広島県は観光地も多く、各種アクセスも便利な広島市内。広島駅から10分ほど車を走らせた住宅街と広島湾に続く川の間に、今回ご紹介する柚木さんの住まいはありました。

お名前(職業):柚木さん(フォトスタジオ運営、カメラマン、ライター)、ご主人(取材時はご不在)、お子さん2人
場所:広島県広島市
広さ:80㎡ 5LDK
住宅の形態:築10年 マンション
間取り図:編集部作成

 

現在の住居には、新築から住みはじめて10年。それまでの生活を通して、ライフスタイルが明確になった上で行ったリノベーションは、やりたいことが全てできたというほどに悔いのないでき栄えでした。

瀬戸内海に続く美しい景色を臨む、思い入れあるものに囲まれた住まいについて、お話を伺っていきます。

■目次
1. お気に入りの場所
2. この部屋に決めた理由
3. 残念なところ
4. お気に入りのアイテム
5. 暮らしのアイデア
6. これからの暮らし

お気に入りの場所

床でもテーブルでもリラックスできるリビング

お部屋時間の中心となっているリビングは、家族が集ってリラックスできる空間づくりを意識。

「リノベーションのきっかけとなった丸テーブルを中心に、家族みんながいつでも、集ってお互いの顔が見えることを一番に考えて設計しました」

丸テーブルは県内にある「さしものかぐたかはし」で、広島の栗の木を使い、釘なしで組み立ててつくったもの。職人の技が光るインテリアです。

床は、人気の無垢材ではなく絨毯敷きになっていて、テーブルがあるのに思わず地べたに座りたくなってしまう居心地のよさ。

「空間の印象を大きく変えるフローリングは、ホテルの雰囲気が好きだったこともあり、ごろごろしても心地よい絨毯フローリングに張り替えました。夏は涼しく、冬は暖かいウール100%の素材は、サンプルに頬擦りして肌触りを確認したり、床に置いて色合いなどを念入りに確認して決めましたね」

飲み物をこぼしてシミがついてしまうなど、状態維持と手入れが難しそうなイメージのある絨毯ですが、混色のものを採用することで気になりにくいように。新品の状態から1年弱は出る遊び毛も、暮らしとともに馴染んでいくのだそう。

リビングのディスプレイスペース

リビングでもう1つ印象的なのが、壁面収納。丸テーブルを制作してもらったのと同じ家具屋さんで、ラワン材を使い、同じく釘なしで制作されていました。

「大切な本やアート、オブジェを飾っています。ここにあるものは全てお気に入りですね」

収納棚以外の壁面でも、デッドスペースになってしまう部分にニッチを用意して有効活用。

ディスプレイを変えることで小さく模様替えできるようになっていて、白の空間に季節の花やアートが映えています。

もう一方のスペースは、ベンチとして設計。

座面の下はプチ収納として使え、中にコンセントを設置したことでサーキュレーターのコードを表に出すことなく使えるようになっていました。

こだわってカスタムしたII型キッチン

リノベ前後で見える景色が変わったというキッチン。

以前は川の景色が正面に見えるレイアウトだったのを、ご家族がいるリビングが正面に見えるレイアウトへ変更されていました。

「家族の顔が見えるよう、II型のキッチンに変更しました。II型への憧れもありましたが、子どもが思春期を迎えて、顔を合わせる機会が減ったとしても、基本キッチンにいる私が子どもの顔や様子を確認できるようにしたかったんです」

見た目にも美しいキッチンですが、設備にも柚木さんならではのこだわりが見られます。

「ガスコンロの他に、ガゲナウのIHコンロ、海外製食洗機、食器の収納スペースなど、こだわりがありすぎて造作キッチンになりました。木製扉とステンレスのホット材の天板の組み合わせも気に入ってます」

IHには、鉄板も設置可能。広島のソウルフードであるお好み焼きをはじめ、焼きそばや餃子など、この鉄板を使うことでより美味しく料理ができるのだそう。キッチンに鉄板があるなんて、お店のようでわくわくしますね。

当初はキッチンに鉄板を埋め込む想定もあったそうですが、見積もりを取った際に、金額の高さから断念。それでも理想のキッチンを追い求め、現在の形ができ上がっていました。

キッチン横には、柚木さんのデスクスペースも用意されています。料理の合間はもちろん、夜なども1人で集中して作業ができる場になっていました。

ベッドだけのホテルライクな寝室

寝室はリノベ前にあったウォークインクローゼットをなくして、ベッドだけのお部屋に変更。ご家族4人並んで、眠ることに集中できるようになっていました。

「以前は私の服を収納するスペースがあったのですが、今はベッドのみのシンプルな寝室に変更しています。みんなが寝ている横で着替えるのは気が引けるので、家族全員分の洋服や小物などの収納はファミリークローゼットに集約しています」

天井の照明はpopIn Aladdinにすることで、寝ながら映画が楽しめる最高の空間が完成。

「一面のみ木を貼り付けて仕上げることで、ホテルのような好みの雰囲気にできました。アートや照明なども、邪魔にならない範囲で好みのものを置いています。寝るだけのスペースですが、お気に入りの空間になっていますね」

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この部屋に決めた理由

海へと繋がる川の景色

新築で内見に訪れた際に、一目で心を奪われたというのが窓からの景色。広島湾へと広がる眺望のよさと美しい水面の煌めきは、こんな景色を眺めながら暮らしたいと思わされるものでした。

「この景色を見た時に、絶対ここがいい!と思いました。近くには小学校やスーパーなどもあり利便性もよくて、ずっと暮らしていきたいと思える住まいでしたね」

ダイニングテーブルへの憧れ

住みはじめて10年が経ち、リノベーションを決意。そのきっかけはお子さんの成長と、それまでも抱いていたダイニングテーブルを囲んだ生活への思いが強くなってきたことからでした。

「ダイニングテーブルを購入するなら、家族で囲める円卓で、一生使い続けられるお気に入りのものがいいという思いがあったのですが、なかなかしっくり来るものが見つかりませんでした」

「家具探しがなかなか進まない中で、なぜしっくりこないかを振り返った時に気づいたのが、今の家自体にしっくりきていないからではということだったんです。そこからは話がどんどん進展していき、リノベーションをして心から使いたいと思えるダイニングテーブルを迎えようということになりました」

残念なところ

一度で洗い切れない食洗機のサイズ

デザインのスタイリッシュさに加え、稼働中も静かで全く気にならないという食洗機ですが、日々の暮らしの中ではもう少しと思うポイントがありました。

「食洗機のサイズをもう一回り大きなものにしておけばよかったと、少し後悔しています。大きな鍋やコンロの五徳までをまとめて洗う時は、一度に洗える大きな食洗機の方が使いやすかったですね」

お気に入りのアイテム

留め方のアレンジも楽しめるカーテンタッセル

リネンライクな薄いレースカーテンに合わせたら、きっと素敵だと思い、選んだのがnatsusobikuのカーテンウッドタッセル

「天然木の美しさに加え、強力な磁石でくっつくようになっていて、留め方のアレンジもいろいろと楽しめます。遊びに来た友人たちに必ず、これいいね!と言ってもらえるアイテムです」

玄関で出迎える一輪挿し

玄関入ってすぐに飾られていた、木工家・小山剛さんの一輪挿しは、住まいが完成する前から家に飾ろうと購入されていた、楓の木材の色合いが美しいアイテム。

「リノベーション前に、広島のギャラリーで出会って購入しました。玄関に飾ったことで、いってきますの時も、ただいまの時も、常に目に入って幸せな気持ちになります。ほんの少しでも毎日お花があると暮らしが豊かな気持ちになるので、絶やさず飾るようにしていますね」

リノベをしたことで、お花を飾りたいという思いが強くなったという柚木さん。白を基調とした内装に、お花の色彩が美しく際立っています。

ヴィンテージに育てるやかん

キッチンで存在感を放っていたのが、ババグーリの銅製やかん。一目見た時、思わずその大きさに驚かされましたが、このサイズこそ頼れる存在の証でした。

「子どもたちが毎日水筒にお茶を入れて持っていくので、思い切って大きなやかんを購入しました。

ひとつひとつ手作業でつくられた銅製のやかんは、使えば使うほど味が出て、どんどん愛着が湧いてきます。将来的には、子どもたちに引き継げるよう、ヴィンテージに育てていきたい一生物のやかんです」

暮らしのアイデア

収納する場所を明確にして余白をつくる

「基本ズボラなんです」と話す柚木さん。10年暮らした住まいでのリノベーションということもあり、自身のライフスタイルに合わせた収納設計がされていました。

「見せる収納はリビングの壁一面の棚とパントリーで楽しんで、あとはできるだけ隠す収納ですっきりさせた空間づくりを意識しています。

各スペースの役割を明確に分けることで空間を整えることはもちろん、本や雑貨は本棚に、衣類は全てウォークインクローゼットにと、場所を決めることで片付けも楽になっています」

ウォークインクローゼットは、リビングと玄関の両方からアクセスできるように設計。

クローゼット内は収納兼アイロン台となっている家具など、デザインと機能性が兼ね備えられたものが使われていました。

「収納しても窮屈になりすぎないよう、余白ができるように設計しています。本棚は、本やオブジェを入れても余裕がある設計にしました。

リフォーム前に購入した鳥のオブジェも、本棚完成後に飾ったらサイズがドンピシャで感動しましたね」

どのアイテムにもエピソードがスラスラと出てくる柚木さん。思い入れのあるものだからこそ、最も輝くスペースで大切に飾られているのが印象的でした。

デザインと機能性を兼ね備えたリノベーション

「住まいづくりにおいて、やりたいデザインと機能性のどちらかしか取れないという選択肢は選びたくなく、どちらも兼ね備えた空間づくりを常に意識していました。ずっと暮らしていく住まいなので、後悔のないリノベーションをすることは大切にしましたね。

キッチンカウンターのリビング側についた、框付き扉の収納もその1つです」

扉を開けると、中にはグラスや器類が並んでいました。

ご家族やご友人がキッチンで作業をしていても分担してダイニングの準備ができるよう、使用頻度の高いものはここに収納されているのだそう。

逆に、お鍋や食材類はキッチン横のパントリーに一括収納。こうした収納の棲み分けにも、暮らしやすさを追求した設計の工夫が見られます。

異素材でもまとまりある空間づくり

空間づくりに関してもう1つお話しされていたのが、もの選びとコーディネート。

「何か1つの素材にこだわりがあるわけではないので、同じ素材で統一させていくというよりは、その時々でいいものと出会ったら迎え入れ、自分の好きなものだけに囲まれて暮らしたいという思いがあります」

「ガラスや木、アルミやステンレス、陶器と、素材はいろいろあるけれど、どこかまとまっているというのが自分にとっては一番心地いいんです。これから少しずつ感性が変わっていくこともあると思いますが、棚や住まいにそうした変化が反映されていったら面白いですね」

お部屋にルールをつくりすぎず、自分の「好き」を大切にすることが、心も楽に、自分らしい住まいをつくることに繋がっていきそうですね。

これからの暮らし

子どもの成長に合わせた心地よい住まいづくり

今回のリノベーションで、今の生活に合わせたベストな住まいがつくれたと話す柚木さん。大切な住まいをこれからも心地よい空間にしていくために、家族の変化に合わせて手を加えていきたいのだそう。

「この住まいを終の住処にしたいと考えているので、子どもたちが巣立ったら、お風呂を檜の浴室などにリフォームできたらいいなと思っています」

「子ども部屋を2.5畳ずつのコンパクトな設計にしたのも、今は家族の時間を大切にできるようにとの思いからですが、将来的には巣立った後の使い方も見越してのことでした。

その時の状況に合わせて、書斎にしたり、ゲストルームにしたり、ライススタイルに合わせた変化をつけていければと考えています。少しずつ手を加えながら、永く住んでいきたいですね」

ご自身のライフスタイルや嗜好に合わせて心地よい住まいづくりをされている柚木さん。住まいのことも、暮らしのことも楽しそうに語られる姿からは、家族とともに歩んだお部屋への愛着が感じられました。

窓から望む水平線のように、住まいもまた無限の可能性を秘めながら、柚木さんとご家族の生活を今日から明日へと運んでいます。

Photographed by tsubottlee

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