ゴールデンウィーク中の日曜日。
とても天気のよい朝に、愛犬のスー(豆柴)と散歩に出掛けたんです。
ウチの近くに大阪万博の頃にできた小さな公園があって、スーはそこで時間を過ごすのが好きなんですね。
実はこの公園と私の付き合いは古いんです。知り合いの家が近所にあったんで、私は十代の頃からこの公園の前を行き来してました。
抜けるような青空のもと、五月の気持ちいい風に頬を撫でられながら、スーとベンチに座っていると、ふと滑り台が目に入りました。
「そういえば、あの滑り台、私が十代の頃からあったなぁ」
途中、何度か補修された跡もありますが、手すりのところなんかすっかり錆びてしまっています。
今となっては、滑って遊ぶ子どももほとんどいないんでしょう。かつてこの滑り台で遊んだ子どもたちも、もう五十歳を越えたおっさん、おばはんになっているはずです。
それでも五十年以上、ものも言わずに――喋ったら怖いわ(笑)――そこにあり続けているわけです。
その姿が何だか自分と重なるような気がして、思わず「よく頑張ったね」と手で撫でてから、公園を後にしました。
その日の夕方、スーが散歩の最後にまたこの公園に寄りました。
すると三歳ぐらいのかわいい女の子がお父さんに連れられて公園に入ってきたんです。そしたら――。
その子が滑り台を滑ったんです!
もうね、涙出てきました。
「よく、滑ってあげたねぇ」って。
たまには「すべる話」もいいもんです。