格好いいねえ、宇野亞喜良さん。東京オペラシティで四月から開催されている展覧会場では、彼が約七〇年間にわたり描いたイラストやポスターにうっとり見惚れ、心ときめかせた。
 宇野亞喜良を特集した『日曜美術館』を観ると、彼が描く“笑わない少女”“物憂げな少女”の美しさと新しさが改めて甦った。ただの美少女じゃないの。これまで見たことがない新しい少女を彼は描いた。
 そして今年で九〇歳になった宇野さんの佇まいが、これまた素敵なんだ。港区麻布十番の仕事場で制作に打ちこむ姿といい、司会進行役の女性たちに応じる姿も、物腰あくまで柔らかく、しかし文化人タレントの意味ない笑いは決して浮かべず、格好いいんだよ。 
週刊文春デジタル