大仏さまのお顔は「笑う」、「悟る」、「怒る」の3タイプで、それぞれ白と赤があります。しかし、このように6種類もあると、どの大仏さまがよいか迷ってしまうのでは。ということで、あなたにぴったりの大仏さまと髪型を提案いたします!
・「白笑う」
顔色がさえないのに笑っているのは、体調が悪いのに他人を気遣って元気なふりをしているときの心境と似ているかも。そのように、他人に気を配ってばかりの利他的な人柄で尊敬を集めるタイプに心引かれるあなたは、「白笑う」の芝ヘアを、もうそのまま伸ばし放題にしてやってください。自分にかまう暇なく、他人の心配をするタイプなのですから。
・「赤笑う」
顔全体を高揚させ、仏が笑うその姿は、宝くじ高額当選くらいのインパクトあるラッキーなことがあったに違いありません。そのような下世話なくらいのウハウハ気分を味わいたいあなたは、「赤笑う」を思い切ってアルシンド・ヘアにしてあげてください。もうただ、やみくもに、ワケもなく思い切ってしまうしかないのです。
・「白悟る」
無表情で顔面蒼白にもかかわらず、落ち着き払い悟りを開いた大仏さま。これは「ドブに落ちた」「財布を落とした」「パートナーの不貞が発覚した」など、強いショックを受け一気に血の気が引いたものの、転じて「……それも運命」と、肝を据えて不運を受け入れきった心境ではないでしょうか。そんな究極の悟りの境地に至りたいあなたは、「白悟る」を仏門の基本にのっとり剃髪するのがよいでしょう。虎刈りにならぬよう、慎重に。
・「赤悟る」
悟っているのに赤ら顔。これは、恥ずかしいことを思い出しながら「それも人生」と納得しているに違いありません。こんなおちゃめで人間らしくも高みを目指す、ひたむきな生き方に憧れを抱くあなたは、「赤悟る」の芝ヘアのトップをヤワラちゃん風にひとつ束ねてあげてください。きっと、おちゃめ感がにじみでるはず。
・「白怒る」
冷静沈着に怒りを表しているそのお姿は、無口なお父さんがたまに怒るとすごく怖かった、という幼少期の遠い思い出をよみがえらせます。ひょっとしたら何かのトラウマを思い出しそうな恐怖におびえるあなたは、「白怒る」をひととおり育てたあと、水をやるのをやめてしまってください。そして枯れ始めた芝を見ながら、自分の人生は自分でコントロールできるのだ、と、あらためて自分に思い知らせるのです。
・「赤怒る」
烈火のごとく顔を赤らめ、大仏が怒っているではありませんか! …もうこの先、地獄の一丁目行きはほぼ確定の予感です。そんな逃れられない運命に肩を落とし気味のあなたは、「赤怒る」の芝ヘアを少しずつ抜き、贖罪の意味を込めて公園や河原に増殖し、街を緑でいっぱいにしてみてください。大仏さまは抜け毛が増えてさらにお怒りになるかもしれませんが、きっといつかあなたの善行を認め、穏やかな笑みを浮かべることでしょう。
ほんの、ご参考程度に。
(ヨリエ・スディラジェンコフ)