落に拍車がかかっていますが、だからこそ実体を見極めないとなりません。上場後初の決算説明会は私も出席しますが、米国企業との提携を発表した直後で楽しみです。

     先週訪問した空調・給排水工事の大成温調(1904)は典型的なIR未対応企業ですが、直近になって広報戦略室を設けてIRにも積極的になろうとしてい ます。先日の訪問では、バリュー株(PBR0.3倍以下の無借金企業)としての同社株に成長の芽がないのかを探ってきました。その内容は改めて皆さんにお 知らせしたいと思います。

    (炎)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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