現代に暮らす多くの人が、起きている大半の時間を脚と腰を曲げた状態、すなわち座った状態でいる。そう考えると、人生の多くの時間を過ごす場所である椅子選びにも自然と慎重になってくる。姿勢によく、素材よく、見た目よく。そこに居る時間が心地よい、そんな椅子選びをしたい。
まず考えるのが海外の名作といわれるチェア。しかし小柄な日本人にとっては、日本でつくられた椅子がしっくりくるような気もする。そんな時に見つけたのが、「宮崎椅子製作所」。徳島県の鳴門市で、他社には真似できない椅子づくりを目指している。
いすのなるき「宮崎椅子製作所」
宮崎椅子製作所は1969年創業の木の椅子づくり専門の家具メーカー。木の椅子のことだけを考えて48年。いくつもの過程に込められたこだわり、そして何より職人さんの手によって、椅子というひとつの成果を実らせる一本の木「いすのなるき」を目指し、日々椅子をつくり続けている。
実に多種類にわたる自社ストックからの木取り、誠実な手仕事と精密なマシンによる木地加工、手仕事による組み立てと蜜蝋ワックスによる仕上げ、布と革の専門職人による布張り。
椅子づくりのすべての工程を一貫した自社生産で行っている。
デザインと技術がひとつに実るワークショップスタイル
特徴的なのは「デザインワークショップ」による開発だ。デザイナーと職人が現場で手を動かしながら、ワークショップスタイルで新たな椅子を生み出す。
木の粉の舞う工場で原寸試作をチェックしながら開発を進める、デザインと技術が一体となれるスタイルがデザインワークの原点となっている。
自分の一脚を選ぶ楽しみ
多品種・多樹種・小ロットで生み出す椅子は、50アイテム以上。ひとりひとり違う好みや体格に応じて選ぶことができる。代表的な椅子を少しだけ紹介しよう。
人気のUchairにU型のアームを付けた「UU」
ちょっぴり挑戦をしたというキャンチレバー構造の「kuku & kuku muku」
背もたれが柿の種のような「KAKI no ISU」
デンマークのデザイナー、カイ・クリスチャンセンとのワークショップで復刻させた「No.42」
緊張感のあるフォルムが特徴的な「azuki」
値段は樹種・ファブリックによって決まるので、気になる人は近くの取扱店に問い合わせて、座り心地を確かめてみよう。
ダイニングセットとしてそろえた椅子も美しい。しかし体型はひとりひとり違うのだから、本来はひとり一脚ずつ選ぶほうが正しいのかもしれない。家の中の定位置になるようなこれだという一脚を見つけたら、暮らしはより豊かになるだろう。
宮崎椅子製作所tel:088-641-2185
mail:info@miyazakiisu.co.jp
■ショールーム
工場併設のショールームでほぼ全ての椅子を試すことができる。
平日 9:00~12:00、13:00~17:00
※土・日は事前に予約すれば可能の場合も