週刊文春デジタル
江戸川乱歩の小説といえば、倒錯した性描写が代名詞だ。
ただ、その根底にあるのは――いささか恥ずかしい表現だが――「純愛」であると捉えている。対象に対する純なる愛情が何らかの事情をキッカケに歪み、倒錯へと向かう。
ただ、乱歩小説の映像化となると、どうしても倒錯性に焦点が行きがちで、純愛的な部分がおろそかな傾向にある。
今回取り上げる『江戸川乱歩の陰獣』は、原作の魅力を十二分に掬い取った、数少ない映画の中の一つだ。
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