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「人生に勝ち負けはあるのか」
コメ0 草の根広告社 13ヶ月前
人生に勝ち負けなんてないと最初に言ったのは誰だったのだろう。すべてを手に入れた勝者か。あるいは這いつくばって悔しがる敗者か。それともどちらでもない神なのか。その言葉は羨望の眼差しを回避するための慰めか。あるいは劣等感を塗り潰すための強がりか。それとも真実なのか。
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「2050年の大根飯」
コメ0 草の根広告社 14ヶ月前
おろぬき大根の季節だ。畑で小ぶりなほうれん草くらいの大根葉を引っこ抜くと5センチから8センチくらいのひょろひょろした白い根が顔を出す。そう、おろぬき大根とは間引きした大根のことである。
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「2022年11月5日」
コメ0 草の根広告社 24ヶ月前
夕暮れとともにお囃子が聞こえてきた。家の山側にある秋谷神社で七五三の宵宮が始まったのだ。氏子の健やかな成長を願う祝祭。子どもの成長を地域のみんなで見守って貰っていることの象徴のようでもある。
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「絞りとシャッター速度」
コメ0 草の根広告社 25ヶ月前
世界は写真と同じで切り取り方次第だ。 同じ風景でもどの部分にフォーカスしてどのように切り取るかで印象はまるで変わる。今は中途半端に俯瞰して胸をざわつかせるくらいなら小さなしあわせを接写している方がいいような気がしている。もしくは宇宙ステーションから見た地球の写真をツイートしてくれる若田宇宙飛行...
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「海に還らないもの」
コメ0 草の根広告社 25ヶ月前
ビーチクリーンをしていたら、海にミサイルが落ちた。一体何度目なのか。溜息が出た。波打際に吐き出されたマイクロプラスティックを血眼になって拾っているのに、海に有害な化学物質を含む巨大な金属の塊を捨てられたのだ。それは、プラスティック片やビニールと同じように永久に海に還らないものだ。
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「おいしいごはんが食べられますように」
コメ0 草の根広告社 26ヶ月前
久しぶりに太陽が顔を出した週末、浜辺を散歩した。散歩のときはいつもトングとゴミ袋を持参している。ビーチクリーンのボランティア活動だ。と書くと、徳の高い人だと誤解する人もいるかもしれない。改めて言っておくが、ぼくは社会のために奉仕活動するような聖者でもなんでもない。家の前に海があり、そこを歩けば...
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『序章、のようなもの』
コメ0 草の根広告社 26ヶ月前
海辺で暮らし始めて、12年になる。 どうして移住したのかとよく聞かれるけれど、声高に移住というほどの決意もなかったような気がする。あったのは多くの人が抱く「いつか海辺で暮らしてみたい」という茫漠とした憧れだけだ。すなわち海辺以前のぼくは、今これを読んでいるあなた自身だと言えるのかもしれない。
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「名前も知らない虫」
コメ0 草の根広告社 26ヶ月前
一匹の虫が気になっている。 頭は黒くて、尻はオレンジ。小さな透明の羽根を忙しそうにはばたかせながら立ち泳ぎみたいに浮遊している小さな虫だ。尻のように見えるオレンジの球体は抱えている卵かもしれない。全長は3ミリくらい。写真を撮ろうにもすぐに飛んで行ってしまう。まだ、二度しか見たことがない。
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「マイナス7℃の優位性」
コメ0 草の根広告社 28ヶ月前
日が暮れると昼間の暑さが嘘のように涼しくなる。ヒグラシが鳴き始める。夜気を含む潮風に秋の成分が3%くらい混ざり始めているのを感じる。今日も一日生き延びたと安堵する。
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「2022年7月28日」
コメ0 草の根広告社 28ヶ月前
夕闇が迫る午後7時過ぎ。打ち上げまであと15分と迫ったところで、よく冷えたスパークリングを開栓する。冬瓜や茄子やパプリカなどの夏野菜と手羽先を煮込んだ「冷やし夏おでん」に舌鼓を打つ。夜気を含む潮風が火照った肌を心地良く冷ましてくれる。夜空との境界線が消えた海を見ると、江ノ島を望む西の空に遠雷が光り...
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「食糧自給率70%」
コメ0 草の根広告社 28ヶ月前
朝、娘を保育園に送り届けてから、畑へ。午前中から真夏日の予報が出ていたけれど、海沿いの国道からトンネルを抜けたところに広がる里山にある畑には辛うじて涼風が吹き下ろしていた。