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家入一真氏の選挙活動を見ていて感じた、ぼくらの「居場所」
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家入一真氏の選挙活動を見ていて感じた、ぼくらの「居場所」

2014-02-12 00:05
    ごきげんよう。有料メルマガ評論家の渡辺文重です。私は、津田大介氏の有料メルマガ『メディアの現場』にて、「有料メルマガレビュー」という連載コーナーを担当しているのですが、今週末に配信される『メディアの現場』109号では、ラブライブ!を枕に、東京都知事選について触れています。有料メルマガ配信者がどの候補者を応援していたか、簡単におさらいする内容となっています。

    ちなみに、タグマ!では、『メディアの現場』と『有料メルマガ批評』をセットで購読すると、175円お得になるキャンペーンを行っています。

    http://www.targma.jp/watanabe/introduction/

    タグマ!版『メディアの現場』を購読している人は、ぜひ、『有料メルマガ批評』を購読していただけると、ありがたいです。ちなみに、安くなる175円は私の自腹ですので、『有料メルマガ批評』を購読している人が『メディアの現場』を購読すると、私の収入が減ることになりますが、細かいことは気にしないので、セット割引をご活用いただければと思います。

    さて、今回は津田メルマガの原稿とは別に、私個人の東京都知事選に対する感想を記したいと思います。

    ◆家入一真氏に対する評価

    私は家入一真氏に投票したのですが、家入氏がネット上での評判が悪いことも知っています。実際、私も良い印象を持っていなかったのですが、2012年6月12日に阿佐ヶ谷ロフトAで行われたイベント「ネット戦略の成功者!?に訊く、『ネットで話題』と『ステマ』と『炎上マーケティング』」に参加してみて、悪い印象はなくなりました。悪い人ではなく、面白い人なんだなという印象です。一緒に仕事をしたいかと聞かれれば、「無理にはしたくない」が、友人や知り合いとして付き合ったら楽しそうだなと思いました。

    参考:ネット戦略の成功者!?に訊く、「ネットで話題」と「ステマ」と「炎上マーケティング」
    http://www.loft-prj.co.jp/lofta/schedule/per.cgi?day=12&form=&mon=6&year=2012

    しかし、今回の選挙活動を通じて思い知らされたのは、家入氏の仕事術です。私は、先ほど記した通り、「無理には(一緒に仕事を)したくない」と思っていたのですが、とんでもない。今回は、家入氏の仕事の速さに、驚かされるばかりでした。

    例えば、公式サイト(http://ieiri.net/)がアップデートされるスピード1つ取っても、圧倒的です。また、選挙ポスターを使った「選挙活動」への動員も見事だなと感じました。もちろん、本気で勝利を収めようと思っているのならば、事前に準備しておくべき点も多かったと思いますが、2週間を使ったデモンストレーションと考えれば、成功だったと評価できると考えています。

    このように書くと、「本気で勝利を収めようと思っていなかったのか!」との批判もありそうですが、そこまで「本気」にこだわるのであれば、ポスター貼りの準備をすることよりも、公明党や自民党の推薦を勝ち取ることの方が重要です。というか、ぶっちゃけ、今回の都知事選挙は、公明党から推薦された候補が勝つ仕組みでした。公明党と自民党が舛添要一氏を応援することに決めた時点で、ほぼ、勝者は決まっていたのです。

    「ほぼ」としたのは、舛添氏が支持団体を刺激する発言を行ったり、反原発を勢いづかせる何らかの事態が起きたりとか、そういった可能性がゼロではないという意味です。なお、今回の選挙では、公明党支持者の友人(と言っても、小学校以来、ほとんど会ったことないのですが……)から、一度も電話がかかってきませんでした。きっと、余裕があったのでしょう。おそらく、投票率が2倍になっても、大きな変化はなかったと思います。そういう意味では、1人2人の棄権に目くじらを立てることに、大した意味は感じられないでいます。

    また、当然のことですが、都知事になるのならば、都議会との関係も重要です。東京都議会自由民主党や都議会公明党などの力を侮っているようでは、知事に就任しても、議会運営に苦労することは目に見えています。

    こうした状況を分析すると、舛添氏以外の候補にとって、今回の選挙に出るということは、その時点で「負け」を覚悟していたことになります。もちろん、支持者に対しては、あくまでも「勝利を収める」という姿勢を見せ続ける必要はあるのですが、今回の選挙で「負け」の覚悟がなかったとしたら、それは、冷静な分析のできない、単なる狂人ということになります。「最初から負けると思っているとは何事!」という人もいるかもしれませんが、精神論だけでは戦いに勝てないのです。負けると分かっている戦いで、どのように戦うべきか。こうした状況での行動も、リーダーの資質を見極める上で重要なポイントだと、私は考えています。

    さて、私は家入氏に投票したのですが、これは、家入氏のいう「祭り」に参加したことに、他なりません。ここまで、勝手気ままに、家入氏について書きましたが、2月11日(祝・火)に配信された有料メルマガ『家入学級』7号を読む限り、それほど間違ってはないかと思っています。

    ●家入一真『家入学級』/第1・第3火曜日/630円
    http://yakan-hiko.com/ieiri.html

    ◆ぼくらの「居場所」について

    話を家入氏の仕事術に戻します。今回の選挙活動を通じて感じたのは、家入陣営の圧倒的なスピード感です。特に、ハックチームには、非常に優秀な人材がそろっているなとの印象を受けました。彼ら、若くて優秀な技術者は、間違いなく、家入氏の下で「居場所」を獲得していたのです。

    ……しかしながら、私は、家入陣営のスピード感に刺激を受けながらも、不安な気持ちを抱くことになりました。果たして、私に「居場所」はあるのだろうかと。

    不眠不休で働く、若くて優秀な技術者たち。私には、とても、彼らのまねなどできません。それでは、家入氏のように、若くて優秀な技術者たちを集める側になれるのか? そんなカリスマ、私のどこを探しても見つかりません。

    現在の家入氏は、ツッコミどころも多いので、何となく小言を言っていれば、自分には居場所があるのだと思えなくもありません。しかし、将来、家入氏にツッコミどころがなくなったら、どうなるのか? あるいは、家入氏とは別に、ツッコミどころがない若くてリーダーシップのある人間が出現したら……。「今後、家入陣営のようなスピード感が“標準”となったならば、自分の居場所はなくなるだろう」。いつしか私は、そう考えるようになっていました。

    家入氏は「みんなの居場所を作りたい」とは発言していますが、私の記憶する限り、「居場所を与える」とは発言していません。つまり、機会は平等に与えるが、結果は自分で勝ち取るべきとの考えなのでしょう。そうであるならば、私のような平凡なおっさんも、厳しい生存競争に放り出されることを意味します。

    しかし、冷静に考えてみれば、家入氏が都知事になろうとなるまいと、そういう時代はやってくるのです。よほどの大企業にでも勤めていない限り、そうした実感を得ているような気もするのですが……。

    日本の将来を考えると、仕事にスピード感があり、無責任と言われようが撤退を判断できるリーダーが必要になるはずです。都知事選においては、そのリーダー像に一番近いと感じたのが、家入氏だったのですが、もし、家入氏のようなスピード感が現実となれば、多くの人間が、自分の居場所を勝ち取る戦いに巻き込まれることになるでしょう。

    もちろん、実際には、そこまで迅速に人間の意識は変わらないので、寿命まで逃げ切れる人の方が多いかもしれません。しかし、私のようなフリーランスは、逃げ切れない公算が高いと思っています。

    というわけで、取りあえず、コツコツと『有料メルマガ批評』を更新して、有料会員を増やすしかないなと思った次第です。皆さん、よろしくお願いします。
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