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ルームウェアでどこまで行けるのか? リラックスとカッコよさが共存するブランド「wenzday(ウエンズデイ)」の哲学
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ルームウェアでどこまで行けるのか? リラックスとカッコよさが共存するブランド「wenzday(ウエンズデイ)」の哲学

2022-04-14 14:00
    自宅で過ごす時間が増えたこの頃。ファッションシーンでとくに盛り上がったジャンルといえば、ルームウェアではないでしょうか。でも、いわゆる部屋着でいる時間が増えたことで、いまいちテンションが上がらないって人もいますよね。

    そんな中、ROOMIE編集部が注目したルームウェアブランドがあります。それが「wenzday(ウエンズデイ)」。リラックスできるのはもちろん、家の中だけじゃなくて、どんな場面にも着ていけるアイテムがラインナップされています。

    今回は、このブランドのディレクターを務める大久保 連(おおくぼ れん)さんに、ブランドの持つ哲学やその成り立ちについてお話を伺いました。

    リラックスした状態でカッコよく、どこまでも行ける服を

    ――まず「wenzday(ウエンズデイ)」というブランド名について教えていただけますか?

    由来としてはいろいろあって。英語で「Wednesday」って誰もが知る単語ではありますが、日本人にとってはスペルがややこしい。だから、いっそ覚えやすくなるようスペルを変えちゃえ、というシャレみたいなのも入っているし。

    あとは月曜日から仕事を始めて、エンジンがかかってくるのが水曜日あたりかな、とか。ブランドを始めるときにメンバーでミーティングをするのが、たまたまいつも水曜日だったこととか。

    ――誰もが知っている言葉でありながら、スペルが違うという遊び心がチャーミングだなと思いました。では、ブランドのコンセプトについても伺いたいです。

    コンセプトは、ルームウェア。新型コロナの影響でステイホームになって、ワンマイルウェアという服の考え方も広がった。だけど、リラックスしたまま、もっと遠くまで行けるほうが良いんじゃないかなと。

    家でリラックスして着られるのはもちろん、そのまま仕事にもカフェにも冠婚葬祭にも着て行ける。僕が個人的に考える「もっとこうだったら良いなあ」というアイデアを服に落とし込んでいます。


    デザインとして前立てを残したプルオーバータイプのシャツ。Tシャツ感覚でざっくりと着られるけど、上品なコーディネートにも合いそう。ややオーバーサイズなシルエットも魅力的。

    柔らかく、ストレスフリーなガウンタイプのアウター。ひとつだけついているボタンがポイントで、家でのリラックスタイムだけでなく、お出かけにも対応できる。

    ――なぜ、ルームウェアというカテゴリだったんでしょうか?

    シンプルに、自分が家にいて変な格好をしているのが嫌だからですね。急に誰かが来るとか、出かけないといけないときに慌てて着替えるのって嫌だなって思って。たぶんそういう服って、半年くらい立ったら仕舞ったままで、着なくなると思いますよ。それって作り手としては寂しかったりする。

    僕が作りたいのは、一番にリラックスできるもの。料理とかして汚れても「まあ、いいや」って気負わずに着られるもの。だって生活をしていると服は汚れるじゃないですか。だから何度も着てもらって「これ良かったから、もう一枚同じのを買おう」とか「汚れも味になるかも」って思ってもらえたら良いです。

    ――先ほど少し新型コロナのお話がでましたが、ブランドの構想自体はいつからあったんですか?

    ルームウェアを作りたいという考えは、新型コロナの流行のずっと前から持っていましたね。ただ前にいたブランドでPRをずっとやっていて、洋服作りというのがどれだけ大変かというのは身に染みて分かっていました。

    でも結局は大変だとしても、自分が持っているもので、自分なりの表現をしたいと考えるようになったのがブランドを始めるきっかけです。

    デザインも見せ方も、自分なりのやり方をつらぬく難しさ

    ――では現在、ご自身でディレクターという立場となって、難しさや大変さを実感するのはどのような部分でしょうか?

    もう、ずっと大変ですよ(笑)。服を世に出すっていうのは、体力が必要。PRをしていた前のブランドでは意見が通らないこともあったけど、今は自分自身で形にできます。いまはそれがすごく楽しい。

    でもデザイナーとしての経験不足で、思ったように形にできないということも、もちろんあって。自分のブランドとなると、背負うものがたくさんあると気が付きました。他力本願では何もできないというプレッシャーは、常にあります。

    ――ブランドに関わる立場が変わって、見えるものも変わったということでしょうか。

    そうですね。いま「wenzday」のアイテムをあまり表立って流通させていないのも、そこの折り合いが自分の中でついていないからかもしれません。周りから「いったい何がしたいの」って言われちゃうんです(笑)。でも、自分としてはブレてはいないつもりですけどね。

    「この店に置いてあるから、こういう服」ってイメージじゃなくて、フラットに見てもらいたい。だから、いつかは店というか部屋のような感じの場所を作って「wenzday」を置きたいとも考えているんですけど……。

    まだしっくりきていないですね。周りからワガママだと思われることもあるけど、自分の中で折り合いがつくまでは、このままのやり方でいいかなって。

    ――なるほど。なんだかPRとしてとデザイナーとして、それぞれの大久保さんがいて、相反しているようなイメージですね。

    本当にそうですね。もちろんPRを長くやっていたので、どう売れば良いかは分かっているつもりです。でも、今はそれをやってない。デザイナーとPR、それぞれの立場の自分が葛藤している感じ。自分の中で帳尻が合わない。

    それに若い人たちを見ていると、昔だったら御法度だって言われるようなことをやっても、きちんと受け入れられて、ビジネスとして成り立っている。だったら僕も、もっと楽しいやり方というか、自分なりのやり方を試してみたいですね。

    ルームウェアの定番品を生み出し続ける

    ――「wenzday」のアイテムについて伺いたいと思います。シンプルでユニセックスなイメージがありますが、こだわっている部分を教えてください。

    細かいことを言えば、パンツの寸法とか、それはもうたくさんありますよ。ルームウェアって究極を言えば、老若男女問わず、誰にでも似合わせることのできるアイテムだと思うんです。だからルームウェアと呼ばれるジャンルの中でも、定番品を作り続けたい。

    ――定番品とはどういうアイテムのことだと考えますか? 例えば流行によって、パンツの太さなどは微妙に変化すると思いますが……。

    それこそ時代に合ったものを作るという意味では、トレンドを取り入れるのは必要だと思います。それでも「まだそれを着てるの?」って言われない物を目指しています。

    デニムだって元は作業着だった。でもそれをファッションに取り入れる流行があって、いまやもう定番です。ずーっとみんなが履いている。

    ――たしかにそうですね。トレンドと定番は相反しているように思っていましたが、地続きになっているんですね。

    有名な話ですが、スティーブ・ジョブズが、服の選択に思考や時間を奪われたくないから、毎日同じ物を着ていたっていうじゃないですか。そこに選ばれたアイテムってすごいなって。

    選ばれたブランドとの間に信頼関係がありますよね。「もうずっとこれでいいや」って、前向きに思えるアイテム。着ているものにとらわれないで、仕事に集中できるほどの着心地やクオリティがあるってことだから。そういう服として選ばれたいです。

    ――服にこだわってなさそうに見える人に限って、むしろ、すごくこだわっているという例ですよね。

    考えてみれば、そりゃそうですよね。自分がしっくりきてない服を何着も揃えるはずがないし。流行を追い求めなくても、自分の感性で服を着て、時代が後から追いついてくるのがカッコいいってことかなって僕は思います。

    美意識を持てば暮らしが楽しくなる

    ――今後のブランドが目指す先として、どんなことを考えているのかを最後に教えてください。

    こういう時代だから、家にいる時間が多いと思うんですけど、家にひとりでいたとしても、自分なりにオシャレしたり、カッコつけたりして、美意識を高く持っていれば楽しく過ごせるはずです。そういう感覚をユーザーと共有していきたいですね。

    オシャレとかカッコつけたりとかって他者ありきのようだけど、自分が気持ちいい状態につながるためには必要なことだと思う。

    肩肘張らないけど、カッコいい。自然体で自分らしくいられるルームウェアを着て、幸せな気分でいられたら最高ってことです。

    ■「wenzday」の取り扱い店について
    wenzdayのアイテムは、
    名古屋のセレクトショップ JACK IN THE BOX
    大阪のセレクトショップ THE GROUND depotで取り扱いをしています。

    wenzday official site は近日公開
    詳細は https://www.instagram.com/wenzday_jp/ より

    Photographed by Kosumo Hashimoto

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