北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■連載コラム(第39回)
『ラーメンの憂鬱』〜十年経って分かること(山路力也)
『教養としてのラーメン』〜ラーメン店の価値観の歴史的変遷~(山本剛志)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『ラーメンライスって、あり?なし?』北島秀一
「ラーメンライスのありなし」を問われた場合、個人的には二つの切り口があると思う。一つは味。つまり「ラーメンに白飯は合うの?」と言う命題だ。そしてもう一つは「その食べ方していいの?」。つまりマナーとか見栄えと行った方向である。
「味」について考えてみると、実は日本の「麺+ご飯」と言う食べ方の中で、白飯を使うのは例外的ではないか。例えば日本そばやうどんとご飯の組み合わせは、たいていの場合「かやくご飯」か「おにぎり」「稲荷寿司」、つまりそれだけでも食べられる味付けご飯が主だろう。冷や麦、そうめんなどとご飯の組み合わせは私は見た事が無いし、ソース焼きそばとの組み合わせで「そばめし」はあるが、あれはご飯の具材に焼きそばを混ぜ込んでしまったと言うスタイル。例外はカレーうどんくらいの物。つまり、本来は日本人があまりやらない食べ方なのに多くの人が支持している。こうして見ると味の点で「ラーメンは他の麺類に比較し、実に白飯に合うのだ」と思わざるを得ない。その意味では「ラーメンライス」は圧倒的に「あり」だ。
さて、もう一方で「マナー」になってくると、これは相当に手厳しい。先述のように、実は日本では「汁麺をおかずに白飯を食べる」習慣はあまりない。そばやうどんに味付けご飯やおにぎりがついてくるのも、逆に言えば「麺をご飯のおかずにせずに食べられる」のも理由の一つではなかろうかと推測する。かやくごはんにそばや天ぷらを載せてかっこんだり、残ったそばつゆにおにぎりを崩し入れて食べるような食べ方は私はやらないし、やっている人もあまり見ない。そう言う意味では、ライスに麺を載せたり、スープをぶっかけながらバシャバシャ食べるスタイルは「無し」なのが日本人本来のマナーなのかなと思う。
が、実際を見てみると、ラーメンライスに関してのみはどうも「治外法権」を確立しているように思える。他の麺類でそれをやったら白い目で見られそうだが、ラーメンライスならまあいいか、だって美味いんだし……と言うのが今の世論じゃないのかなあ。あまり見栄えのいいもんじゃないが、ラーメンに限ってはまあありじゃん? と言う世間様に甘えさせていただき、あまり下品にならない程度にラーメンライスをかっこむのがいい。それが私の結論だ。(ラーマガ012号より転載)
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回はつけめんTETSUグループの夏限定メニュー「冷やしNuts担々麺」を山路と山本が食べて、語ります。