エディスさんの近所がデパートに開拓されるという計画が着々と進んでいく中、彼女だけは頑固に自宅を手放そうとはしないそう。
この話、どっかで聞いたことあるな…と思ったそこのあなた。そうなんです。この話、2009年のピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』にそっくりなんです!
バリー・マーティンさんはこの工事の責任者。エディスさんの頑固な立ち居振る舞いに頭をひねらされながらも、彼女と少しずつ会話をするように努力しました。
そんなある日、エディスさんの意外な一面を見ることができたのです。
エディスさんの若い頃の写真をもらったバリーさん。この写真を撮影した頃、英国組織に所属していたそう。音楽学生を装いながら、なんとドイツのナチス軍団にスパイとして働いていたという衝撃な話を教えてくれたそうです。エディスさん、かっこよすぎです!
エディスさんと話をすればするほど、彼女の芯の強いまっすぐな生き方に魅了されてしまったバリーさん。この時代、ここまで強くたくましい女性に会ったことはなかったのかもしれません。
日に日に時が経つにつれ、二人は本当の友達同士のようになりました。バリーさんは、エディスさんに用事がある時は、車で送り迎えをしたり、彼女の具合が優れない時は、病院の緊急受付まで一緒に付き添っていたそうです。
そしてある日、バリーさんはエディスさんに、なぜこの家を手放せないのかを聞きました。その回答が、彼と世界中の人々の心をとらえ続けています。
「じゃ私はどこに行けばいいですか? 家族ももういないし、ここが私の家。私の母はここで死にました。このソファーの上でね。
イギリスからわざわざ母の介護のためにアメリカに来ました。母は私に、どっかの施設なんかではなく、この母のお気に入りのソファの上で生涯を終えさせてほしいと言いました。
その約束を、私も母と一緒に守りたいのです。どっかの施設なんかじゃなく、私もこのソファの上で天国に行きたいんです。ここが、私のホーム(家)です。」
1億ドルのオファーがあっても、決してこの家を売らないエディスさん。家族がすべて他界してしまっても、自分のホームとその信念を貫くその強くしなやかな姿勢に、私も魅了されてしまいました。