【まえがき】


日本の政治は、今、岐路に立たされている。
それは、政権の座を維持できるか否かという単純な問題ではない。
もっと深い次元の話だ。
「この国の政治は、果たして“国民のため”に決めてきたのか」
その問いに、真正面から答えねばならない瞬間が来ている。

参院選という戦場で、自民党は保守層の信頼を失いかけている。
中でも、比例代表選挙が示す“内部崩壊”と“外的侵食”の構図は見逃せない。
それは単なる選挙戦ではない。
政党の生存と、国家の理念をかけた静かなる内戦だ。

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第1章:漂流する政党、自民党という名の「保守」

党の中で保守が孤立する日

比例代表というシステムの中で、今、自民党の保守候補たちは孤軍奮闘している。
だがその声は、党の方針とはねじれ、異質なものとして扱われる。
有村治子氏、杉田水脈氏。
彼らが掲げる政策は、スパイ防止法、外国人土地買収規制、消費税減税といった、かつて安倍晋三元首相が語った“日本人の生存戦略”そのものだ。
しかしその訴えは、党内では歓迎されず、国民の一部からは敵意すら向けられる。
杉田氏がクルド人問題に言及した際に受けた妨害。
これは、今の日本が「触れてはならぬ現実」に蓋をしている証左だ。
「決められない」のではない。
「決めてはならないことにしか手を出さない政治」が蔓延している。

保守という言葉が、かつては「伝統を守る」という誇りだった。
今、それは「空気を読むための看板」と化している。
自民党という器の中に、かつての精神はもはや存在しないのか。
このまま保守が疎外されれば、「政党政治」の意味そのものが問われるだろう。

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第2章:岩盤保守層の離反、それは自民党への“最後通告”

「保守」が見限るとき

かつて盤石だった岩盤保守層が、今や足元から崩れ始めている。
そのきっかけは、LGBT法案や夫婦別姓法案といった、保守理念と相容れぬ政策への傾斜だった。
彼らは静かに、しかし確実に、自民党から背を向け始めている。

それは単なる不満ではない。
怒りと諦念の表明である。
そして、その票が流れ込む先にいるのが参政党だ。
「日本人ファースト」というシンプルで力強いスローガン。
外国人土地買収への危機感を、正面から訴える姿勢。
保守層は、“かつての自民党が持っていた顔”を、今この新興政党に見出している。

参政党の登場は偶然ではない。
それは「国民が託せる政党が見当たらない」という空白が生んだ自然現象だ。
野党に失望し、自民党に裏切られ、ではどこに託すか。
その答えが、政策にブレのない新興勢力だった。

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第3章:「身内」で潰し合う愚かしさ

戦うべきは外ではないか

比例代表での戦いは、かつてないほど内向きだ。
有村氏と杉田氏。
共に安倍派であり、共に保守の本流を歩んできた二人が、今は“個人票18万”という無慈悲な数字を前にして、同じ支持層の票を奪い合っている。

党の支援も分散し、保守層の民意も割れる。
結果、「本当に通るべき人物が、通らない」可能性が現実味を帯びている。
これは、政党内の構造的欠陥であり、選挙制度の限界を露呈している。

“身内”で潰し合っている間に、本来守るべき国民の未来が遠ざかっているのだ。
しかも、その状況を「選挙の宿命」として片付けるには、あまりにも代償が大きい。
理念と戦略が交差しない党に、持続可能な信頼など築けるはずがない。

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第4章:「決められない政治」の本質

本当に“決められない”のか?

岸田文雄前首相、麻生太郎最高顧問。
彼らが口を揃えて訴えるのは、「決められる政治」の必要性である。
だが私たちは知っている。
この政権が“決めてきた”数々の事例が、どれだけ国民の苦痛と不信を生んできたかを。

外国人労働者の拡大、増税政策、国家の主権が問われる安全保障の“先送り”。
「決められなかった」のではない。
「国民が決めてほしいことを、避け続けた」のが現実だ。

実績と言われても、生活の改善に繋がっていなければ意味がない。
“言葉”より“成果”が求められる時代に、国民は甘い幻想に付き合ってはくれない。
判断すべき時に、政治家が目をそらした結果が、この国の閉塞だ。

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第5章:「ビルド」のないスクラップ

「壊すな」と言う前に、「建てろ」と言え

麻生太郎氏は言う。
「壊すのはいいが、建てるものが見えない」
だがそれは、自民党自身に返ってくる言葉ではないか。

保守層が去った。
若者が去った。
今、自民党には何が残っているのか。
安倍晋三氏の哲学を継ぐ者たちは冷遇され、表現を封じられている。
そして、「建てるべき理念」が党からは見えてこない。

壊されて困るほどのものを、果たして築けていたのか。
それを問う時期に来ている。
もはや「壊すな」と叫ぶ資格があるのは、“守るべきもの”を作ってきた者だけだ。
政党は、理念の工場でなければならない。
そして今、自民党に必要なのは、理念の設計図だ。

【あとがき】

政治は、感情では動かない。
だが、感情を無視してはならない。
いま、多くの有権者が抱えているのは、怒りと諦めの混合物だ。
その感情の向かう先に、“再起を賭けた真正保守”がいる。
杉田水脈氏。
有村治子氏。
そして参政党。

決めるべきことを、正しく、明快に。
「政治を選ぶ」という営みを、私たちは今一度、原点から見直すべき時に来ている。
それは、「誰を倒すか」ではない。
「何を守るか」という問いに答えることである。


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※高倉 龍之介(政治フリージャーナリスト・映像クリエイター)