渋井哲也の「生きづらさオンライン」
都知事選の投開票日。投票率はどのくらい?
2月9日午後8時。東京都都知事選挙の投票が締め切られた。この記事を書いている前夜、戦後3番目の都心積雪を記録していた。そのため、予定では深夜に東北へ向かう予定だったのだが、朝まで待つことを強いられていた。電車ばかりでなく、東北道も通行止めとなっていた。これでは一般道で行ってもいつ着くのかわからない状況だ。
大雪:首都圏で記録的…都心積雪27センチ、戦後3番目
http://mainichi.jp/select/news/20140209k0000m040056000c.html
さて、この雪によって、足元は凍っていたり、ぐちゃぐちゃになっていたり、場所によっても違うだろうが、投票所に行く有権者は減り、投票率がどのくらいになるのかも気になるところだ。ここ数年で投票率が低かったのは2003(平成15)年4月。44.94%だった。平成になって最も低い。平成になって最も高かったのは前回の2011年12月16日。62.60%。史上最高の得票数を得て、猪瀬直樹都知事が誕生したが、このときは衆議院議員選挙とダブル選挙だったこともあり、得票率は伸びだ。
今回はどうだろうか。世論調査では舛添陽一氏が優勢との結果が出ている。そんな中で、「脱原発」を争点にしようと、小泉純一郎元沿総理のお得意の「シングルイシュー」の戦術と、「原発推進派」か「脱原発派」かを決める選挙と、細川護煕氏を支援する分かりやすい戦術を行なった。しかし、「脱原発」は細川氏だけでなく、宇都宮健児氏も同じだ。統一候補を模索する「脱原発派」の市民運動は失敗し、「脱原発」統一候補は誕生しなかった。そればかりか、お互いに中傷合戦が行なわれた。ネットがない時代には「怪文書」が出回ったことだろうが、いまはネットで中傷合戦が可視化された。
またネットでは田母神俊雄氏が人気のように見えるが、世論調査では優勢の仲間入りはしない。ネットのアクティブユーザーを捕まることには成功したのかもしれないが、それが得票のリアリティを持つほどにはなっていないと思われる。
もちろん、立候補してるのは、いわゆる主要候補だけでない。
そんななかで政治を変質させる可能性を持っている候補は、多くの人が言及するように家入一真氏だろう。「居場所」をキーワードにしつつも、政策に精通していないことを逆手に取り、ネットをい使って多くの政策を募集した。「ひきこもり」だったが、起業に成功した家入氏は、いつも投票率が低い若者たちの希望の星になれるのかどうかが気になるところだ。
「居場所」といえば、民主党も「居場所」と「出番」を掲げていた。民主党の綱領には、以下のように書かれている。
私たちは、一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくる。
民主党綱領(全文)
http://www.dpj.or.jp/article/102017/
しかし、民主党が、旧自民の一部や民社党、社民連、旧社会党の一部から成り立ち、政治的な幅は、現在の自民党くらいにあるのかもしれない。しかし、自民党は長年政権党であり続け、「利害関係」でつながっている。一方、民主党は、数年で政権交代され、「利害関係」を構築できる前に弱体化させた。もちろん、「居場所と出番」というキーワードは、非正規雇用や過労死、借金苦、自殺、非婚社会など、人間関係の喪失から生み出されている。
家入氏も「居場所」というキーワーを掲げたが、民主党のように、社会状況そのものを反映させたというよりは、自分自身から発信されたものだ。都政に関心がない若者たちがTwitterやツイキャス、フェイスブックなどで繋がり、経験も金もないのに多くの人を引き寄せてしまった。もし、これが「ネットで政治を動かす」第一歩になるのであれば、都市部における無党派の若者たちが都政に関心を寄せることができるかもしれない。
とはいえ、まだまだ注目も期待もされていないから、誹謗中傷合戦に巻き込まれていないのかもしれない。ネットで議論することは可能なのか?という問いは、ネットが誕生してからの課題だった。メーリングリストが出来た当時から、議論には向かないといわれてきたのがインターネットだ。
結局、関心のあるニュースしかアクセスしないのがネットだ。そのため、共通の関心ごとをつくるの難しい。そんななかで、ネットを存分に使った候補者として誕生したのが家入氏だ。家入氏が若者に期待されているかどうかの一つの指標は、ドクター中松氏やマック赤坂氏の票を超えられるかどうかだろう。この二人を超えることができれば、ネット発の政治家が今後も多く誕生する期待感をもたせてくれる。しかもこの雪に、一人しか当選しない都知事選で、まったくの新人の家入氏のために投票にいく人が何人いるんだろうか。それが気になるところだ。
もちろん、投票に行くのも、行かないのも、それは有権者の権利だ。投票へ行こうという陳腐なことは言わない。興味がない、あるいはどの候補に入れていいのか迷ったのでいかない、という有権者も多いはず。私も最後まで迷ったから気持ちはわかる。ただ、せめて、行かなくても投票結果には注目してほしい。行かないとして、その行動が、その結果を支えたことになるからだ。
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