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2015年9月17日。
あなたはどこで何をしていただろうか。ぼくは八丈島の民宿で島焼酎を呑んでいた。確か平日の水曜日だったと思う。ぼくと妻の他に宿泊客はおらず、ロベレニーの葉を揺らす風も凪いでいて、本当に静かな夜だった。羽田から飛行機で55分。290㎞移動しただけなのに都会の喧噪が過去の悪夢のように感じられた。民宿の小さなテレビで国会中継を見たのは午後8時を過ぎた辺りだった。安保法案が参議院強行採決されようとしていた。四方を海に囲まれた絶海の孤島だからだろうか。昼間、畑や漁場や港で淡々と仕事をし、日が暮れたら温泉で汗を流し笑い合っている島のたちと触れ合ったせいだろうか。昨日まで心をざわわつかされていた問題だったのにその夜は遠い異国の出来事のように感じられた。
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