Photographed by Motoki Adachi

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以前「みんなの部屋」でそのリノベ部屋に招いてくれ、また先日は、愛車のシボレーを披露してくれた佐々木龍平さんと妻の晴香さん。ふたりは結婚してから新居に引っ越し、理想の住まいをリノベーションにて叶えました。

リノベ経験者の龍平さんは、「施工現場に足繁く通う」というリノベの流儀を今回も貫き、また前回の失敗も踏まえながら、ひとまわり大きな空間をたくみに作り上げました。ど迫力のリビングで魅せるパワーアップした住まいに、いざ潜入します。

名前(職業):佐々木龍平さん(IT系企業 企画)、晴香さん(IT系企業 開発)
場所:埼玉県朝霞市
リノベ費用:約850万円
広さ:2LDK / 75㎡
築年数:31年
間取り図:

編集部作成

■目次
1. この部屋に決めた理由
2. お気に入りの場所
3. お気に入りのアイテム
4. 残念なところ
5. 暮らしのアイデア
6. これからの暮らし

この部屋に決めた理由

正方形に近いリビングを実現できる間取り

以前暮らしていた部屋にあったホームシアターも、3年ほど前から乗っている愛車のシボレーも、モノ選びの基準においてはなにかと“デカさ”を重視してきた龍平さん。

かくして2021年から暮らしはじめたこの部屋も、決め手については、言わずもがな。ただし、今回“デカさ”にこだわったのは彼だけでなく、妻の晴香さんもそれを後押しした張本人だったとか。

「75㎡くらいはほしいよねって、彼女が」(龍平さん)

「以前夫が住んでいた部屋はおよそ50㎡でした。そこにもう一部屋はほしかったので、そう考えると75㎡くらいないとな、と」(晴香さん)

とはいえ、ただ広さだけを求めていたわけではなく、もうひとつ譲れない条件だったのが正方形に近いリビングを実現できること。

「とにかくリビングをだだっ広くしたかったんです。たとえ75㎡以上あったとしても、縦長の空間ではダメでした」(晴香さん)

「この部屋の梁を見てもらうとわかるように、じつは、リビングはもともと4部屋に区切られていたのをぶち抜いて作ったんです」(龍平さん)

そう、以前龍平さんが暮らしていた部屋同様、ここも中古マンションの一室をリノベーションした部屋。前回の反省をしっかり生かしつつ、家族に加わった晴香さんの趣味趣向も織り交ぜ、パワーアップを遂げたリノベ部屋というわけです。

晴香さんが長い時間を過ごすというダイニングテーブルはセカイクラスのもの。照明はBEATで購入。

「インダストリアルな空間にしたい」というざっくりとしたイメージからスタートし、ピンタレストを使って、天井、壁、床、窓、と具体的なイメージを膨らませていったというふたり。並行して、リノベーションや注文住宅を専門にあつかうマッチングサイトSUVACOで、不動産と施工業者を探すことにしたのだとか。

「そこで出合ったのが、MAC INDUSTRIESさんでした。物件の内見段階から見にきてくださって、ここならわたしたちの作りたい部屋が実現できると、判を押してくれて」(晴香さん)

「いろんな部分でフットワーク軽く応じてくれたよね」(龍平さん)

リノベーションの施工時には、足繁く現場に通うことが流儀と語っていた龍平さん。今回もしかりで、「やっぱり現場で話さないと伝わらない微妙なニュアンスもありますし、そういう部分を修正するにも、お互いに早い方がいいですから」と、そのアナログなスタイルは健在。理想の住まいを作る近道になったようです。

お気に入りの場所

前の部屋のムードが凝縮された書斎

龍平さんがもっとも気に入っている場所は、リビング。どかんと置かれたRe:CENOの巨大ソファが、この空間の主役です。

「ソファは、腰掛けるというより、上に乗ってあぐらをかけるくらいの広さがほしかったんです。このソファは『AGRA』という名前の通り、座面が広々。足は通常より高いものに替えてもらいました」(龍平さん)

巨大なリビング空間に置かれていても、しっかりとその存在を主張する巨大なソファ。やはり大きいものには目がないのか、その存在は愛車のシボレーにもなんとなく重なって見えます。

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一方、もっとも長い時間を過ごすのは書斎だといいます。そこはリビングとは打って変わって、無骨な雰囲気。

あれ? どこかで見たことあるような……と思っていたら、壁の配色や有孔ボードなどのあしらいは、龍平さんが以前暮らしていた部屋に酷似。

「実家の頃からなにかと使っている有孔ボードは、やっぱり便利なので、活用の幅は広がる一方です!

壁の色は結局気に入らなくて、あとから自分で塗ったもの。作業テーブルも自分で作ってしまいました。あと、『部屋のどこかに使いたいな』と思っていたトタンは、エアコンカバーとして取り付けて」(龍平さん)

と、この部屋に越してきてからふつふつと湧くDIY熱を発散しながら作り上げた書斎。以前の部屋の要素やムードがぎゅっと凝縮され、ここに息づいているような気がします。

お気に入りのアイテム

オールブラックのキャンプ道具は、部屋にも馴染む

愛車のシボレーを購入したきっかけは、キャンプにのめり込むようになったこと。いまでは毎月のスケジュールを、キャンプを軸に組むほどまでに。

「以前は池袋の近くに暮らしていたので、天気のいい休みの日には街に出て昼から飲むのが習慣でした。でも、いまは天気がいいと近くの土手に行って過ごすのが日課に」(龍平さん)

お気に入りのメーカーはMuraco。オールブラックがブランドカラーで、それゆえどんなに集めてもガチャつかず、部屋にむき出しで収納していても洗練された印象に。

アイアンマンにハマって…

「最初は友人の紹介でMuracoを知ってから、じつは従兄弟が描いたイラストがTシャツに使われていると聞いて」(龍平さん)

イラストレーター・佐々木啓成さんによるイラストがプリントされたTシャツは、龍平さんのお気に入りアイテムのひとつ。また、最近になってどハマりしたというアメコミヒーロー・アイアンマンのTシャツも。その一部を見せてくれました。

「なにかと趣味の合う妻からも、アイアンマンに関してだけは文句を言われています……(笑)」(龍平さん)

玄関を入った訪問者を天井から狙うアイアンマン

ちなみに、同じ色を買うことが多いというTシャツ。収納は、黒は黒、白は白、とまとめてしまうとどれがどれだかとっさに判断できないため、あえて色は揃えないのがルール。

残念なところ

だだっ広さの代償

住まいはオール電化。おまけに照明の数も比較的多い分、なにかとかかる電気代には悩まされているようで。

「電気代はそれなりにかかります。そこで去年の冬、すこしでも暖房効率を上げようとダイニングにカーテンを取り付けました。あまり効果は実感できませんが……

結果としては、カーテンを取り付ける工作の時間がただただ楽しかっただけかもしれません(笑)」(晴香さん)

奇しくも味わうことになったDIYの楽しさですが、この部屋に暮らすようになってからは、自分たちで内装や家具を作る機会が増えているのだとか。そもそも、既製品にしっくりくるものが見つからないため、自ら作るという結論に至っているそうです。

鏡はお手製。イケアで買った3,000円くらいのミラーに、キッチンの床材として使った足場板の余りを貼り付けた。

「リビングのコーヒーテーブルや書斎の作業テーブル、玄関脇に置いた鏡などは、どうしても欲しいものが見つからず、だから作るしかなかった。この部屋には、有名デザイナーの家具や雑貨といったものはほとんどありません。記事映えしない部屋なんです……(笑)」(龍平さん)

暮らしのアイデア

広いリビングは、素材でゆるやかに切り替える

モルタルの床にコンクリあらわしの壁、とインダストリアルなテイスト満点な部屋ですが、寝室や書斎につながる方の壁だけは、白の漆喰を塗ってあえて雰囲気を変えたそうです。

「全面をコンクリにすると、すごく暗く重たくなりそうだったので。一面だけ白にしようと、最初から決めていました」(晴香さん)

荒々しい足場板なので、油ハネや水垢が気にならない

また、キッチンの床には木材を敷くことで、壁のないひと続きの空間をゆるやかに区分けしています。

「キッチンには工事現場の足場に使われる足場板をあしらいました。どれくらいの分量にするかは、かなり細かく吟味したポイントです」(晴香さん)

キッチン収納は、使いたいものにすぐ手が届くよう、扉なしに。「扉を開けるのが面倒なので、ぜんぶオープンにしました!」と晴香さんのこだわりです。

キッチン横に置いた収納棚は、ヤフオクでおよそ15,000円で購入したもの。「おそらく、中華料理屋の厨房とかで使われていたものだと思います」(龍平さん)

そうやって、インダストリアルな巨大リビングも、ほどよくあたたかみが感じられるメリハリの効いた空間に。あしらいの工夫が光ります。

施工業者とは本音で話し、任せっぱなしにしない

リノベーションの施工の段には、任せっぱなしにせず、まめに現場に足を運ぶことの大切さを身をもって知っている龍平さん。その結果が、部屋の至るところにあらわれています。たとえば、玄関を入ってすぐの天井もそのひとつ。

「スケルトンにしてみたら、太いコードが出てきたんです。束ねてみても、どうにも存在感が消えなくて……。

じつはここに入居する前の一ヶ月間、Airbnbを使って仮住まいをしていたんです。できるだけ新居のコンセプトに近い物件を探して、勉強のつもりで」(龍平さん)

そのときに発見したというのが、金網を内装として用いるアイデア。収納扉や空間の仕切り、配管やパイプを隠すのにも使われていたそうです。

「それを天井に取り付けたいと、相談してみたんです。MAC INDUSTRIESさんのオプションでもなんでもないのですが、快く引き受けてくださって。すぐに金網を買ってきてくれ、ここに取り付けてくれました」(龍平さん)

施工業者との親密な関係を引き寄せる秘訣について訊いてみると、「最初の段階から嘘偽りなく本音を話すこと」ときっぱり。

「すると相手も本音で話してくれるので、施工の途中で食い違いが起こりにくいんです。できないことはできないと言ってくれるし、代案を用意してくれたりもする」(龍平さん)

「たとえば玄関横の壁にあしらった有孔ボードは、本来は、天井まで届く高さになる予定でした。でも、その部分の作業日に現場に行って、『僕はどっちでもいいですよ。天井まで張ると、その分細かい加工が必要で大変じゃないですか?』と訊いてみたんです。すると大工さんも『それはそうですね』と率直に話してくれた。『だったら、手間はできるだけ減らしましょうよ』と提案したんです」(龍平さん)

「中央の梁もだよね。本当は二度塗りが基本らしいのですが、一度塗りの段階で見た目には満足していました。一度塗りでも機能的には問題ないということだったので、『なら、一度塗りでも大丈夫ですよ』と。蓋を開けてみれば、一度塗りにしたおかげで生まれたムラが、いい感じの雰囲気になりました」(晴香さん)

ひととひととの関係をたっとび、なんでも正直にぶつけあうことが、理想の部屋づくりへの近道になるようです。

これからの暮らし

取材時には妊娠中だった晴香さん。近い将来3人暮らしになり、暮らしの大きな変化を迎えることになる、そんな時期でした。ところが住まいに関しては、「超無計画です(笑)」と、ガハハと笑う龍平さん。

「部屋のいたるところに角が多いので、ちょっと心配はありますね。でも広々なので、そこまで不安は感じていません。いま植物を置いている部屋の中央に、子ども用のスペースを設けてもいいですし」(晴香さん)

構えすぎず、考えすぎず、というおおらかな様子。そんなふたりの態度が、生まれてくる赤ちゃんのこともあたたかく包んでしまいそうです。

もっかの目標について訊くと、「部屋のベースがかなり無機質なので、まだまだグリーンを増やしたいですね。あと、家具はきっとDIYで増やしていくと思います」(龍平さん)

次回訪れたときには、うっそうとしたジャングルさながらの部屋に、お手製の家具が並び、一家3人。よりあたたかみを増した風景が、そこに見られるかもしれません。

リノベーションプランナーの考える暮らしのあり方。

玄関から寝室までフラットなリノベ部屋。

RSS情報:https://www.roomie.jp/2022/09/873152/