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デザイナー夫妻が住む三角屋根の1LDK。ロンドン暮らしで培った部屋づくりのアイデアとは?(神奈川川崎)|みんなの部屋
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デザイナー夫妻が住む三角屋根の1LDK。ロンドン暮らしで培った部屋づくりのアイデアとは?(神奈川川崎)|みんなの部屋

2021-04-05 18:30
    神奈川県は川崎市、渋谷から電車で20分ほど。

    多摩川を渡った静かな住宅街の中に、今回お伺いするShotaroさん、Ayakoさんのお住まい「204_apartment」はありました。

    お名前(職業):Shotaroさん (BX/UIデザイナー)
    Ayakoさん (靴&バッグデザイナー、美術設営アシスタント)
    場所:神奈川県川崎市
    広さ:1LDK 59.68㎡
    家賃:非公開
    築年数:18年
    住宅の形態:集合住宅

    編集部作成

    学生時代を過ごしたロンドンで知り合ったというおふたりは、現地でそれぞれデザイナーとして働き、2年前に帰国して現在の住まいでの生活をスタート。

    海外生活の中で集められたアイテムと帰国後にハマったという植物、そしてふたりの琴線に触れた古道具たち。「好き」を共通点に集めたアイテムたちが並ぶ独特の空間で、住まいづくりのルーツを伺いました。





    お気に入りの場所

    本に囲まれたリビング

    玄関から入ってすぐにあるのが、フリマアプリで購入されたりんご箱をベースにつくった、本棚に囲まれたリビングスペース。

    おふたりの仕事柄、発想を得るのに大切な空間になっているのだそう。

    「住みはじめは妻の作業場として、工具や素材、作品がとにかくたくさん置かれていました。

    コロナ禍で在宅での仕事が増えたタイミングで、近くに作業用のスペースを借りられたのでそれらを移動。改めてくつろげるリビングスペースとして空間を整えました」(Shotaroさん)

    「スペースとしてキレイにできた分、生活を写真に切り取れる空間になったのもよかったです。

    本棚をL字に配置したので、お気に入りの本たちに囲まれているような感覚になれます。ここでゆっくり本を読むのが至福の時間になっていますね」(Ayakoさん)

    遊び心を掛け合わせた窓際のダイニングテーブル

    ダイニングスペースは、食事と仕事の両方ができる空間に。

    KANADEMONO」で購入された足場板を利用した広めの天板で、作業も行いやすそうです。

    また、大きな窓から十分な光が入るのもお気に入りポイント。窓が大きな分、殺風景にならないように植物が飾られています。

    「すりガラスになっているので植物の育成場所にもちょうどよく、あわせて遊び心のあるモノをたくさん置いているので、その組み合わせを見ているだけで癒しになりますね」(Ayakoさん)

    窓際に飾られていたものをはじめ、ガチャガチャなどで小物を集めるのも好きだと話すおふたり。トイレスペースにもたくさんディスプレイされていました。

    大好きなアーティストのコレクションを集めたスペース

    Shotaroさんが学生時代から集めているというのが、KAWSコレクション。

    寝室にはお気に入りをギュッと集めたディスプレイスペースがありました。

    「20年以上好きで集めているKAWSのコレクションは、これまでディスプレイできるスペースがなかったのですが、リビングを模様替えする中で書籍を1階に移せたので、まとめて飾ることができました。見てるだけで頬が緩んでしまういい場所になりましたね」(Shotaroさん)

    この部屋に決めた理由

    圧迫感のない高い天井

    Shotaroさんの帰国後の職場である渋谷を起点にはじまった、新しい住まい探し。ただ、それまで暮らしていた海外での住まいと比較して、天井が低いことからなかなかいい物件が見つからなかったそう。

    「本当はもう少し、渋谷に近いエリアで三軒茶屋や明大前なども検討したのですが、どこも低い天井から窮屈な印象を受けたり、窓を開けても電線が目に入るのが気になってしまって。

    この物件は天井が三角形になっていて変わっていますが、とにかく開放感があって気に入りました」(Shotaroさん)

    「ロンドンでの住まいが広めの空間だったので、当時と同じくらいの面積はキープしたいなと考えていました。

    主人の職場との距離と家賃との兼ね合いで、結果的に今の住まいに辿り着きましたが、海外での生活が長かった分、いきなり東京の中心地に住むのではなく、程よく便利で落ち着きのある環境で暮らすことができたのはよかったですね」(Ayakoさん)

    残念なところ

    強めのアクセントカラーが多い

    開放感のある天井高の一方で、最後まで悩まれたのがビビットな差し色たち。特にお部屋の中心にある赤い階段に、当初はいろいろと対策を検討されたそう。

    「階段の色が特に主張が強いので、家を決めるときに最後まで悩みました。

    当初は上から木を打ちつけたり、布で覆ったりすることも考えましたが、螺旋階段に合わせてつくるのは労力がかかりそうだったので断念。住んで2年もたつと随分慣れましたが、階段に緑を置いて少しでも和らげようとしています(笑)」(Ayakoさん)

    「階段同様に、キッチンはイエローの主張が強め。キッチンカウンターをDIYしてだいぶ緩和されてきましたが、それでも気になります。

    一方で慣れなのか、最近では写真の撮りようによってはよく見える部分も出てきていて。変わった物件が好きで空間のおもしろさを優先して選んだこともありますし、これもひとつの味なのかもしれませんね」(Shotaroさん)

    想定外だった、部屋の構造によるデメリット

    コンクリート壁で角部屋でもある住まいは、季節の影響も大きく受けてしまうそう。ここでは住まいの開放感が、かえってそのデメリットを強調してしまうことに。

    「住みはじめて実感したのですが、夏は猛暑で冬は極寒です。住まいが吹き抜けということもあり、冬場は寝室からリビングに降りる階段の途中で明らかな空気の層を感じますね。

    逆に夏場は寝室が暑いので、1階のリビングでそのまま寝たりしています」(Shotaroさん)

    「湿度も深刻な問題でした。何もしないと湿気70%を越えることもあり、窓の結露に悩まされる日々が続きました。

    除湿機でも根本的な解決にはならなかったのですが、二トムズの断熱フィルムで二重窓の原理をつくることができ、少し緩和されましたね」(Ayakoさん)

    日本の気候とコンクリート造の住まいの知識があまりなく、苦戦したというおふたり。見た目はクールでカッコいい造りですが、こうした点を理解した上での住まいの設計が重要ですね。

    お気に入りのアイテム

    骨董市で見つけた、編み物の課題

    本棚スペースの隣には、好きなアイテムのディスプレイスペースがありました。中でもお気に入りが、骨董市で見つけたという昔の小学生の編み物の課題を額装したもの。

    「時間や人の気配を感じられる古いものが大好きなんです。特にこのアイテムは、そう遠くない過去の日本教育を知れておもしろいし、編み物という誰かの手仕事の痕跡が感じられてとてもいいですね」(Ayakoさん)

    色合いも使い勝手もいいスローケット

    古道具や植物が多いリビングスペースで、差し色としても印象的なのがロンドンで購入されたというSlowdown studioのスローケット

    「世界中のさまざまなアーティストとコラボレーションした絵画をブランケットにしているブランドで、とにかくユニークでかわいいので気に入っています」(Ayakoさん)

    膝掛けとしてはもちろん、横になっても体全体を覆うのに十分なサイズ。そのときどきで臨機応変に使えて、使い勝手がよさそうです。

    旅行先で出会ったエピソードのあるモノたち

    ロンドンを拠点としていた海外生活の中で、周辺国をはじめ、様々な国に足を運ばれたというおふたり。

    Ayakoさんが益子の陶器市で手に入れた、陶器を乾燥する板を天板にしてつくられたディスプレイスペースには、思い出がつまった大切なモノが並べられていました。その中でも今回は、特に思い入れがあるという2つをピックアップ。

    「パレスチナで購入したバンクシー作品は、バンクシーがイスラエルとの分離壁前にオープンしたウォールドオフホテルの宿泊者のみが購入できる、分離壁の破片を使ったアート作品です。

    ホテルに宿泊して分離壁横にある難民キャンプなどを案内してもらったのですが、このオブジェを見るとイスラエルとパレスチナで目にした光景や二国間の複雑な関係性を思い出します」(Ayakoさん)

    「ウクライナでアンダーグランドツアーに参加し訪れたのが、ソ連時代の情景が残った施設でした。

    訪れた施設に残されていた大量のポスター。デザイナーであることを伝えると快く一部持ち帰りを許されたのですが、ソビエト時代の貴重なものなので、当時の思い出とともに値段に変えられないものになっています」(Shotaroさん)

    他にも、同じくウクライナのヴィンテージマーケットで見つけたというミリタリーグッズなど、現地のエピソードを感じられるアイテムたちがお部屋全体の雰囲気を構成する大切なパーツになっていました。

    帰国後にハマった植物たち

    インテリア以外の本や小物は海外から持ち帰ったものが多い一方で、帰国後に急速に数が増えたというのが植物たち。現地では見なかった様々な品種に出会う中で、好きな品種も出てきたそう。

    「日本に帰ってきて、ロンドンでは見なかった植物の多さに驚きました。ビカクシダは植物にハマったきっかけでもあり、とにかく可愛くて気に入っています。

    本当はもっと欲しいのですが、一気に購入しても世話をするのが大変なので、少しづつ品種を増やしていけたらと思っています」

    暮らしのアイデア

    自分たちがいいと思ったものを自由に配置する

    お部屋には、それぞれの好きなものが偏りなく自由に、でもどこか統一された世界観でディスプレイされています。ここにはあえて特定のテーマを持たないおふたりのお部屋づくりがありました。

    「古道具が好きなので、全体的な割合としては古道具的なものが多いけれども、他にも好きなものがたくさんあるので、ひとつのテイストにとらわれず、自分たちがいいと思ったものを自由に配置しています。

    お互いにひとり暮らしだったら置いていないようなものも多くありますが、お部屋の雰囲気を加味してバランスを取れている気がしますね」(Shotaroさん)

    「ジャンルとしては古道具やコンテンポラリーなもの、ストリートなものなどが混在しているんですが、観葉植物を多く配置してバランスをとっています」(Ayakoさん)

    日々の偶然の出会いを大切にする

    ロンドンでは家具付き賃貸が多いため最低限の家具を買う必要がなく、また大きいものは帰国時に持ち帰るのが高額になるため、家具類は極力買わないようにしていたというおふたり。

    その代わり、つくれるものであれば自分たちでつくったり、ジモティーのような掲示板などを活用していたといいます。

    その頃の経験が、今のライフスタイルにも影響を与えている部分があるそう。

    「今考えると、当時の生活の影響で“家具は極力買わず、必要であれば工夫でどうにかする”という思いがあって、そのせいか今の住まいもダイニングテーブルとベンチ、ベッド以外はインテリアショップで購入したような既製品はないんです」(Ayakoさん)

    「DIYは自分でもしてきましたが、Ayakoさんが持って帰ってくるもので、一見価値が無さそうに見えるものが気付いたら住まいに馴染んでいるということがよくあります。

    今は植物用に使っている瓶も、持って帰ってきた当時はすごく色が燻んでいて何に使うのか疑問に思っていたのですが、気付いたらピカピカに磨きあげられていて驚きました」(Shotaroさん)

    近くの川や山などで、石や木も気に入ったものがあれば採集されるそう。マスクかけはそうして採集された木をスワッグしてつくられたもの。

    「いかに既製品ではなく、日々の暮らしの中でいいものを見つけてこられるか、ということに個人的な関心がありますね。

    お部屋の中にはインテリア小物がたくさんあるんですが、安い消耗品をインテリアショップで購入するよりは、ジャンクマーケットや骨董市、リサイクルショップ、道端などを好んで見ています」(Ayakoさん)

    価値がないように見えるものでも、見方や使い方を変えればいくらでも光るものはあると話すShotaroさんとAyakoさん。そう考えると、私たちの日々の暮らしの中にも生活を豊かにするヒントはたくさん眠っているのかもしれません。

    これからの暮らし

    職場に囚われないスタジオを兼ねた新しい住まい

    「最近見つけた、東東京の住まいがとてもよくて。1階はスケルトンで作業スペースのような空間があり、アトリエ兼住居がつくれそうなイメージが湧いたのですが、問い合わせたときには既に住み手が決まっていました」(Shotaroさん)

    「今の住まいは仕事場との距離の関係で決めた部分も大きかったのですが、在宅ワークが増える中で、アクセスのよさではなくお部屋や創作の環境を重視して、いいところがあれば引っ越しも考えています。

    動物と暮らせる家や、いつかは地方で小さく庭仕事や畑ができる家に住みたいですね」(Ayakoさん)

    海外生活で培ったお部屋づくりのルーツは大切にしつつ、日本の環境に合わせた変化も柔軟に取り入れられているご夫妻。

    日々の暮らしの中で実際に足を運び、目で見て、手を動かして創られる空間が今後どのように広がっていくのか、またぜひ見てみたいと思えたお部屋でした。

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