■孫子とバフェット


●老子は世捨て人では無い

 特に日本において、老子を山奥に隠遁した仙人のように描くので、ビジネスや投資と老子というのはイメージ的に結び付きにくいかもしれません。しかし、老子は華僑などのビジネスに長けた人々の間では、「成功のバイブル」として扱われています。
 例えば孔子が、世の中の「建前」や「国益」を優先する権力者に都合の良い内容(つまり建前・儀礼)だとしたら、老子は庶民(民間)の「本音」や「個人の幸せ」を代弁する「本音・現実」なのです。

 また老子は中国人の民族宗教である道教の最高神の一つですが、実利的な中国人のことですから、最高神といえどもただ恐れ敬う存在では無く、人生や商売に御利益を与えてくれる頼もしい存在なのです。
 ちなみに中華街に行くと、「関帝廟」というものを見かけますが、これも後漢・三国時代にかけて活躍した実在の武将を道教の神様として祀ったものです。


●ビジネス・投資の原則

 そのように、華僑を中心とする中国人の商売人(ビジネスマン・経営者)の精神的バックバーンを構成する道教の最高神の一つである老子ですが、その81章のとても短い教えの中に、ビジネス(商売・投資)のとても重要な原則が隠されています。
 また、その中にバフェットの金言や行動原則と共通する部分が驚くほどたくさんあります。
 今回はその一部をご紹介することにします(なお、老子の内容は出来る限りわかりやすくするために象徴的な表現になっていることをご承知おき下さい)。


●老子第9章(器にはぎりぎりまで水を満たすな!)

 これはバフェットが、師匠であるベンジャミン・グレアムから学んだ二つの重要な教えの一つである、「安全余裕率」という概念と全く同じです。
 あふれんばかりに水を満たしたコップをテーブルの上に置けば、子供がその周りを駆けたり、近くを大型トラックが通過しただけで水がこぼれてしまいます。 何事も無ければ器一杯に水を満たしても問題はありませんが、「何も起こらないということはまずありえない」ということは容易に予想できるから、器に満たす 水は少なめにすべきだということです。

 「安全余裕率」も、投資を行うときには「常に予想外のことが起こることを予想しなさい」という考えが原点です。例えばいつどのような暴落がやってくるかを正確に予想することはできませんが、歴史を見ればいつか必ず暴落がやってくるのは明らかです。
 ですから、平時のことだけを考えずに最悪のことが起こっても乗り切れる「安全余裕率」を十分確保した価格で投資を行いなさいということなのです。

<続く>

続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/6月号をご参照ください。

(大原浩)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)