バルミューダがカレー? と驚きとともに湧いてくる好奇心。代表取締役・寺尾玄さんが語るカレーへの思いと、60年の伝統を持つカレーの老舗「デリー」と協働した開発秘話、気になるカレーの味わいをレポートする。
家で最高のカレーを楽しむ「BALMUDA The Curry」
カレー開発への思いを語る寺尾さん
2017年1月にバルミューダが発表した「BALMUDA The Gohan」は、蒸気で米を炊き上げる炊飯器。100度を超えない自然な加熱で、米の表面を傷つけず、香りとうまみを米粒の中に閉じ込め、最高のごはんを炊き上げる。
「BALMUDA The Gohan」のプレス発表時、寺尾さんは「『BALMUDA The Gohan』で炊いたごはんはものすごくカレーに合う。開発したいくらいだ」と力説。その野望を実現したというわけだ。
「2年前に初めて、友人に誘われて上野のデリーへカレーを食べに行きました。僕は辛いものはそれほど得意じゃないんですが、激辛のカシミールカレーを頼んでしまって。あまりの辛さで、食べ終わった時にはスポーツ後のように汗びっしょり。もうこの店に来ることはないと思いましたが、翌日にはもう食べたくなって、そこから中毒のように3日に1度は通うようになりました」(寺尾さん)
創業60年を誇るデリー。創業者はインドで修業を積み、カレー粉を使用しない現地のカレーを日本の米に合うようにアレンジし、インドカレーを広めたことで知られている。寺尾さんは「日本一のカレーを自宅でも味わいたい」と、デリーで販売されているカレーペーストを購入し、自宅でもカレー作りに励んできた。
一人前に玉ねぎ1個分。1口目はうまみ、2口目で辛味を感じる
喫茶店のような、発表会の看板がすてき
左からカレースター・水野さん、デリー代表・田中さん、寺尾さん
今回バルミューダと協働したデリー代表の田中源吾さんは、「デリーのカレーは最低限の具材で、いわば引き算で作られています。寺尾さんが持ってきたアイディアは、我々にとってはご法度だったんです」と語る。寺尾さんは、AIR SPICE代表のカレースター・水野仁輔さんを介して田中さんに会い、あるものをプラスしたオリジナルソースのレシピを依頼。一番難しかったのは、1口目はうまみ、2口目で強い辛味を感じるようにすることだという。
「デリーのカレーは材料を極力シンプルにするのがモットー。油は玉ねぎが鍋に焦げ付かないように入れる程度だし、おいしさの決め手のひとつである玉ねぎは、90%も水分を抜いて、日本で一番脱水しています。寺尾さんのリクエストに応えるのは大変だったと思いますよ(笑)」(水野さん)
そのこだわりが生かされた「BALMUDA The Curry」には、一人前に玉ねぎ1個分が入っている計算になる。
食べ終わるとすでに喪失感。恋のようなカレーが完成
「BALMUDA The Curry」は刺激的な辛さなので、子どもには向きません。目指したのは大人のためのカレー。仕掛けは企業秘密ですが、食べ終わると喪失感を感じてもう一度食べたくなる、すばらしい恋のようなカレーができました」(寺尾さん)
会場に漂うスパイシーな香り。「BALMUDA The Gohan」で炊き上げたごはんに、「BALMUDA The Curry」をかけていただく。オススメの具材はシンプルに、こんがりと焼いた鶏肉と、茹でたジャガイモのみ。
一口たべると、普通においしい。正直それほどの感動はないかな、と思った2秒後、バリバリと刺激的な辛さが口いっぱいに広がる。驚いている間に、スパイスの香りの余韻が残る。通り過ぎたさわやかな風のような、強烈な印象を与えながら気がついたらもうそこにいない、誰かのような……。
ごはんの一粒一粒に、さらりとしたカレーソースが絡み合ううまさ。食べ終えた時の満足感と幸福感は、何かに似ている。これが寺尾さんが語っていた「恋」なのか。
1パック2皿分で750円(税抜)。「BALMUDA The Gohan」の横で販売
自宅で最高のカレーを実現する「BALMUDA The Curry」は1パックに2皿分が入って750円(税抜)。家電量販店など、「BALMUDA The Gohan」を扱う店舗で販売される。
「モノより体験」をコンセプトに、クリエィティブな発想で商品開発を行ってきたBALMUDA。今回、新たに「フード」カテゴリーに参入し、「BALMUDA The Gohan」の可能性をさらに広げてくれそうだ。今後、さらなるフード開発にも期待したい。
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BALMUDA The Curry[BALUMUDA]Photographed by ROOMIE編集部