二月二日の昼下がり。都内にある閑静な住宅街に、乾いた空気を切り裂くようにバイクのエンジン音が鳴り響く。寒空の下、バイクを停車させた男性は、合流した小柄な女性と抱き合う。約十五秒間の熱い抱擁を終えると、女性はバイクの後部座席に跨り、前に座る男性の腰に腕を回して体を預けた。やがて、二人を乗せたバイクは、フルスロットルで走り出した――。 
週刊文春デジタル