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ゲッセイ:ひとりぼっち惑星
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ゲッセイ:ひとりぼっち惑星

2016-06-29 16:53
  • 2
ツイッターを眺めていたら、「ひとりぼっち惑星」という
アプリが面白いとのことだったので、ためしに遊んでみた。


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アプリを始めてみると、
なんの説明も無く、物寂しげな音とともに、不思議な画面が出てきた。


なにをすればいいのかもわからない。
ただ、小さな四角い機械が動き回っているだけだ。

画面下部、惑星のようなところに、ガラクタのようなものがばら撒かれていて、
それを触ると、中央の数字が増えていく。

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画面を動かすと、なにを表しているのかも分からない、
丸いものが連なっていた。

画面にはときどきノイズが走り、どうやらここは電波状況が良くない環境なのだと分かる。


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さらに画面を右、左にずらすと、そこには文字が記されていた。


「あたらしいジンコウチノウ」
「でんぱ じぞくじかん」


なんのことだかわからないが、下に数字が記されているので、
おそらく、先ほど集めたガラクタのようなものの数字を使うのではないか、と判断できる。


ほかにも、「じゅしん」や「あんてな」という文字があり、
そこにも数字が記されている。

ガラクタをたくさん集めれば、それらが機能するのだろうと判断し、
ひたすらガラクタを集め続ける。


ためしに、左側の「ジンコウチノウ」に集めたガラクタを入れてみた。


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すると、大きな機械が現れ、先ほどの小さな四角い箱のような機械をけちらしていく。

そして、それらが壊れると、ガラクタが生成されるようだ。


ガラクタ集めの効率が良くなるのだろうと考え、
さらにもっと多くのガラクタを左側の丸に投入する。

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すると、空を飛ぶ物体が現れ、それらがミサイルを掃射した。

物体から放たれたミサイルは、四方へと拡散し、地表を動く機械を破壊する。


「あたらしいジンコウチノウが せんそうに さんかする」


左側の円の中に小さく書かれていた文字の意味が、ここにきてなんとなく分かった。
これらはすべて人工知能であり、どういうわけか、戦争をしているのだ。


では、人はどこへ行ったのだろう。
自分はいったい何者なのだろう。



だいぶガラクタもたまったところで、
こんどは「あんてな」と「じゅしん」を触ってみる。


すると、

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「いみんせん のあ」

というところから、メッセージが届いた。

地球へ向けて、ということだから、おそらくここは地球なのだろう。


「でも もし この こえが とどいている の なら
 ちきゅう は もう だいじょうぶ だという
 こと なの かな」

そんなメッセージが送られてくる。


地球は、大丈夫ではなくなってしまったらしい。

このメッセージを送った人は、はるか遠い宇宙を漂っているであろう
「移民船 ノア」におり、
そこからメッセージを送ってきたのだ。


その後も、ガラクタを集め、新しい機械を投入し、さらにガラクタを集め続ける。


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画面中央の電波マークのようなものを押してみると、
バケットホイールエクスカベーターのような巨大な機械が現れた。

その巨大な機械は、繰り出されるミサイルなんかはものともせずに、
ひたすら回りのものを蹴散らし、やがて、消えてしまった。


そんなことが起こりながらも、
アンテナを伸ばし続けると、
さまざまな人からメッセージが届いてきた。

おばあさん、こども、メッセージを送ってくる人は様々だったけれど、
遥か彼方からの電波、一方的な受信でしかないので、
あちらの様子がほんの少し伺えるだけ。


まるで、海岸に流れ着いたビンの中に入った手紙を受け取るような、
そんな感覚だ。


双方向のやり取りが当たり前となってしまった昨今。

こうして一方的な情報を受け取るだけなのが、
なんとも歯がゆい。

メッセージを受け取っていることを、
その事実を伝えたいのだけれど、どうやったって伝えられない。


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「そうしん」という円がある。

たくさんのポイントを使って、送信が出来るようだ。

それはおそらく、メッセージを送ってきた彼らに、ではないだろう。

この宇宙のどこかにいる、誰かに、
僕もメッセージを送れる、ということなんだろう。


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どこの誰に、
ほんとうに届くのかどうかも分からない文章を送った。

誰にも向けていない、独り言のようなメッセージだ。


届いたとして、返事は無いだろう。


どこかの誰かが読むのかもしれないし、
誰にも読まれず漂い続けるのかもしれない。


ただ、送った、という事実があるだけ。

その先は求めない。
これは、それで満足するものなのだ。


ひょっとすると、僕のところにも、そんなメッセージが届くのだろうか。


一方的な文章を読むのはやはり寂しいけれど、
どこかの誰かが、何かを思って投げたメッセージを読んでみたい。



「ひとりぼっち惑星」


最近では珍しいくらい、何の説明も用意されておらず、
果たして僕の考えが当たっているのかさえ怪しいのだけれど、

不思議な気持ちになるアプリだ。
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小さくて綺麗な物語を読み終えた気分です。
鉄塔さんの文章にはいつも心癒されます。

No.1 101ヶ月前

すいません、初めてブロマガ読みました。
鉄塔さんの本、読みたくなりました!

No.2 101ヶ月前
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