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長く使えるものを選んで“捨てない暮らし”をする、クリエイター夫婦の3LDK(神奈川県 川崎市)|みんなの部屋
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長く使えるものを選んで“捨てない暮らし”をする、クリエイター夫婦の3LDK(神奈川県 川崎市)|みんなの部屋

2020-07-11 14:00
    「3回建てないと満足しない」なんて言われることもある“家”。理想の住宅への探求はどこまでいっても終わりが見えないものですが、それは賃貸物件でも同じはず。

    イラストレーター・ぬいぐるみやさんの佐藤穂波さん、映像カメラマンの松田遥平さんご夫婦が住んでいるのは、田園都市線沿いのとあるマンション。

    駅から13分ほど歩いた場所にあるため、緑が多く、のどかな景色が広がっています。周辺の雑木林を一緒に散歩しながら買い物に行くのが、夫婦の日課になっているんだとか。

    名前(職業):佐藤穂波(イラストレーター・ぬいぐるみやさん)
    松田遥平(映像カメラマン)
    場所:神奈川県川崎市高津区
    間取り:3LDK
    家賃:9万円
    築年数:28年
    住宅の形態:マンション

    この部屋に住む前は、同じく田園都市線沿いの古い2Kのアパートで同棲をしていたふたり。実はそこでのある出来事が、今の暮らしを考える軸になっているのだといいますが……。

    引っ越しを繰り返すたびに理想へと近づいていく夫婦が“今”考える、理想の部屋の最適解とは?

    この部屋に決めた理由

    お互いの仕事場を確保できる広い間取り

    イラスト:穂波さん

    お互いフリーランスとして活動しているため、家にいる時間が特に長いというふたり。

    以前は6畳の部屋で、向かい合って仕事をしていたといいますが、毎日のこととなるとストレスも溜まってしまうようで……。いくら仲がよくても、やっぱり「物理的な距離は大事」だと実感したといいます。

    撮影:遥平さん(以下同じ)

    だからこそ部屋探しをするときも、“広さ”が第一条件としてあったのだとか。

    「以前の反省を踏まえて、今回はお互いの仕事部屋を持ちつつ、ふたりでゆっくりくつろげるスペースも確保できるような、2LDK以上の物件で探したんです」(穂波さん)

    とはいえ、外で働くことももちろんあるもの。特に遥平さんは渋谷近辺で仕事をすることが多く、都心へのアクセスのよさは物件を選ぶときの必須条件でした。

    それを前提に叶えられる部屋の広さと家賃の安さを両立してくれたのが、川崎市高津区にあるこのマンションだったというわけ。

    3LDKともなると、子持ちの家族向け物件になるので、ふたりで住む分には収納スペースにも困らないのだそうですよ。

    お気に入りの場所

    それぞれの使いやすさを優先させた仕事場

    相手に遠慮することなくお互いの好きなものを置ける仕事場は、ふたりの住まいを語る上で欠かせないポイント。

    わたしの部屋でもご紹介した穂波さんの仕事スペースには、使いやすさと見た目のかっこよさを両立させた壁面収納が。

    「仕事柄、ハサミやペンチを使うことが多いんですが、ぬいぐるみづくりとイラストを同時進行したりすると道具も増えていって、机の上のスペースだけでは足りなくなってしまうんですよね。それに、作業する度に道具を出したりしまったりするのもすごく大変で……。

    そこで、“使って戻す”作業が楽なデスクをつくろうと思ったのがはじまりです」(穂波さん)

    さらに最近は、窓際に植物を固めて置くようにレイアウトを変更したそう。

    「日当たりのいい場所で窓の外と近くにある植物を眺めながら仕事ができるので、気に入っています」(穂波さん)

    一方遥平さんのデスクは、趣味の自転車と機材が置かれたシンプルな空間。

    「この部屋にあるものはほぼ機材です。

    かかっている服も仕事着だったりして、だいたい全部仕事のものを置いていますね。趣味が仕事みたいなものだから、というのもありますが(笑)」(遥平さん)

    趣味だという自転車は、外に停めておいて持っていかれてしまった悲しい過去があるそうで、極力部屋の中に入れるようにしているんだとか……。

    お互いが納得できるようにつくったリビング

    仕事場をお互いに分けたぶん、リビングはふたりでくつろぐための大切な空間。窓がなく光が入りづらいといいますが、落ち着いた雰囲気がかえってリラックスしたムードを演出しているよう。

    「自分が忙しくても相手が休んでいたいときもあるし、同じ部屋で仕事をするのはなかなか難しい。それもあって、仕事をする空間と、リビングを分けたかったんです」(穂波さん)

    そんなリビングの中でひときわ存在感を放っていたのが、ラブリコの「アジャスター アイアン」を活用した壁面収納。

    使われている木材は、お金をかけずに雰囲気が出るようにステインとワックスで塗装しているんだとか。

    黒板に書いてあるのは、ふたりの共通の趣味である自転車レースの世界3大大会の日程。

    学生時代に選手としてレースに出ていたこともあるほどに自転車好きな遥平さんに影響され、気づくと穂波さんも、そのお祭りのような楽しい雰囲気に魅了されていったといいます。

    お気に入りのアイテム

    冬はこたつになるテーブルと天童木工の座イス

    ふたりが口を揃えてお気に入りだと言っていたのが、天童木工の座イス。こたつ好きな夫婦がリビングでくつろぐための、なくてはならないアイテムです。

    実はそんなこたつと座イスをめぐって、ちょっと驚きのエピソードが……。

    「嘘みたいな話なんですけど、前に住んでいたところが、台風で屋根が飛んで、ほとんどの家財がダメになっちゃったんです。それでこたつも捨ててしまって」(穂波さん)

    そうして泣く泣く手放したこたつですが、それでもふたりの生活には欠かせない存在。あちこち探し回ってようやく、代替となるお気に入りのものを見つけたんだそう。

    そんな大好きなこたつにぴったり収まった座イスも、ふたりでこだわって選んだお気に入りの逸品。

    とはいえ、ただでさえお金がかかる引っ越し。ひとり24,000円以上もするイスを買うには、それなりに覚悟がいるはずです。迷いはなかったんでしょうか?

    「台風で家財がダメになったときに、モノを捨てるのってすごくお金がかかるってことがわかって。全額保険でおりたものの、6万円くらいしたんですよ。

    そのときから“長く使えて捨てなくてもいいモノ”が、家具を選ぶ基準になったんです」(穂波さん)

    木のフレームとクッションを別々に購入できる天童木工の座イスは、座面がヘタっても丸ごと捨てなくて済むから長く使える。高価だった分、「あと何十年かは座椅子に悩むことはない」と、遥平さんも太鼓判を押していました。

    はじめてローンを組んで買ったカメラ

    趣味の自転車にもあまりお金をかけない遥平さんが、唯一ローンを組んで買ったというのが、商売道具でもあるカメラ。

    中でも穂波さんが「すっごい頑張って買ってた」と話すのが、SONYの「FS700」です。

    「はじめてしっかり自分のお金で買った機材が、このカメラです。

    本来買い換えてもいいくらい、規格的にはちょっと古いんですけど、気に入っているので買い換えていません。思い入れがあるカメラですね」(遥平さん)

    暮らしのアイデア

    賃貸でもできる壁面収納

    穂波さんの仕事部屋でやっぱり気になるのが、DIYした壁面収納。

    実はこの収納、賃貸の部屋にまれについている、「釘打ちOKの板」(つけ長押)を活用したアイデア収納でした。

    「つけ長押に釘を打って、有孔ボードの上辺を支えています。それだけだと心配なので、机で下辺も支えている感じです」(穂波さん)

    つけ長押を活用した洋服掛け

    つけ長押のない賃貸物件ではマネできない技ですが、ディアウォールを活用すれば誰でも真似できるとのこと。原状回復可能な賃貸DIYのアイデアは、ぜひとも取り入れたいところです。

    ちなみに、もともと茶色と青だった有孔ボードは、最近机と一緒に塗り直したんだとか。塗料にはボタニカラーズのkunugi(クヌギ)をチョイス。なんともいえないニュアンスグレーが、部屋をいっそう洗練された雰囲気に演出しています。

    貼ってはがせる壁紙で模様替え

    ほかにも、遥平さんが「一大プロジェクトだった」と話すのが壁紙の張り替え。貼って剥がせる壁紙・rasch(ラッシュ)の「HOTSPOT(ホットスポット)」を使い、約2ヶ月の苦闘の末、ようやく完成したんだそう。

    「妻が器用だからやってくれたんですけど、ノリがドロドロしていて扱いづらくて。壁に塗っていると、重力で少しづつ上が薄く、下が濃くなってきてしまって、何度も塗り直しながらやったので大変でした。

    ひとりでやっていたらノリを塗って張るまでの間に乾いてしまっていたかもしれないし、壁紙自体が大きいから、ふたりじゃないと持てなかったと思います」(遥平さん)

    「どんな壁紙もそうだと思うんですけど、日本って湿気があるときとないときの差が激しいから、どうしても隙間ができたりしてしまうんですよね。

    私はそれが気になってしまって……。特に、神経質な人にはオススメしません(笑)」(穂波さん)

    それでも壁の色を変えること自体はおすすめとのこと。安いシールの壁紙を貼って、その上から壁紙用のペンキを塗ったりすればストレスなく作業できそう、とのことでした。

    おもちゃのパッケージはシンプルに自作する

    穂波さん作のUNO、ジェンガ、ガイスターのパッケージ

    リビングの棚にたたずむ、ジェンガやUNOなどのおもちゃの箱。統一感のあるデザインに、「こんなおしゃれなパッケージが発売されていたのか!」と興味を惹かれますが……。

    「おもちゃ類はしまっちゃうと遊べないから、見えるところに置いておきたくて。

    テーブルゲームはパッケージも素敵なんですが、色の強いものが多いので、今はこの部屋になじむようにシンプルなパッケージをDIYして出しっぱなしにできるようにしています」(穂波さん)

    これはぜひとも真似したいアイデア! クラフト紙にロゴを印刷したり、手書きしてもつくれちゃいそうですね。

    残念なところ

    電車が通る窓からの景色がお気に入りだというふたり。だけどちょっと困ったこともあるそうで……。

    「電車が通るとうるさいんです。特に季節の変わり目に窓を開けていると、どうしても気になっちゃいます」(穂波さん)

    「あと、線路ってしょっちゅう工事をするんですよ。それも終電から始発までの、電車が止まっている時間帯に工事があったりして、窓を開けて寝ていると、ちょっとうるさいときもありますね」(遥平さん)

    これからの暮らし

    自分の好きなものに囲まれ、お互いがリラックスできる空間をつくりあげたふたり。理想の暮らしを実現するために心がけていることはあるのでしょうか?

    「もちろん、かっこいいお部屋にしていると気持ちも上がるんですが、あまりにも現実と乖離したようなレイアウトにはしたくないんです。

    人に見せるためではなく、自分が気持ちよく過ごすために部屋はあるので、片付けやすい工夫とか、収納しやすさとかの機能面も大事にして、楽しい暮らしを維持していきたいと思っています」(穂波さん)

    インテリアにこだわりは持ちながら、来客時も夫婦でくつろぐときも、変わらず「平常運転」でいられることが、ふたりの部屋づくりで大切なポイント。

    それから、変わり続ける暮らしにフィットできる部屋であることも、大切にしているよう。

    「この間のステイホーム期間に、必要なものとそうじゃないものとを精査して、断捨離をしたんです。

    2年前にこの部屋に引っ越してきたときにある程度厳選していたし、その後も少しずついらないものを捨ててはいたんですけど、今回の断捨離で必要じゃないものがすごくたくさん出てきて……。

    だから、今満足だなって思っても、人は変わり続けるものだし、それに合わせて部屋も整理したり、掃除したりし続けないといけないんだなって思いました」(穂波さん)

    中央のイラストとぬいぐるみが、穂波さんのぬいぐるみブランド「夜行」の作品。写真はほとんど遥平さんが撮影している。

    「これから子どもができたら、また部屋のつくりを変えたり、いらないものを整理したりする必要もでてくるよね。

    僕たちの暮らしの1番のテーマに、なるべくモノを捨てないっていうのがあるんですよね。それを叶えるために、日々の、とまではいかないまでも、定期的なメンテナンスが大事だなと思います」(遥平さん)

    自分たちにとっての“今の暮らしやすさ”を大切に、家具もDIYするものも、生活に合わせて変化させられるものを選ぶ。理想の暮らしはそうやって、常に変化し続けることで実現するものなのかもしれません。

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