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建ててからが「家づくり」。色味を統一した、スキップフロアの一軒家(三軒茶屋)|みんなの部屋
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建ててからが「家づくり」。色味を統一した、スキップフロアの一軒家(三軒茶屋)|みんなの部屋

2017-07-18 06:00
    人気連載「みんなの部屋」vol.77。部屋づくりのアイデア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスする。

    梅雨の晴れ間、歩行者天国の茶沢通りには、休日をのんびりと過ごす地元の人びとが行き交う。渋谷から2駅という近さにも関わらず、生活に密着した店やこだわりのショップが広がり、家族で暮らしやすい街・三軒茶屋。

    広告関連会社にお勤めの浦邊裕太さんが、奥様の友美子さん、4歳になる碧(あお)くんとともに暮らすのは、駅から数分ほどの、住宅街の奥まった一角。1年半前に新築で建てた一軒家は、玄関までの道のりも楽しい住まいだ。

    名前:浦邊裕太さん 友美子さん 碧くん
    職業:広告関連会社(裕太さん) 広告プランナー(友美子さん)
    場所:東京都世田谷区
    面積:83㎡ 2LDK+書斎
    購入金額:非公開
    築年数:築1年半

    お気に入りの場所

    ボルダリングウォールがそびえる、玄関アプローチ

    道路に面した門から玄関まで、細く長いアプローチが続く。そんな特徴的な旗竿敷地をうまく活かしている玄関アプローチ。玄関前には裕太さんの趣味のひとつ、ボルダリングウォールが設置されている。ホールドはカラフルなものが多いイメージだが、黒をチョイスすることで景観的にもシックな印象。

    「この空間は、外部だけど土間のようなイメージです。上のテラス部分が屋根になっていて雨を避けられるので、アウトドア道具の手入れ作業や、子どもが遊ぶスペースにもちょうどいいんですよね」(裕太さん)

    植物を育てるためのベランダ


    家を正面から見ると、まず目に入ってくる突き出したベランダ。わさわさとグリーンが茂り、訪問時にはスケルトンになった床からこちらを覗く碧くんと目が合った。植物のナーセリーにしたいと、あとから増築した場所だ。


    室内にもグリーンがたくさん。三宿の「パームハウス」や町の園芸屋さんで購入することが多いという。

    ギャラリーのようなリビング


    友美子さんお気に入りの場所は、天井が高く明るい、まるでギャラリーのように洗練されたリビング。お子さんが生まれてからはなかなか時間が取れないが、ここに置かれたソファで趣味の読書を楽しむのが至福の時間だそう。

    グレーで統一されたインテリアに合うように、イメージ通りのものをネットで探して取り寄せたソファは、足場板をあえてペンキで塗りフローリングとして敷いた床の色と、ぴったりマッチしている。

    星空映画館や、家族での食事ができる屋上

    設計の段階からここで映画を観たいと考え、映像を投影できるように白く大きな壁で囲み、お湯が出るシンクと電源を設置した屋上。先日も家族で上映会を楽しんだそうだ。壁が高めなので、近所の目もまったく気にならない。

    この部屋に決めた理由


    浦邊さん一家にとって、この家は2軒目の一軒家。結婚と同時にこの場所で中古住宅を購入してリノベーションして暮らしていたが、碧くんが生まれて手狭になったこともあり、一度取り壊して現在の家を建てた。世田谷区で一軒家、しかも短期間でリノベーションと新築の両方を経験したことになる。

    「私は、新築は断然いいと感じてます! いちからカタチにできるのもそうですが、とにかく冬の暖かさが違いますね。以前の住まいもとても好きでしたが、古かったのですごく寒くて……。最新の技術と素材で建てると、こんなに寒くないんだということを実感しました(笑)」(友美子さん)

    「今回の設計は、松陰神社の設計事務所・ssideに依頼をしましたが、自由度でいったらリノベーションのほうが上かもしれないです。壁の素材など選べる選択肢が広いですし。この家は地元の建築家さんに依頼して建てたので、だいぶ自由にデザインや設備を伝えられました。住宅メーカーさんだと、ここまで希望通りにするのは難しかったんじゃないかなと思います」(裕太さん)


    雑誌に掲載された以前の住まい。もともとの木柱などをうまく生かし、センスよくリノベーションされていた。

    「家を建てるに当たって重視したのは、“すべて平均点を狙わない”ということですかね。それよりも、ひとつ譲れない点をつくったほうが上手くいく気がします。うちの場合は、エリアでした。ふたりとも働いているので、職場に近く仕事と子育てが両立しやすいことは譲れませんでしたね。ここは駐車スペースがないので、アウトドアが趣味の夫としては不便だったりもしますが、それでもこの場所がよかったので……車は手放しました」(友美子さん)

    残念なところ

    ダイニングがちょっと狭い


    小さい土地を有効活用できるスキップフロアを採用した浦邊家。天井が高く、窓から降りそそぐ光が明るいLDKのダイニングスペースは、コの字型キッチンに囲まれてダイニングテーブルが置かれている。リビングとの間に壁はなく、ゆるやかに繋がっているため、見た目に狭さは気にならないが、実際に過ごすと違うのかもしれない。

    「ダイニングって家でいちばん大事な場所なのではないかと思うようになりました。とくに平日は仕事と子どもの世話でバタバタしているので、リビングでくつろぐ時間もそんなにないですし……。気がつけば夫婦ともにいつもダイニングにいるので、もっと広くしてもよかったなと思っています」(裕太さん)

    お気に入りのアイテム

    LGの超短焦点プロジェクター

    浦邊家にテレビはなく、その代わりにプロジェクターを2台所有している。特におすすめは、壁からの距離が短くても投影できるLGの超単焦点プロジェクター。コンパクトで場所をとらず、バッテリー内臓なので好きな場所で映像を楽しめる。ダイニングの壁に映して、碧くんの好きなYouTubeのコンテンツを観ているそう。

    家全体を暖めてくれる蓄熱暖房機

    玄関の靴箱下に設置してある、蓄熱暖房機。電力が安い深夜の時間帯に、中のレンガに熱を蓄え、昼間に放熱することで家を暖める。冬でも、家の中はTシャツで過ごせるほど暖かく、エアコンのように乾燥しないので快適だという。

    鍋もフライパンも入る大容量の食器洗い機

    共働き夫婦の味方・食器洗い機。浦邊家のキッチンでもAEGの食器洗い機が大活躍。大容量なので鍋やフライパンも入り、食事の後片付けがだいぶ楽。

    画家の弟さんによる絵画

    室内に飾ってある絵画は、白い壁によく映えるダイナミックな作風。友美子さんの弟さんで、現在はパリ・日本を拠点に創作活動を行っている画家の秋場康平さんによる作品だ。

    暮らしのアイデア

    インテリアの色を統一する




    小さなお子さんがいるとは思えないほど、すっきり落ち着いた雰囲気の室内。白、グレー、無垢の木。室内で見えているものは、ほとんどがこの3色のいずれか。壁や床、家具、家電など、大きい面積の色を合わせることで全体の印象が統一される。それ以外のカラーのものを見えるところに置くときは、外国製でデザイン性が高いもののみにするのがこだわり。

    壁の塗装には、手に入りやすい市販ペンキを採用

    室内は、廊下も部屋もすべての壁が白で統一されているため、明るい印象。ただ真っ白だと、お子さんがいることもあって汚れが心配じゃないのだろうか?

    そこで、最初から汚れた時のことを考え、業務用ペンキではなく、どこでも手に入りやすい市販ペンキを使っているとのこと。そうすれば、いつでも自分たちで上から塗り直せる。

    あえてモルタル「風」のキッチン




    キッチンは、一見モルタル素材かと思いきや、実は木材に「モールテックス」という特殊なペンキを塗って仕上げているというから驚いた。

    東京ビッグサイト(東京国際展示場)の建築素材展に出向き、実際に確かめて決めたとのこと。建設費が抑えられるだけでなく、クラック(ひび割れ)や防水性能、汚れなど、モルタルの心配な点を解消できる。見た目の印象はモルタル仕上げと変わらず、より気兼ねなく使いやすいキッチンになっている。

    ちなみに、広々した真っ白のシンクはKOHLER社のもの。

    部屋をすっきり見せる工夫



    家の中は、とにかく物が少なく片付いた印象だった。その秘訣は「物を増やさない」「収納を確保する」の2点にありそう。まず、お皿の少なさに驚いた。キッチン上の棚、食器はこれだけだという。確かに必要最小限のサイズと枚数はそろっているが、つい買い足したくなってしまうことはないだろうか。

    「必要ないものは増やさないように心がけています。食器は白色と決めているので色味があるものは買いませんし、今のところはこれで充分ですね」(友美子さん)

    シーカヤックなど、アウトドアが趣味の裕太さん。6艇所有しているシーカヤックやキャンプ用品は、1階と地下にある倉庫に収納。また、本は読み終わったら捨てているそう。

    これからの暮らし



    家は、住みはじめた時がスタートだと語る裕太さん。これからも、今の形にこだわらず手を加えていきたいとのこと。

    「なぜかダイニングばかりに居てしまうので、リビングをもっと居心地よくしていきたいですね。あとは、手付かずの屋上にパーゴラを設置したいとも思ってます!」(裕太さん)

    「箱はできたので、細部にこだわっていきたいです。とりあえず用意したものもあるので、ひとつずつきちんと選んだものを加えていきたいです」(友美子さん)

    建ててからまだ1年半、浦邊さん一家の家づくりははじまったばかり。今のままでも充分素敵だけれど、3人のこだわりが少しずつ足され、深みと味わいを増していくのだろう。

    Photographed by Yutaro Yamaguchi

    RSSブログ情報:https://www.roomie.jp/2017/07/388018/
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