大きな公園の目の前。
4面採光の窓はどこをのぞいても、まるで森のような自然が広がっています。
ROOMIE編集部きってのDIY好き・緑川が、
内見をする前から「きっとこの家だ!」とワクワクを抑えきれずに選んだ家は、こんな感じです。
名前:緑川彩 タケ職業:編集者(緑川)、家具職人(タケ)
場所:東京都西東京市
面積:62㎡ 2LDK 一軒家
家賃:11,8000円
築年数:築43年
お気に入りの場所
大きなテーブルが占めるダイニング「平日はいつも時間がないから、ここで話す時間が貴重だよね」
そう同居人のタケが言うとおり、早朝から工房に行く相手と、フレックスでリモートワークもOKな私では、生活時間帯がちがいます。
ダイニングテーブルを、家具職人であるタケがつくると言ったとき、
私が要望したのは「対面にも、90度にも座れる」こと。
レストランのカウンター席は、相手との距離が近しい気がして好きなことと、
大皿料理をおいても、相手の正面に座れるだけの広さ、
そして友人を呼んだ際に大人数で座れること。
それをすべて叶えるダイニングテーブルがよかったんです。
“ふとんをベランダに干すために、窓側部分は細くしたい”などの諸条件もふまえて、このカタチになりました。
「でも、思ったよりシュッとしすぎた気がする(笑)。
今はTEKOLABOの鉄脚をつけているけれど、ゆくゆくはこれに木の脚をつけたい」とタケ。
本棚で“こもり感”をつくったソファスペース「天井まである本棚がつくりたかった」と、タケのこだわりによってできた本棚。
ポイントは“ソファに座るとこもり感がある”ことと、
“安い材料で材料代を抑えつつ、手をかけて大きいのをつくった”ことだそうです。
角材や棚板をふたつに割ってつくったので、材料費は7,000円くらい、とのこと。
浮遊感をテーマに、床からも壁からも本棚が浮いているように見せています。
本のほとんどが、タケの制作資料。
私としては、持っている本の数を考えないでつくったので、すでにパンパンなのが気になるところですが……。
オープン収納をDIYしたキッチン窯元めぐりが趣味の器好きなので、集めた器をすてきに飾れるところがほしかったんです。
もともとついていた吊り戸棚が気に入らず、それをはずしてオープン収納にDIYしました。
タケが担当した現場でもらってきた余り材料を使っているので、お安くできています。
キッチンツール掛けは、給湯器のボタンを隠すためにつけました(隠れてないけど)。
なんでも掛けられて、便利で重宝しています。
キッチン横の飾り棚は、前の住人(今の大家さん)がDIYしたもの、なんですって。
壁を青色に塗って、活用させてもらっています。
1日がかりで塗装したおふろわが家はおふろの空間に、トイレと洗面台が一緒にあります。
おふろとトイレは別々がいい! 人も多いと思いますが、私はあまり気になりません。
お客さんが来たときに、ちょっと気になるくらいでしょうか。
木の板張りの空間。もともとは濃いめの木の色で、かなり山小屋感がありました。
大容量の白色ペンキを買ってきて、100円ショップの黒色ペンキを混ぜて、グレーをつくって塗装。
安くはできたけれど、塗装はふたりで丸一日かかって大変でした!
トイレを濡らさないためにシャワーカーテンをつけたいのと、すてきなトイレットペーパーホルダーをつけたいのが、これからの課題。
アパレルショップを参考にしたクロゼットわが家は基本的に個室がなく、ほぼワンルーム。
唯一の2階の個室は、普通はおそらく寝室に使うのだと思うのですが、
私の服がかなり多いので、クロゼットにしています。
壁は左官仕上げをやってみたくて、ジョリパッドを買って、友人に一緒に作業してもらいました。
アパレルショップを参考に、梁から角材を吊るして、ハンガー掛けに。
高さが自由に調整できるし、服がたっぷり掛けられてお気に入りです。
この部屋に決めた理由
絶対に「DIYし放題の家」がよかった家探しの条件は「ふたりの職場の中間」「家賃が10万円以内」「DIYが自由にできる」こと。
でも“DIY可能な家”って、本当に少なくて!
家を探していた時期、毎日東京R不動産とDIYPをチェックしていました。
1階は土間。土足で入ります
ROOMIEの「みんなの部屋」を立ち上げて思ったのは、
暮らしかたは人ぞれぞれで、自分たちに合う既製の家って絶対にないし、暮らしはアップデートしていくもの、ということ。
だからこそ、家をリノベしたり、賃貸でもなんとか自分のこだわりを発揮する人びとを、たくさん見てきました。
自分たちで生活をつくりたいから“家に合わせて暮らす”のではなく、“家を暮らしに最適化”していきたかったんです。
「若者を応援したいの!」という、すてきな大家さん春には、ベランダから手が届く場所にさくらんぼが実ります
東京R不動産にこの家がアップされた日に、すぐ内見の申し込みをしました。
大家さんの女性じきじきに家を見せていただいて、
「春には家の目の前にさくらんぼが実るの」「若者を応援したいから、DIYは好きにどうぞ」「冬はそれはもう寒いのよ」なんてエピソードを聞いていたら、
予算を上まわった家賃ではあったものの、もうここしかないと思い、即申し込み。
壁や、木のままの色だった天井まですべて白色のペンキで塗って、
小上がりの和室は、100円ショップで買ってきた塗料を合わせて水色で塗って。
養生が甘かったので、ペンキがあちこちに飛び散っていますが……そんなざっくり感も愛着ポイントです。
本当にすてきな大家さん&家に出会うことができました。
残念なところ
夏暑く、冬寒い大家さんの忠告どおり、夏の暑さと冬の寒さがスゴイです……。
基本的にはクーラーなしで過ごしたいのですが、真夏の昼間は、とても家で仕事ができる状態じゃなかったです。
もともとあった天井を剥がして現しにしているので、断熱がきちんとされてないのが原因のようです。
虫が多くてツライ!自然がそばにある暮らしゆえの、仕方がない部分ですが……
とにかく虫が多いのが、私はとても辛いです!
冬は冬眠(?)のために虫が入ってくるし、ベランダにハクビシンも出るし。
「僕は宮崎の田舎で山遊びして育ったから、ぜんぜん平気だけど」というタケに、退治はまかせています。
お気に入りのアイテム
陶器市で買った器九州の陶器市をまわって、器を集めています。
飾るところもできて、器への熱が加速中。
漬けたらっきょう三越伊勢丹のWebメディア・FOODIEを見て、挑戦したらっきょうづくり。
お酒のおつまみにぴったりだし、つわり中の友人にもおすそ分けできました。
オリジナルで黒糖を入れた甘いらっきょうが、特においしくできた気がしています。
愛を注いでいるビカクシダたち(タケ)「なんとなくかっこいいな、部屋に飾りたいな、というのがきっかけだったんだけど……」
と言いつつ、ハマりにハマっているビカクシダ(別名・コウモリラン)。
また宅配便が届いたなと思ったら、だいたいビカクシダ関連アイテムです。
「ほら、この伸びた小さい葉がかわいいでしょ!!」と力説
「現場感が好きなんだよね。
品種がいろいろあって、それぞれ育て方がちがって。
日に当てるとそっちに伸びるから、仕上げたいカタチによって置く場所を変えたり……好きにデザインできて、盆栽みたいな感じ」
ウォールナットの包丁立て(タケ)会社の月イチ作品発表会のために、タケがつくった包丁立て。
「お客さんが使いやすいようにしたいから、まずは自分で使い心地を試してみたい」とのこと。
キッチンの戸棚のなかに包丁を入れる場所があるので、いらないのではとも思っていたのですが……
節が入っているザックリ感がいい感じです。
たまにふりかえる「やさびしいカルタ」(緑川)私のお気に入りは、友人がつくって鬼子母神の手創り市などで出している「やさびしいカルタ」。
短い言葉を聞いて、そのイメージに合うと思ったフィルム写真を1枚選ぶ……というものです。
勝ち負けはなくて、ただ“人が感じることのちがい”が浮き彫りになるのですが、
一緒に写真を選ぶ人の新たな面を、いつでも改めて知れるツールだと思っています。
ジュエリーが収まりきらないジュエリーボックス(緑川)誕生日プレゼントとして、タケにつくってもらったジュエリーボックス。
木目が全周ぐるりとつながっているのがポイント、とのこと。
ジュエリーが好きであまりにたくさん持っているので、
ここには到底、収まりきりませんでした(笑)。
暮らしのアイデア
なんでも、塗るといい感じになる「とにかく白く塗ればなんとかなる」とタケが豪語するとおり、
既製品も市販のマットなラッカースプレーで塗るだけで、いい感じになるんです。
照明は黒のスプレーで塗装
シーリングファン、エアコン、配電盤、もとからついてた照明……。
塗っても、リモコンのセンサーは意外と通りますよ。
階段の手すりをアレンジもともと、子どもの転落防止として、高めの柵が階段についていました。
これを低くしたら開放感や天井の高さが感じられる! というタケの主張を受けて、40cmほど低く。
柵も間引いたので、小さな子が遊びに来たら危ない状態に(笑)。
カメラマンにシュール(笑)と言われた
和室側にはテーブルをつくりつけたので、
スタンディングデスクが好きな私は、よくここで仕事をしたりします。
これからの暮らし
今は1階をまったく活用できていないですが、ゆくゆくはワークスペースにしたいです。
ここでお店やワークショップを開くことも考えてはいますが、それはだいぶ先になりそうな予感……。
撮影中に壁に穴を開けだす人
思いついたら即DIYできるのと、自然が近いのが、やはりこの家のよさ。
自分たちに最適な家具を、最適な価格で見つけるのって大変ですが、
DIYし放題の家なら工夫次第でかかるお金はグンと下がるし、四季が感じられるのもいいな〜と思っています。
もちろんそのぶん労力はかかるし、週末をまるまる使うこともあるし、広いぶん都心からちょっと遠いし……。
私も本当は、DIYが好きなのではなく、“自分らしい家で暮らしたい!”思いが強いだけ、という感じです。
それにしても、賃貸も購入も、新築もリノベも、暮らしって本当にさまざまな選択肢がありますね。
「みんなの部屋」をはじめとした“人の暮らしをのぞき見られる”機会があることで、
多くの人が自分に合った暮らしってなんだろう? と、少しでも考えるきっかけになったら嬉しいです。
Photographed by Kenya chiba
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